スウェーデンのサマーハウス
暖かい期間が短い北欧の国、スウェーデンでは6月に入って気候が暖かくなってくると、多くの人が外へ積極的に出て、散歩やジョギングを楽しみます。
中でも、スウェーデン人は夏の休暇にサマーハウスへ行くことを楽しみにしている人がとても多いです。
サマーハウスとは、名前の通り「夏を過ごすための家」のことです。
スウェーデンの約4割近くの家庭が、この「サマーハウス」を所有しています。
私はスウェーデン国籍の夫と結婚し、昨年のコロナパンデミックの真っ最中、3月から9月までの半年間を、スウェーデンの小さな田舎町で過ごしていました。
夫の両親が持っているサマーハウスは、自宅から車で20分程の距離にあります。
「今週末はサマーハウスで過ごそう!」
この言葉を6月に入ってから何度聞いたことでしょう。
サマーハウス初体験だった私は「サマーハウスってどんなところだろう?」「サマーハウスで何をするのかな?」と、とてもワクワクしていました。
★サマーハウスってどんなところ?
日本で言う、富裕層が持っているような「別荘」のイメージとは少し違うかもしれません。
大抵が湖畔や海辺にあり、木造のコテージのような建物。
トイレは別小屋に汲み取り式トイレが設置されている場合が多く、堆肥として土に返すシステムです。
最近は高熱燃焼トイレも普及してきて、排泄物をトイレ下で燃焼し、その灰になったものが肥やしとなります。燃やしてしまうので嫌な臭いは全くしません。ただ、値段が高く、一般家庭への普及率はそれほど高くないそうです。
そしてもちろん、サマーハウス近辺はインターネット環境ではなく、オフラインです。
★サマーハウスで何して過ごす?
(1)特に何もしない
特に何もしないことが実は、一番の贅沢なのかもしれません。
都会の喧騒や、仕事の責任・ストレスから離れて、湖の前にハンモックやソファを置き、ただ昼寝するだけ。
湖を泳いでいる魚や鴨の家族を眺めたり、鳥のさえずりや風と水の音を聞きながら日光浴を楽しみます。そうしていると、不思議とだんだん自然と一体化した気持ちになり、自然の大切さを肌で感じられます。
(2)食事やおしゃべりを楽しむ
写真は夏至祭の時の食事です。ニシンの酢漬けやサーモン、じゃがいもなどをいただきました。コロナの影響で大きなイベントが中止され、家族だけでお祝いする家庭が多いようです。
普段はバーベキューをしたり、コーヒータイムに森や自宅の庭で採れたルバーブやベリー、リンゴなどの自家製ケーキを食べながら家族や友人とのおしゃべりを楽しみます。
スウェーデンでは森でのベリー摘みやキノコ狩りなどの収穫も一般的で、夏から秋にかけての楽しみでもあります。
私も森へ、ブルーベリー摘みとキノコ狩りへ行って来ました。
(3)サウナ
サウナ文化はお隣の国、フィンランドから渡ってきたもので、スウェーデンでも大変人気です。
サマーハウスにもサウナを設置している家庭がほとんどで、サウナに入って温まった身体を湖に入って冷やします。そのまま湖で泳いで、またサウナに入ったりを繰り返します。
湖の水でクールダウンというのが、また原始的で開放的。
最初は少しためらってしまうかもしれませんが、入ってしまうと気持ちよくて癖になってしまいます。
(4)カヌー体験
カヌーやカヤック、ボートを所有している人も多いです。中にはトム・ソーヤの冒険に出てくるような"いかだ"を持っている人も。ボートの上からは釣りも楽しめます。
私も湖でカヌーを体験してきました。風がない穏やかな日はカヌー日和です。
自然のど真ん中、空気の澄んだ広い湖の上で時間を気にせずにプカプカ浮いているのは本当に至福の時間で、気持ち良かったです。
★終わりに
スウェーデンのサマーハウスは、人間が自然にとても近い距離で過ごせる場所でした。
現代の生活に慣れていると、不便に感じることもあるかもしれません。
ただ、サマーハウスは自然の大切さと、便利になりすぎた暮らしのありがたさに気付く場所でもあります。
スウェーデンのサマーハウスでの体験をそのまま日本で真似することは難しいですが、週末は自然のある場所に出掛けてみたり、もっと自然の音に耳を傾けるようにしてみたいと感じるようになりました。
この記事は
エコジャーナルサポーター
michi が担当しました