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平成24年度 土壌汚染調査技術管理者試験の解答及び解説(3)

前回は主に自然由来の土壌汚染に対する調査方法と法による自然由来特例について解説しました。今回は、法に則った調査の流れと地礫調査について解説します。

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技術管理者試験問題

【問題7】

法における土壌汚染のおそれの区分の分類に関する次のA~Eの記述のうち、適当なものの組み合わせはどれか。

 A
調査対象地の履歴を可能な限り過去に遡った結果、当初から専らグラウンドとして使用されていたが、シス-1,2-ジクロロエチレンの汚染が認められた調査記録を入手したことから、汚染のおそれが少ない土地に分類した。
 B
調査対象地は、公有水面埋立法による公有水面の埋立て事業により造成された土地であることが判明したことから、公有水面埋立て用材料由来の汚染のおそれが比較的多い土地に分類した。
 C
対象となる施設は、特定有害物質を埋設等、使用等又は貯蔵等する施設と一連の生産プロセスを構成していない工場棟であったことから、汚染のおそれが少ない土地に分類した。
 D
調査対象地の深度10m以浅に海成の粘性土層が分布することが地盤図から判明したことから、自然由来の汚染のおそれが比較的多い土地に分類した。
 E
有害物質使用特定施設が複合商業施設の2階に設置されていたが、1階は書店として利用されており、2階の有害物質使用特定施設からの排水管が存在しなかったことから、書店の範囲は汚染のおそれがない土地に分類した。

(1) A、D
(2) A、E
(3) B、C
(4) B、D
(5) C、E


【問題7 解答】

(5)

【解説】

土壌汚染対策法(以下、法)では、汚染の種類が『人為的原因による土壌汚染』、『自然由来の土壌汚染』、『水面埋立て用材料由来の土壌汚染』の3種類に大別されます。
地歴調査の結果、『人為的原因による土壌汚染』のおそれが認められる場合は、調査対象地において、法における「土壌汚染のおそれの区分の分類」を行います。法における「土壌汚染のおそれの区分の分類」の基準は下表のとおりです。

表1 法における「土壌汚染のおそれの区分の分類」の基準
おそれ種類 基準
1. 汚染のおそれが比較的多い土地
(100m2単位調査)
  1. 土壌の特定有害物質による汚染状態が土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合しないことが明らかである土地
  2. 特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体が埋められ、飛散し、流出し、又は地下に浸透した土地
  3. 特定有害物質をその施設において製造し、使用し、又は処理する施設に係る工場又は事業場の敷地である土地又は敷地であった土地
  4. 特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体をその施設において貯蔵し、又は保管する施設に係る工場又は事業場の敷地である土地又は敷地であった土地
  5. その他、2.から4.まで掲げる土地と同等程度に土壌の特定有害物質による汚染状態が土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合しないおそれがある土地
2. 汚染のおそれが少ない土地
(900m2単位調査)
  1. 事務所(就業中の従業員が出入りできるものに限る)、作業場、資材置き場、倉庫、従業員用・作業者用通路、事業用の駐車場、中庭等の空き地(就業中の従業員が出入りできるものに限る。)、複数の工場棟を有する場合において有害物質使用特定施設と一連の生産プロセスを構成していない工場棟の敷地等
  2. 複数の工場棟を有する場合において特定有害物質を埋設等、使用等又は貯蔵等する施設と一連の生産プロセスを構成していない工場棟の土地等
  3. 特定有害物質を埋設等、使用等又は貯蔵等する施設を含む建物と同一建物内であるが、当該施設が設置された場所とは壁等により明確に区分されており、一連の生産プロセスを構成しておらず、かつ当該施設と繋がっている配管が存在しない場所
3. 汚染のおそれがない土地
(調査不要)
  1. 特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体の埋設等を行っていた土地や、使用等又は貯蔵等を行っていた施設の敷地からその用途が全く独立している状態が継続している土地(山林、緩衝緑地、従業員用の居住施設や駐車場、グラウンド、体育館、未利用地等)
4. 特記
  1. 有害物質使用特定施設が、商業施設の一テナント又はオフィスビルの一入居者により設置されている場合において、当該施設が廃止されるとともに調査義務が発生した時の調査の方法は、当該施設からの排水管の地中に設置された部分(当該テナント又は入居者が最下階に入居していた場合、排水管が最下階に設置されていた場合にあっては、当該入居していた部分、当該設置されていた部分の直下を含む。)において100m2単位の調査を行えば足り、それ以外の場所においては、900m2単位の調査も行うことは要しない

引用:「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン改訂版第2版p130~133」一部加筆

一方、地歴調査の結果、『人為的原因による土壌汚染』のおそれは判断されなかったが、表2の状況が確認された場合は、表1の1.の1.又は表1の1.の.5に該当し、専ら『自然由来の土壌汚染』又は『水面埋立て用材料由来の土壌汚染』のおそれがある土地に該当します。

表2 『自然由来の土壌汚染』又は『水面埋立て用材料由来の土壌汚染』のおそれの判断基準
おそれ種類 基準
5. 自然由来の土壌汚染のおそれがある土地
  1. 調査対象地において、実際に測定を行って土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合していないことが判明した土地
  2. 上記11.の土地と地質的に同質な状態で広く存在すると判明した土地
6. 水面埋立て用材料由来の土壌汚染のおそれがある土地
  1. 調査対象地が水面埋立て用地材料で造成された埋立地で、実際に測定を行って土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合していないことが判明した土地
  2. 上記13.の土地と同質な水面埋立て用地材料により埋立てされたと判明した土地

引用:「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン改訂版第2版p126,p128」一部加筆

設問Aの場合は、グラウンドは過去に土壌汚染が認められたた土地であったため表1の1.の1.に該当し、「汚染のおそれが比較的多い土地」と区分されます。従って、設問Aの区分の分類は正しくないと判断されます。

設問Bの場合は、公有水面埋立法による公有水面の埋立て事業により造成された土地であるが、この時点で、水面埋立て用地材料に起因して、土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に不適合であることが確認されているわけではないため、表2の6.の13.や6.の14.に該当せず「汚染のおそれが比較的多い土地」に区分できません。従って、設問Bの区分の分類は正しくないと判断されます。

設問Cの場合は、対象となる施設は特定有害物質の埋設等、使用等又は貯蔵等の施設と一連の生産プロセスを構成していない工場棟であったため、表1の2.の6.や2.の7.に該当し、「汚染のおそれが少ない土地」と区分されます。従って、設問Cの区分の分類は正しいと判断されます。

設問Dの場合は、調査対象地の深度10m以浅に海成の粘性土層が分布することが判明されているが、この粘土層が土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に不適合であることが確認されているわけではないため、表2の5.の11.や5.の12.に該当せず「汚染のおそれが比較的多い土地」に区分できません。従って、設問Dの区分の分類は正しくないと判断されます。

設問Eの場合は、有害物質使用特定施設は複合商業施設の2階に設置されていたが、1階は書店として利用されており、2階の当該施設からの排水管が存在しなかったとのことでした。表1の4.の10.から、上記のような場合は書店において土壌汚染状況調査を実施する必要はなく「汚染のおそれがない土地」と区分してよいと解釈されます。従って、設問Eの区分の分類は正しいと判断されます。

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【問題12】

法の第二種特定有害物質を対象とした試料採取計画について汚染のおそれが生じた場所の位置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)
有害物質使用特定施設が、現在の地表及び過去の地表(深さ1.2m)にも存在することが判明したため、地表及び深さ1.2mの位置を汚染のおそれが生じた場所の位置とした。
(2)
地表及び底面の深さが3.0mに位置する地下ピットにおいて、特定有害物質の使用が判明したことから、地表及び深さ3.0mを汚染のおそれが生じた場所の位置とした。
(3)
水銀及びその化合物を輸送する配管が、地上2.5mの高さに設置されていたことから、地表を汚染のおそれが生じた場所の位置とした。
(4)
試料採取等区画内に汚染のおそれが生じた場所の位置が3か所ある場合は、もっとも浅い深度にある汚染のおそれが生じた場所の位置において試料採取を行う。
(5)
公有水面埋立法による公有水面の埋立てにより造成された土地について、地表に有害物質使用特定施設が存在していたことから、地表を汚染のおそれが生じた場所の位置とした。

【問題12 解答】

(4)

【解説】

土壌汚染対策法(以下、法)においては、平成22年の法改正により第二種及び第三種特定有害物質に係る土壌汚染状況調査では「汚染のおそれが生じた場所の位置」から土壌試料を採取することが規定されました。例えば、調査対象地において過去に有害物質使用特定施設を含む工場が立地されていたが、当該工場を解体し、数メートル盛土した後に新しい工場を建築した履歴が認められた場合は、当該土地おいて現況地表面と盛土下から各50cm深度の土壌を採取する必要があります。また、特定有害物質を含む薬液を貯蔵する地下ピットが設置されていた場合は、薬液注入口(地表と同一レベルの場合は地表面、埋設配管の場合は配管底面)及び地下ピット底面下から各50cm深度の土壌を採取する必要があります。

このため、地歴調査の段階で、過去の建屋建築記録、盛土等造成記録等により「汚染のおそれが生じた場所の位置」を把握する必要があります。
試料採取深度の概念については下図1のとおりです。

なお、第一種特定有害物質に係る土壌ガス調査では、「汚染のおそれが生じた場所の位置」に関係なく、原則、地表面から試料を採取することと規定されています。また、地歴調査の結果、「汚染のおそれが生じた場所の位置」に関する情報が不明の場合も、原則、地表面から試料を採取することと規定されています。

図1 「汚染のおそれが生じた場所の位置」及び試料採取等の概念図

試料採取地点の配置方法

単位区画1
地表A(A工場時代の地表)、地表B(現在の地表)とも一部対象区画。
試料採取地点はどちらも単位区画の中心となる。
単位区画2
まず全部対象地区である地表Aの試料採取地点を工場棟内に決め、一部対象区画である地表Bの試料採取地点を同じ場所とした。
単位区画3~5
地表A、Bとも全部対象地区である。ただし、地表Aは工場棟内に特に土壌汚染のおそれが多い部分はなかった。
地表Bの地下タンク、地下ビット、地下配管の場所の近傍に試料採取地点を決め、Aの試料採取地点も同じ場所とした。
単位区画6
全部対象地区である地表Aの土壌汚染のおそれが多い部分に試料採取地点を決め、一部対象区画である地表Bの試料採取地点を同じ場所とした。

引用:「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン改訂版第2版p180」一部加筆)

設問(1)の場合は、対象地の地表面が現在と過去とで高さが異なっており、有害物質使用特定施設が現在と過去の地表面上に設置されていたため、現在及び過去の地表面下を「汚染のおそれが生じた場所の位置」と判断されます。従って、設問(1)の「汚染のおそれが生じた場所の位置」の考え方は正しいと判断されます。

設問(2)の場合は、地表及び底面深度が3.0 mに位置する地下ピットにおいて、特定有害物質の使用が判明したため、地表面及びピット底面下を「汚染のおそれが生じた場所の位置」と判断されます。従って、設問(2)の「汚染のおそれが生じた場所の位置」の考え方は正しいと判断されます。

設問(3)の場合は、地上配管により特定有害物質が輸送されており、地上配管の直下の土壌は地表面下に存在すると解釈されるため、地表面下を「汚染のおそれが生じた場所の位置」と判断はされます。従って、設問(3)の「汚染のおそれが生じた場所の位置」の考え方は正しいと判断されます。

設問(4)の場合は、試料採取等区画内に汚染のおそれが生じた場所の位置が3か所あったため、全3か所下から試料採取を行う必要があります。従って、設問(4)の「汚染のおそれが生じた場所の位置」と試料採取の考え方は正しくないと判断されます。

設問(5)の場合は、地表面に有害物質使用特定施設が設置されていたため、地表面下を「汚染のおそれが生じた場所の位置」と判断されます。従って、設問(5)の「汚染のおそれが生じた場所の位置」の考え方は正しいと判断されます。なお、公有海面の埋め立てによる土壌汚染のおそれがある場合には、深度10mのボーリングを実施する等の調査を行うことになりますが、設問(5)については、埋立に係わる土壌汚染のおそれは言及されていません。また、人為的な土壌汚染が確認された土地は埋立地特例区域には指定されることはありません。

この記事は
ジオテクノス株式会社
渡邊 が担当しました

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