沖縄クリーンビーチ
ジオテック事業部沖縄営業所の小堤です。
6月の土曜日の朝10時少し前、那覇空港近くの豊崎美らSUNビーチには、受け付けを済ました人達が、配布された軍手と大きなゴミ袋を手に、作業スタートの合図を待っていました。
2018沖縄クリーンビーチ活動
そう、これから沖縄クリーンコーストネットワーク(OCCN)が開催する「まるごと沖縄クリーンビーチ」のオープニングセレモニーが始まります。美ら海クリーン作戦は、沖縄本島や離島の美しいビーチに散在するごみを回収するクリーン運動で、私は今回、初めて参加します。
最近、ニュースや雑誌などで、プラスチックごみによる海洋汚染の問題が取りあげられる機会が増えてきました。大量のプラスチック系ごみが河川を流れ、海を漂流し、それらがマイクロ化され生態系へ悪影響を及ぼし始めている問題のことです。
私が、クリーンビーチ運動に参加しようと思ったのは、深刻化するプラスチックによる海洋汚染の防止のために、何か自分でも行動したいと思ったからです。
沖縄のクリーンビーチオープニングセレモニー(OCCN提供)
ここで、プラスチックによる海洋汚染について、少し説明します。
海洋に流出したプラスチックごみは、漂流しながら紫外線等によって時間をかけて概ね5μm以下のマイクロプラスチックとなり、海洋を漂流します。また洗剤や歯磨き粉に含まれるマイクロビーズ(研磨剤等)も、家庭より下水処理場へ、下水処理場から河川へ流出し、海洋を漂流します(下水処理場では、マイクロビーズは約95%が沈殿除去されていますが、約5%はトラップできず流出してしまうとのことです)。
マイクロプラスチックやマイクロビーズは、海水中の有機系の汚染物質(PCBS、DDTS等)を吸着する性質があり、マイクロプラスチックに吸着した汚染物質の濃度は、周辺海水中の十万〜百万倍になるとの研究結果が報告されています(東京農工大農学部高田秀重教授)。
汚染物の吸着だけでなく、プラスチックへの添加剤が人や生物の健康を脅かす可能性も指摘されています。こうしたマイクロプラスチックを餌と間違え小生物が摂取することが確認されており、食物連鎖で生態系への悪影響が懸念されています。(東京農工大農学部高田秀重教授による近年の調査では、東京湾で釣ったカタクチイワシ64尾中49尾からマイクロプラスチックが検出されたそうです。)
また、マイクロ化する前のプラスチック漂流ごみを、イルカや海ガメ、アザラシ、海鳥などの大型生物がエサと誤認して食べ、命の危険を招いている調査報告も多くあがっています。
沖縄県は、県内の漂流ごみのごみ質、発生場所の大規模な調査を行っていて、離島も含め年間の漂流ごみの量は、重量で約2千〜4千トン、容量で約2万〜4万m3と推計されています。漂流ごみの容量の内訳は、木類が約40%、プラごみ約23%、発泡スチロールが約17%、漁業用ブイが約5%、ペットボトル類は約3%弱です。
漂流ペットボトルの国別内訳は、
- 離島では、約70%が中国、次に韓国と台湾が約4%、日本が約5%、
- 本島では中国が約40%、日本が約38%、韓国が6%、台湾が1%
とのことです。(沖縄県環境部環境整備課講演資料より)
沖縄県は、清掃しても清掃しても漂着するごみの回収、処理に多くの労力と費用を費やしているようですが、直接発生源対策を取ることが難しく、漂着ごみは沖縄県の廃棄物処理の重大な課題の一つとなっています。
西表島 漂着した漁網(OCCN提供)
私たちがプラスチックによる汚染低減のために、以下のことが重要と考えられます。
- 陸から河川、海へ廃プラスチックを流入させない。
- 使い捨てプラスチック製品の使用を極力避ける。
今日の生活の中でプラスチック製品を無くす事は不可能だと思いますが、一人当たり年間約300枚も使っているレジ袋を半分、いや1/3にすることや、ペットボトルからマイボトルに変えること、ごみとなったプラスチック類を適切に分別、廃棄することは今日からすぐにでも出来ることだと思います。
年間約800万トンのプラスチックが海に流出しているという報告もありますが、一度海洋に漂流したプラスチックごみを回収する事は不可能ですので、プラスチックごみが河川や海に流出しないようしっかりと回収する事や、海に流出したプラスチックごみがマイクロ化する前に、海岸で漂着ごみを回収する事も非常に重要言われています。
次世代のために、焼け石に水と言われても、私はできるだけ海岸クリーン活動に参加し漂流ごみを一つでも多く拾っていきたいです。
西表島クリーンビーチ活動(OCCN提供)
離島は本島より漂着ごみが多い
この記事は
DOWAエコシステム ジオテック事業部
小堤 が担当しました