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ひな祭りの魅力

3月3日と言えば、「ひな祭り」です。

幼い頃は、艶やかな十二単のお雛様や見慣れない刀や弓矢の小物を飾るのがとても楽しみでした。早く片付けないと「嫁に行き遅れる」と言われ、渋々片付けていたものです。

しかし、大人になるにつれライフスタイルの変化や忙しさを理由に雛人形を飾らなくなってしまいしました。

お母さんの嫁入り道具のひな人形は押し入れにしまい込んでそのまま、なんて家庭も多いのではないでしょうか。子どもの健康や幸福を願って飾られてきた雛人形を仕舞ったままというのも可哀想です。やがては供養、処分を考えなければなりません。

実は、そんなお雛様が供養され、再び活躍する場所があります。町おこしや伝統技術の継承を目的とした「ひな祭り」のイベントで役目を終えた雛人形の供養を行っているところがあります。そんな日本各地で行われている豪華絢爛な「ひな祭り」をご紹介します。

「ビッグひな祭り」(徳島県勝浦市)

(画像引用) 徳島県観光情報サイト阿波ナビ「第35回ビッグひな祭り」

「ビッグひな祭り」をご存じでしょうか。元祖は徳島県勝浦市から始まり、今では千葉県や和歌山県、埼玉県など日本各地で2月~3月に開催されています。

徳島県勝浦市の「ビッグひな祭り」は昭和63年に町おこしと人形文化の保存伝承のために初めて開催されました。当初は1000体ほどの雛人形でしたが、35回目を迎える今年は当時の30倍の約3万体もの雛人形が飾られています。

一番の見どころは高さ約8mの「百段ひな壇」です。雛人形がピラミッドのように飾られ、四方八方どこからでも雛人形を見ることができます。

その他にも町中いたる所で雛人形が飾られ、町中が華やいで可愛らしい雰囲気になります。お内裏様とお雛様、三人官女、祭囃子のお人形などそれぞれが煌びやかな衣装に身を包み微笑みを浮かべている姿は見る人の心も穏やかにしてくれます。

この3万体ものひな人形は家庭で飾られなくなったものを譲り受けたものです。思いを込めて供養を行い、桃の節句に勝浦市で飾られます。

去年(2022年)は展示期間中1万4500人の来場者に観覧され、長らく日の目を見なかった雛人形も嬉しかったのではないでしょうか。

家族の願いのこもった雛人形だからこそ、手放すときは感謝の気持ちで送り出したいものです。また、新しい地でみんなを見守ってくれることでしょう。

〈徳島県 第35回ビッグひな祭り〉

【所在地】
徳島県勝浦郡勝浦町大字生名字月ノ瀬35-1 人形文化交流館
【アクセス】
車で徳島ICより約50分
【開催期間】
2023年2月25日(土)~3月31日(金) 9時~16時
【料金】
大人 300円、団体 200円(10人以上)、子供 100円
【URL】
https://www.awanavi.jp/spot/21080.html

「かつうらビッグひな祭り」(千葉県勝浦市)

(画像引用) 勝浦市観光協会公式ホームページ「2023 かつうらビッグひな祭り」

千葉県勝浦市では「勝浦」つながりで2001年に徳島県勝浦市から7000体もの雛人形を里子として譲り受けました。そして「かつうらビッグひな祭り」が開催されるようになりました。こちらも現在は3万体もの雛人形が飾られています。

市内各所で可愛らしい雛人形を見ることができます。中でも、遠見岬(とみさき)神社の階段雛が1番の見どころです。鳥居まで続く60段の石段に約1800体の雛人形がズラリと並んでいる姿は壮観です。自然豊かなひなびた神社が雛人形で彩られ、豪華絢爛なひな壇へと変貌します。

木々の緑に毛氈の赤色が映え、とても美しいです。夕方から夜にかけて行われるライトアップも見ごたえあります。暗闇に照らし出される雛人形は昼間とは違った厳かな雰囲気をまとっています。

また、勝浦中央商店街で「なりきりお雛様」体験ができます。2月25日・26日限定ですが、十二単衣風の衣装を羽織り、手持ちのカメラやスマホで撮影できるイベントです。着物体験はよくありますが、お雛様体験はとても珍しいですね。体験料も500円とリーズナブルなので、ぜひお雛様気分を味わってみましょう。

〈千葉県 かつうらビッグひな祭り〉

【所在地】
遠見岬神社 周辺
※雨天時はひな人形の飾り付けは行わず、パネル展示になります。
【アクセス】
JR外房線『勝浦駅』下車 徒歩10分
【開催期間】
2023年2月24日(金)~3月3日(金) 9:00~19:00
※会場ごとに終了時間が異なります。
【料金】
無料
【URL】
https://www.city.katsuura.lg.jp/Info/1405

「鴻巣びっくりひな祭り」(埼玉県鴻巣市)

(画像引用) 鴻巣びっくりひな祭り実行委員会「鴻巣びっくりひな祭りフォトギャラリー」

鴻巣市は「人形の町」とよばれ、約380年の歴史があります。江戸時代から人形制作が盛んで特に着付けの技術が有名で日本各地から修行に集まっていました。今でも市内に老舗が立ち並び人形作りの腕を磨いています。

そして2月~3月には「エルミこうのす」をメイン会場に、1万体の雛人形が飾られます。ピラミッドひな壇やつるし雛、生花で彩られた雛人形などバラエティーに富んだ雛人形を見ることができます。

鴻巣ひな人形協会は毎年11月14日に飾られなくなった雛人形をお焚き上げする「人形感謝祭り」を開催しています。

〈埼玉県 鴻巣びっくりひな祭り〉

【所在地】
鴻巣市本町1-1-2
【アクセス】
JR高崎線鴻巣駅東口直結
【開催期間】
2月17日(金)~3月4日(土) 10~21時
※最終日は15時30分まで
【料金】
無料
【URL】
http://kounosubina.under.jp/

日本各地のひな祭りイベント

【山形県】酒田雛街道

(画像引用) 一般社団法人 村上市観光協会「第24回 城下町村上 町屋の人形さま巡り」

3大吊るし雛の一つで「湊町酒田の傘福」が有名な酒田市のひな祭りです。傘福は布を縫い合せて作った色鮮やかな細工物をいくつも繋げて傘に吊るしたものです。手作りの細工物1つ1つに意味があり、例えばネズミの細工物は子孫繁栄・働き者の想いが込められています。見た目の可愛らしさと内に込められた願いに思いをはせてみるのも素敵です。

【長野県】須坂アートパーク三十段飾り千体の雛祭り

世界の民俗人形博物館では「三十段飾り」を見ることができます。ハート形に並べられた雛人形は近くからでも遠くからでも楽しめます。土日祝日にはおひなさまなりきり体験が開催され、子供用はお雛様だけではなくお内裏様の衣装を着られます。

【兵庫県】瓦とひなまつり

(出典) 写真AC

約400年の歴史をもつ淡路瓦とひな祭りのコラボレーションです。淡路島の特産「淡路瓦」のいぶし銀の重厚な輝きと艶やかな雛人形がとてもマッチしています。鬼瓦の横に雛人形というのも珍しいのではないでしょうか。屋外ではひな道具を使って遊べるスペースもあります。子ども用の着物も無料で着付けまでしてくれます。普段できない経験ができるイベントです。

【福岡県】柳川雛祭りさげもんめぐり

(画像引用) 柳川市役所「2023年 柳川雛祭り ”さげもんめぐり”」

縁起の良い鶴や這い人形などの布細工と「柳川まり」を組み合わせた吊るし雛が有名です。見どころは「おひな様水上パレード」で、稚児衣装をまとった子どもや着物の母娘がどんこ舟に乗って水路をパレードしていきます。とても風情があり物語に入り込んだかのようです。

「ひな祭り」の魅力

日本各地で「ひな祭り」が盛大に行われています。その土地ならではの特産品とのコラボレーションや江戸時代から続く歴史を感じられることも魅力です。華やかな雛人形に囲まれて、いつもとは違う旅行をしてみてはいかがでしょうか。

押し入れの中の雛人形もたくさんの人に「キレイね」と声をかけてもらえると思うと、供養をして新たな舞台へと送ってあげるのも良いのかもしれませんね。


この記事は
温泉巡りと料理が好き、子育て中のフリーライター
新井雅子 が担当しました

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