DOWAエコジャーナル

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災害廃棄物処理におけるDOWAエコシステムの取り組み

今年の3月11日をもって東日本大震災の発生から3年が経過します。
東北三県沿岸市町村(岩手県、宮城県、福島県(避難区域を除く))において発生した災害廃棄物等推計量は2,778万tと言われています。平成26年3月26日に環境省が発表した「平成26年2月末時点における東北三県沿岸市町村(岩手県、宮城県、福島県(避難区域を除く))の災害廃棄物等の処理状況」では上記の地区における災害廃棄物の96%まで処理が進んでいると発表しております。

DOWAエコシステムは東北の復興支援の一助になるよう、広域処理、前処理選別業務及び、仮設焼却炉による災害廃棄物処理業務に取り組みました。今回の記事は仮設焼却炉による災害廃棄物処理業務について記述致します。


写真1 南三陸町における仮設焼却炉

■気仙沼ブロック南三陸処理区

災害廃棄物処理業務(気仙沼ブロック南三陸処理区)につきましては、清水建設株式会社東北支店殿を代表企業とする特定業務共同企業体殿より受注致しました。南三陸処理区におきましては、一基あたり、95t / 日の焼却処理能力を持つ焼却炉を三基納入致しました。


写真2 気仙沼市における仮設焼却炉

■気仙沼ブロック気仙沼処理区

また災害廃棄物処理業務(気仙沼ブロック気仙沼処理区)につきましては、大成建設株式会社東北支店殿を代表企業とする特定業務共同企業体殿より受注致しました。気仙沼処理区におきましては、気仙沼市階上地区に219t / 日、気仙沼市小泉地区に109t / 日の焼却処理能力を持つ焼却炉を納入致しました。

災害廃棄物を迅速に処理するためにも、約4ヶ月という短期間において焼却炉の建設を致しました。通常の焼却炉の建設と比較すると、類を見ない早さの建設スピードです。
また、地元の復興のために、仮設焼却炉の運転業務は気仙沼市、南三陸町を始めとする地元の方々を新たに採用し、共に復興事業を行ってきました。

■災害廃棄物の処理フロー

震災により発生した災害廃棄物は、図1のような工程で機械選別、手選別により可燃物と不燃物等及び有価物に分別されます。仮設焼却炉では分別を経た可燃物を焼却処理していました。
可燃物と一口でいえども、木くずや廃プラスチックを始め、畳や漁網など性状は多岐に渡ります。また津波の影響を受けているため、水分、土砂分が多く、焼却炉の中で燃えにくく、焼却炉のトラブルの原因になりやすい点は、通常弊社が取り扱う廃棄物との大きな違いです。

当社におきましては震災による災害廃棄物の焼却処理は初めての試みでしたが、廃棄物処理のノウハウを駆使し、試行錯誤を積み重ねた結果、安定した燃焼と排ガス処理により災害廃棄物の処理を致しました。また廃棄物の焼却により発生した熱は焼却炉内に吹き込む空気の加熱に使用(サーマルリサイクル)し、焼却処理後の燃え殻は不溶化され、復興資材として道路や宅地の整備に使用されています。

■前処理選別業務及び、仮設焼却炉による災害廃棄物処理業務

南三陸町におきましては2012年9月から2013年10月まで、気仙沼市においては2012年12月から2013年11月まで焼却炉は稼働していました。
この期間に、当社が建設、運転した5基の仮設焼却炉は、合計135,768tの震災廃棄物(可燃物)を焼却処理しました。この記事を執筆している時点(平成26年3月11日)では、その役目を終え、焼却炉解体も進み、弊社の前処理選別業務及び、仮設焼却炉による災害廃棄物処理業務は完了しております。

毎日目の当たりにするがれきの山の大きさにはインターネットやテレビを通じて見ていたものより想像を絶する程の量でありました。この山をなくすために、我々DOWAエコシステムの社員一同は使命感と責任感を持って業務を邁進して参りました。

全体計画のうち、我々は焼却処理という一部の工程を担うことで、復興のお手伝いができたと感じております。

写真3は震災直後に撮影した気仙沼市大川橋の風景、写真4はがれき撤去が進んだ大川橋の風景です。


写真3 震災直後の気仙沼市大川橋周辺状況 / 写真4 災害廃棄物処理が進んだ気仙沼市大川橋周辺状況

焼却炉の稼働開始の頃と比べると、気仙沼市では震災廃棄物の撤去が進み、道路の整備、土地の嵩上げ、水産加工工場の建設などが進み、街は復興に向けて確実に一歩ずつ歩んでいます。

話は変わりますが、右の写真のモアイ像は2013年5月にチリから南三陸町へ寄贈され、南三陸町のさんさん商店街に設置されているものです。
南三陸町とモアイによるチリとの友好関係は、1960年のチリ地震津波まで遡ります。津波で大きな被害を受けた南三陸町に防災と友好の証しとしてチリからモアイ像が贈られ、町内に設置されていましたが、東日本大震災により破損してしまいました。しかし再びチリ政府から像が贈られたことで今日も南三陸町をみつめています。

モアイの意味は諸説あり、「先祖崇拝」、「未来に生きる」という捉え方があるそうです。先祖から代々伝わる漁業を業とし、復興に向かい再生する町のシンボルにふさわしいと思いませんか?

南三陸町、気仙沼市にはマグロ、カツオ、フカヒレや牡蠣といった海の幸を始め、気仙沼ホルモンなど美味しいグルメが揃っております。春の休日を利用して是非足を運んでは如何でしょうか?

※ 破砕・選別等により有価売却、原燃料利用、焼却やセメント焼成、埋立処分等により処理された量

【参考資料】

環境省ホームページ
宮城県ホームページ
気仙沼観光コンベンション協会(写真3、4、6ご提供)


小田 この記事は
DOWAエコシステム ウェステック事業部
小田 が担当しました

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