インドのごみ事情 −その2
前回の記事を書いた直後、11月末に再びインドへ行く機会がありました。
今回も、基本的にはホテルからの外出は車によるものだったのですが、様々な訪問先で話を聞くチャンスもありました。今回は、その時見聞きできたことを、追記として紹介します。
今回訪問した場所は、デリー、チェンナイ、バンガロールでした。いずれも、インドでは大都市と呼ばれている地域です。
まず、前回の訪問で撮影していなかった、街中(チェンナイ)のごみ箱を紹介します。
どのような間隔で設置されているかは分かりませんでしたが、道沿いや道の角に、一つから三つの金属製ごみ箱が写真のように設置されていました。ごみ箱が設置されている場所の周辺は、比較的きれいな印象がありました。
一方で、前回紹介したような、道路脇や空き地に一般ごみがあふれている光景とも再会することになりました。
インドでは一般ごみの分別は行われておらず、すべてのごみが行政の集積場へ投棄されてきたことから、ごみ処分場の枯渇が問題となっています。そのような状況を打開するため、インド政府はまずe-waste(電子機器関連の廃棄物)について、製造者が回収することを義務付けるようにしました。ただし、初年度の回収目標は発生量の20%とのことです。これは、企業は元より購入した一般市民への周知の進み具合を考慮した結果、あまり高望みはできないと判断したためのようです。
また、今回訪問したバンガロール市では、昨年の10月からごみの分別収集義務付けを開始しました。この義務付けでは、ごみは以下の6種類に分別することとなっています。
- Wet Waste:食品くず、野菜、果物など堆肥にできるもの
- Dry Waste:紙、プラスチック、木材、ゴム、金属製品、革製品などリサイクル可能なもの
- Garden Waste:庭から出る落葉、枝、雑草など
- Debris & Rubbish:下水汚泥、破損したれんがやガラス、モルタル、建設廃材など堆肥化・リサイクルができないもの
- Sanitary Waste:生理用品、使い捨ておむつなど
- Household Hazardous Goods:蛍光灯、電球、電池、塗料、油、化粧品、殺虫剤、電子廃棄物など
これらのごみは、所定の時間に市の収集作業員が生分解性(生ごみ、紙など)および非生分解性に分けて回収することになっています。ただし、集合住宅はコンポストやバイオ燃料設備などを設置して、生ごみを自己処理することとされ、それが出来ない場合は市が有料(1kgあたり1ルピー)で回収することとなっています。現地の報道によれば、バンガロール市で発生するごみのうち、53%が野菜くずや有機性廃棄物、20%が紙やプラスチックとのことであり、これらの堆肥化・リサイクルを進めることで処分場への投棄量を抑制することが狙いのようです。
BBMP(バンガロール市役所)によるごみ分別収集の説明
しかし、ごみの分別収集がインド国内で初めての試みであること、集合住宅では設備を設置する・しないにかかわらずお金が掛かることから、多少の混乱をもたらしているようです。実際、今回お会いしたバンガロール在住の日本人の方も「最近、近所の人が分別を始めたが、なぜだろう」と言われていました。
このように、インドのごみ事情は十分ではない一方、いろいろな試みが始まっており、今後状況が改善するのではと思われます。日本企業も多数進出している国でもあり、今後の成長と共にどのようになるか注目したい国の一つだと思います。
この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ
石津 が担当しました