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土壌汚染調査技術管理者試験問題の解説(2)

■平成23年度土壌汚染調査技術管理者試験の解答及び解説(その2)

前回に引き続き、平成23年度土壌汚染調査技術管理者試験の解説を示します。
前回は主に地歴調査の関連問題について解説しましたが、今回は土壌汚染状況調査の設計に関する問題について解説します。
土壌汚染状況調査の設計は、土壌汚染に困っている事業者様にとっても有効な情報です。是非、ご参照ください。

【関連リンク】

環境省ホームページ: 平成23年度土壌汚染調査技術管理者試験の結果について

【問題8】

下の図のA~Eの土地と、その土地に対応する①~③の法における土壌汚染のおそれ区分との組み合わせのうち、正しいものはどれか。

① 土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地
② 土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地
③ 土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地

  A B C D E
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)

【解答】

(1)

【解説】

土壌汚染対策法における、「土壌汚染のおそれ区分」の例について下表に示します。

おそれ区分 定義
土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地 特定有害物質に係わる施設、及び当該施設を設置している建屋の敷地 水質汚濁防止法規定の特定施設
土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地 特定有害物質に直接係わらないが、特定有害物質に係わる施設等の敷地から、その用途が全く独立しているとはいえない土地 事務所
資材置き場
事業用駐車場
事業所中庭
土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地 特定有害物質に係わる施設等の敷地から、その用途が全く独立していると認められる土地 緩衝緑地
従業員居住施設
グラウンド

この問題の解答をする際は、土地AとDに着目すれば正解が分かります。
土地Aについては、特定有害物質に係わる施設や建屋が設置されています。
これは、用途が独立しているとはいえないため、土地Aは「土壌汚染が存在するおそれが少ない土地」と区分されます。
この時点で選択肢(3)と(5)は除くことができ、残りは3択となります。

次に、土地Dについては特定有害物質使用施設に接続されている配管が通っています。配管中には特定有害物質を含む排水が通っていることより、特定有害物質に直接係わる施設と判断されます。このため、土地Dは「土壌汚染が存在するおそれが比較的高い土地」と区分されます。
よって、選択肢(2)と(4)は不正解となるので、正解は(1)となります。

【補足】

土壌汚染のおそれは過去にも着目すること

「土壌汚染対策法」では、原則、現土地利用者以前の土地利用状況についても調査します。昔から田畑や住宅地であるような土地は、一般的に特定有害物質の取り扱いがない土地のため問題はないですが、過去に工場等の特定有害物質を取り扱っているような土地であれば、土壌汚染のおそれは否定できません。
土地を購入しようと考えている人や売却計画をお持ちの方は、現在の利用状況から「土壌汚染のおそれはないだろうから問題ないから調査しなくて平気だろう」と高をくくらず、過去にも着目して土壌汚染の可能性を判断してください。

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【問題16】

法における試料採取等を行う区画の選定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 鉛について単位区画内の全部または一部が土壌汚染の存在するおそれが比較的多いと認められる土地に該当する場合、当該単位区画は鉛について全部対象区画となり、試料採取等区画となる。
  2. 鉛について土壌汚染の存在するおそれが比較的多いと認められる土地が含まれず、土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地が含まれる単位区画は一部対象区画となり、試料採取等区画になる可能性がある。
  3. 鉛について単位区画の全部が土壌汚染のおそれがないと認められる土地に該当する場合、当該単位区画は対象外区画となり、試料採取等区画にはなることはない。
  4. ある単位区画が鉛について全部対象区画に該当し、ベンゼンについて一部対象区画に該当する場合、当該単位区画はベンゼンについても全部対象区画とみなす必要がある。
  5. 試料採取等対象物質が第一種特定有害物質である場合、対象外区画となった単位区画も試料採取等区画になるケースが存在する。

【解答】

4

【解説】

有害物質の取り扱い場所等が調査物質毎に異なる場合は、調査物質別に調査仕様を設定する必要があります。例えば、ある単位区画において鉛が全部対象区画に該当していたとしてもベンゼンが一部対象区画に該当していれば、下表のとおりに設定することとなります。当該単位区画は、鉛について全部対象区画とみなし、ベンゼンについては一部対象区画とみなされます。

第一種特定有害物質に関しては、土壌汚染が存在するおそれが少ない土地については、30m格子の中心の単位区画が試料採取等区画となることが決められています(当該単位区画の全部が敷地外の場合を除く)。また、第一種特定有害物質に関しては、仮に、ある30m格子の中心の単位区画C内の全域が「土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地」であっても、30m格子内に一部対象区画がある場合は、単位区画Cは試料採取等区画に選定する必要があります。

表 「試料採取等区画」の区分例

対象物質 おそれ区分 試料採取等区画の区分 試料採取の密度
土壌汚染のおそれあり 全部対象区画 100m2
ベンゼン 土壌汚染のおそれ少ない 一部対象区画 900m2

以上のことを理解していれば、自ずと解答は選択肢4であることが分かります。

【補足】

単位区画=対策範囲となり得る

「土壌汚染対策法」では、土壌汚染状況調査により汚染が確認された場合は、当該調査地点を含む単位区画の全域が、土壌汚染が存在する土地とみなされ区域の指定を受けます。
一方、調査の結果、汚染が確認されなかった場合は、当該調査地点を含む単位区画の全域が、土壌汚染が存在しない土地とみなされます。

このことから、原則として土壌汚染の対策が必要な範囲は汚染が確認された単位区画のみとすることとしています。
土壌汚染のおそれ区分と試料採取等区画の知識があれば、事前に対策が必要となる可能性がある範囲を把握することが可能なので、これら知識も土地所有者にとって有力な情報といえます。

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【問題24】

法における第二種特定有害物質について試料採取等を行う区画の選定等を行い、分析を行った結果、次の図のような結果が得られた。
試料採取等を省略せずに土壌汚染状況調査を終了するために分析が必要な試料数として次に掲げるもののうち、正しいものはどれか。

(1) 0試料
(2) 4試料
(3) 9試料
(4) 10試料
(5) 15試料


【解答】

(3)

【解説】

法に従った第二種特定有害物質の土壌汚染状況調査について、おそれが比較的多いと区分された土地については、原則、単位区画ごとに1試料採取し分析することとなります。
一方、おそれが少ないと区分された土地については、原則、30m格子ごとに1試料採取し分析することとなりますが、その結果、基準値超過が確認された場合は、当該30m格子内のすべての単位区画で、各1試料を追加採取し分析することとなります。
なお、おそれがないと区分された土地については、土壌汚染状況調査の結果に関わらず、試料採取し分析する必要はありません。

表 第二種特定有害物質の試料採取方法
試料採取等
区画の種類
採取方法
おそれが
比較的多い

全部対象区画
単位区画ごとに1試料採取する。
おそれが
少ない

一部対象区画
30 m格子ごとに最大5つの単位区画から試料を採取し、等量混合して1試料とする。

基準不適合が認められた場合、当該30m内の全ての単位区画から各1試料採取する。


出典:「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン改訂版2011年」

問題図を見ると、おそれが比較的多いと区分された土地(C)においては単位区画ごとに1試料の採取及び分析が行われているため、調査終了となります。また、おそれが少ないと区分された土地(B)の左上の30m格子においては、採取した試料が基準値に適合しているため、調査終了となります。
一方、おそれが少ないと区分された土地(B)の左下の30m格子においては、採取した試料が基準値を超過しています。土壌汚染状況調査を終了させるためには、当該30m格子内の計9つの単位区画から各1試料採取し分析する必要があります。よって、正解は選択肢(3)の9試料となります。


図 土壌汚染の評価例(追加調査実施前及び実施後)

【補足】

隣土壌調査は、追加分析も含めて考える

「土壌汚染が存在するおそれが少ない」と区分された土地の場合にも、土壌汚染が確認されるケースがあります。このケースの場合に、追加分析は省略することも可能ですが、ほぼ必須であると認識しておくことをお勧めします。

従って、調査の期間を事前に計画するときは、追加分析にかかる期間も考慮する必要があります。
また、上記のようなケースの場合は、買手に対して調査結果を適宜報告し、今後の契約の進め方等を相談することも必要であることに留意してください。

この記事は
ジオテクノス株式会社
四戸 が担当しました

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