レアメタルについて
近年話題になっているレアメタル。今回はレアメタルの基礎知識をまとめました。
1. レアメタルって?
地球上に元々存在する量が少なかったり、存在している地域が大きく偏っていたり、鉱石からの抽出が経済的・技術的に難しかったりする金属のことをレアメタル(希少金属)と呼びます。
1984年、通商産業省(現・経済産業省)は、レアメタルを「工業需要が現に存在する、あるいは、今後見込まれるものについて、その安定供給の確保が政策的に重要であるもの」と定義し、31鉱種(30鉱種及びレアアース)が指定されました。
■レアメタル31鉱種とその分類
2. どこで採れるの?
レアメタルは、天然資源の賦存・生産が特定の国に偏って存在しているものが多いことが特徴です。例えば、白金族元素(プラチナ、ロジウム、パラジウム)の埋蔵量の最も多いのは南アフリカの63千トンですが、これは全世界の埋蔵量71千トンの89%にあたります。そして、わが国はレアメタル供給のほとんどを海外からの輸入に依存しています。このため、安定的な供給の確保が非常に重要となっています。
3. どのように使われている?
レアメタルは、素材に添加することにより、特殊な性能や機能をもつようにできる特徴があります。例えば、アルミ電解コンデンサより小型で周波数特性がよいタンタルコンデンサや、フェライト磁石に比べて格段の高磁性をもつネオジム磁石など、レアメタルはわが国が国際競争力を有するハイテク製品等の製造に不可欠な原材料となっています。
■ベースメタルやレアメタルの主な用途
4. 備蓄・リサイクルは?
国は、ニッケルやクロムなど9つの鉱種については備蓄・管理し、いざというときに備えていますが、その他の鉱種は備蓄対象になっていません。また、白金族などいくつかの鉱種は個別に企業などでリサイクルされていますが、多くの鉱種は使用製品類の回収システムがなかったり、リサイクルのための技術やインフラが国内で整備されていないなどの理由でリサイクルがほとんど行われていません。
5. リサイクルに向けた取り組み
レアメタルリサイクルの仕組みづくりと新たな技術開発などに向けて、国はさまざまな検討を進めています。環境省は中央環境審議会で使用済み電気・電子機器のリサイクル制度化を審議しており、来年の通常国会に法案を提出予定です。また、経済産業省は企業や大学などを対象にレアメタルの回収技術の開発を進めています。さらに、総務省、経済産業省、環境省は地方公共団体や通信事業者、携帯電話メーカー等と連携して使用済み携帯電話の回収を進めています。
参考資料: 「メタルマイニング・データブック2010」(JOGMEC)
この記事は
株式会社エコリサイクル
狩野 が担当しました