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その道の人に聞く

循環型社会とサーキュラーエコノミーと日本 その2
〜サーキュラー・エコノミーに対する日本の取組み〜

環境省 環境再生・資源循環局
総務課長
土居 健太郎(どい けんたろう)様

2017年にフィンランド・ヘルシンキで開催された「世界循環経済フォーラム」
2018年は横浜で開催されます。
今回は、その世界循環経済フォーラムの日本側の事務局をされている、環境省 環境再生・資源循環局 総務課長の土居健太郎様にお話を伺います。

世界循環経済フォーラム2018 (World Circular Economy Forum 2018)

主催:
日本国環境省 及び フィンランド政府イノベーション基金(SITRA)
日程:
平成30年10月22日(月)~23日(火)
場所:
パシフィコ横浜 国際会議場
概要:
世界各国から民間企業、政府関係者その他の循環経済に関わる様々なステークホルダー(1,000名)が参加し、循環経済に関する知見やベストプラクティス等についての共有と議論が行われる予定です。
環境省 世界循環経済フォーラム2018の開催について

第2回目の今回は、「サーキュラー・エコノミーに対する日本の取組み」についてお伺いします。

【その2】サーキュラー・エコノミーに対する日本の取組み

これまでの資源循環・廃棄物処理の考え方とCEの違い

これまでの資源循環・廃棄物処理の考え方とCEの考え方で一番違うこととしては、これまで、処理費を出して廃棄物を処理してもらう、と考えていたところから、だんだんそれを、サプライチェーンの上流側、廃棄物の排出事業者もいつまでも廃棄物処理にお金を払い続けるわけにもいかない、排出事業者側も含めて儲かるような仕組みにしていかないとという、新しい切り口というか、観点が出てきたので、新しい呼び名を付けつつ、前に進めるっていうことなんだと思います。

温暖化対策の分野で、例えば排出量取引といった経済的な仕組みも入れてなんとか温暖化を止めようという方法がかなり洗練されてきています。だから、そういう考え方が廃棄物処理分野や資源リサイクルのほうにも入ってきているのかなと感じます。

経済的な仕組みでインセンティブを付けていくということでしょうか。

そうですね。経済的な仕組みを上手く付けていく、その先駆けがデポジットだと思います。例えば、瓶を確実に回収するために、例えばビール瓶を返せば5円もらえるという仕組みは、その当時は言っていませんでしたけど、経済的なインセンティブの先駆けだったと思います。

最近は、そうした金融的な話がどんどん出てきて、環境の分野にも導入されてきているので、普通に金融的な手法を取ってみようっていう議論になってきているのかなと思います。

日本では、以前から資源を「循環」させる社会だった、ということですね。

日本は島国なので、どうしても物を輸入しなきゃいけないのですが、リサイクルしたものをまた海外に商品として売るというのはかなりハードルが高いので、国内でグルグル回していきたいと、一生懸命考えた結果だと思います。

ただ、経済的な観点で、規模や労務費その他コストを考えると、バージン原料よりもリサイクル原料の価格がどうしても高くなってしまうという状況をなんとかしようと思うと、海外との連携も含めて、どういう仕組みにしていくのかを考えていかないといけないと思います。まだまだこれからだと思うのですけど。

いろんな側面で難しいなと思うのは、例えば鉄とかセメントであれば、相当昔から1億トンという物量が回っていますので、再生品がその流れの中に投入されても、そんなに飲み込めなくはないのですが、例えばプラスチックなどは、そもそもの物量が少ないので、そうすると、その流れに入れていくというのはある瞬間はできたとしても、プラスチックの需要が縮まった場合にはじき出されてしまいます。
ですので、去年から話題になっていますが、中国が工業過程から出てくるプラスチック以外は基本的に入れないという方針を取ると、影響が大きくなってしまうということだと思います。

そうした時にどうするか、どう柔軟性を持たせるかというのはすごく難しいと思います。柔軟性を持つということは、余分なものを持つということでしょうから、要すればコストがかかります。
だから、ずっと経済性を追求して競争しているという面からすると、「柔軟性を持つ」という考え方は分かるけど、具体的にどうするのかは、難しいと思います。

各種リサイクル法を見ていると、必ず何年か周期で波があります。国内でリサイクルが回っている時はいいのですが、リサイクル原料が国内でだぶついて海外に輸出されて、それはそれで良かったんだけど、いきなり資源価格が下がっちゃって、海外に出せなくなってリサイクルが回らなくなるということも、ありとあらゆる物品で経験しています。

ただ、それを機に新しい仕組みができるということもあるので、一概に悪い話じゃないとは思います。企業から見ても、自分が作った商圏が急にバンと止まっちゃうとか、止まった余波で自分のほうに流れてきたとか、プラスマイナス、いろいろあると思うのでが、それにしても、もうちょっと軟着陸というか、突然ガクンと跳ね上がるとか、下がるというのではなくて、もう少しなだらかにできないのかなとは思っています。

資源価格にも影響を受けますしね。

何がきっかけになるかが、なかなか分からないところもあります。昔、鉛のバッテリーは普通に鉛のバッテリーの素材として国内でグルグル回っていたので、使用済みのバッテリーも自動車整備工場である程度のロットを集めれば引き取ってもらえていたのですが、ソ連が崩壊して、大量の潜水艦がいらなくなったときに、潜水艦の鉛のバッテリーの鉛が、市場に大量に出てきちゃったんです。

そうすると、国際相場がガンと下がって、リサイクルが回らなくなってしまった。そうすると、日本国内で鉛バッテリーがあちこちに滞ってしまって、液が漏れたとか、山積みにして倒産しちゃいましたというのが大騒ぎになって、どうすんの、どうすんだみたいな話になって、それで、バッテリーメーカーを中心にリサイクルをする仕組みになりました。今は、問題なく回ってるんですけどね。

ソ連が崩壊して、その余波がバッテリーに来ることになるとは、何が起こるか分かんないのですが、そこは日本の知恵というか、なんとかするというのは、すごいんだなと実感しました。

いろいろありながらも、工夫しながら乗り越えてきたんですね。

廃棄物処理法

そんな静脈産業と切り離せない法律に廃棄物処理法がありますが、この法律は、厳しいですね。

もともと廃棄物処理法は、私が役所に入った平成2年(1990年)は本当に薄かったんですよ。初期の条文は本当にシンプルなんです。

廃棄物処理法は、「衛生的に処理しましょう」という目的が加わったのと、産業廃棄物が非常に増えちゃって、それの対応が非常に難しいので、「産業廃棄物という区分を作って処理責任は排出事業者という仕組み」を作ったのは、非常に画期的だったと思います。

廃棄物処理法は、昭和40年代の公害国会のときに成立したので、私が入省したころ、つまり成立してから20年間くらい、ほとんど触ってなかったんです。

リサイクルという概念は、例えば空き瓶、古新聞などについては条文に書いてありましたが、本当の産業廃棄物をリサイクルしようとかいうのは全然、切り口として入っていませんでした。

それと、当時は手続きが緩かったんです。当時は、処理施設を作るのは届出制だったんです。届出というのは、法律上の意味では、誰でもやってもいいんだけど、誰かがどこで何やってるかは把握したいので行政に教えて下さい。それで、基準に合わないところは指導します。というやり方なのですが、それで不法投棄などの問題が起きたので、平成3年の改正のときに許可制に変えたんです。その後マニフェスト制度ができたり、いろんな要素が加わってきました。

廃棄物処理法の枝番っていうのがありますけど、あれを1条と考えると一体、何条あるんだろうと数えたら、340幾らかそれくらいありました。
だから、文字上では、34条しかないですけど、実際はその10倍くらいある。

廃棄物も多様化してるし、出す人、処理する人もいろんな立場でやっていて、それごとに、色々なことを想定して、画一的ではなく、時代や産業構造に合わせて直しているということだと思います。

個別リサイクル法の制定

更にリサイクルを促進するという側面が出てきたので、それは個別にやっていこうと個別リサイクル法ができて、廃棄物処理法と個別リサイクル法の二本立てになっています。

日本で最初に作ったリサイクル法である容器包装リサイクル法も、日本が作る前にドイツとフランスではもうできていました。グリューネ・プンクトっていう緑のマークが付いているもので、基本は両方とも全部事業者のほうに責任を持ってもらって、例えば飲料メーカーが容器を引き取ってリサイクルするという仕組みです。

日本の容器包装リサイクル法が、ドイツとフランスと違うのは、リサイクル法を作っている時点で既に、自治体で分別回収とか、町内会の資源回収とかいうのをもうある程度、できていたという点です。それを、「明日から全部、飲料メーカーの責任です」って言って回収されている仕組みを全部やめてしまうのは社会的に非常にもったいない。ということで、日本は、自治体などが分別収集して、それをリサイクルするのは事業者、というやり方にしたんです。
だから、やり方がドイツ、フランスと、日本とで全然違います。

同じことが自動車リサイクル法にも言えます。ヨーロッパの自動車リサイクル法は、メーカーに全部責任があるので、自動車の引き取り義務から事業者にあるのですが、日本の場合はもう解体業者さんによってリサイクルされる流れができていたので、リサイクルの障害になる、一番お金がかかるエアバックとフロンと、ASRをメーカーが引き取るというというやり方になっています。

リサイクル法が検討される時の社会情勢に合わせたような形で設計されるんですね。

リサイクル法は各国にあると思うんですけど、日本と形はそれぞれ違っていますね。いろいろ、一長一短がありますが、いろいろ議論してそうなっているんだとは思います。

容器包装リサイクル法を検討していた時に、ドイツとかフランスに調査に行って、質問するのですが、なぜそれを疑問に思ったのか、理解されないんです。
容器包装リサイクル法の考え方は、消費者は中身、飲み物や、シャンプーが欲しいのであって、外側の容器をどんなものにするかを消費者は選べない。容器を選択できるメーカーに、リサイクルの義務を負ってもらって、リサイクルしやすい容器等にしてもらおうというロジックなのです。

じゃあ、外側の容器も欲しいものがあったらどうなんの?と。例えばくまの形をしたシャンプーだと、外側も欲しいよね、それって容器包装の法律の対象にしていいの?という議論をしていたんです。それで、そういう質問をすると「何言ってんの、おまえら」みたいな話になって、「そんなの全体から比べればほんの一部でしょう」、「全体が回ればいいじゃないですか」、「これが容器包装かどうかなんて悩んでる必要なんかあるの?」、「それをわざわざ聞きに来たの?」っていうふうに聞かれました。

でもやっぱり、法律施行する面から、そういうのを作っている会社にとっては、「いやいや、今のロジックだと、うちは外れるはずだから、リサイクル費用とか義務は発生しないはずじゃないか」と言われないかとか、どうやって施行しているのかなど気になります。
同じ役人でも全然違いますね。「何を質問してんだか分からない」って言われちゃうんです。

日本の廃棄物と海外の「Waste」の定義も全然違いますね。


ここまでお読みいただきありがとうございます。
来月号は、平成30年10月22日(月)~23日(火)に開催される世界循環経済フォーラム2018の様子(速報)をお伝えしたいと思っています。


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