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持続可能な脱炭素社会実現を目指す企業グループ(JCLP) その5
~RE100~

名称 日本気候リーダーズ・パートナーシップ
(Japan Climate Leaders’ Partnership(JCLP))

設立 2009年7月

持続可能な脱炭素社会実現を目指す企業グループをご存知ですか?
脱炭素社会の実現に向け、個別企業の枠を超えた活動に取り組んでいるという「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan Climate Leaders’ Partnership(JCLP))」の事務局である松尾 雄介様に、お話を伺いました。

【その5】RE100

最近、気象がおかしいなと感じ始めた方が多いと思います。以前は気象がおかしくても、気候変動ではない、温暖化ではないと、いろんな懐疑論が出ていました。それが、この1、2年は、気象庁が「温暖化の影響があります」と言い始め、マスコミによる報道も気象がおかしいのは気候変動の影響があると報道し始めたので、温暖化に関する世論は高まりつつあるのではと期待しています。

防災の限界

温暖化で気象が変わってきています。大型の台風が来る可能性があります。温暖化対策しましょう、という議論にはなっていない様に思います。

確かにそうだですね。災害への関心は高まっても、その災害と温暖化、そしてその対策がと関連付けられていないと思います。ここは、前回の説明でも出てきたカリフォルニア州との違いですね。日本のメディアの論調は「災害が大変だ。だから防災が大事だ」でとどまっています。「このまま温暖化が進めば、より災害はひどくなる。だからCO2排出量を減らして、気温上昇を2度まで抑えましょう」という報道は少ないです。

今、気温が1度上昇した状態で、これだけ台風や暑さなどが顕在化していますので、今後さらに1度気温が上昇すると、例えば被害額とかで言うとおそらくは現在の数倍以上になると思います。洪水や猛暑、感染病などの複合災害のリスクも増えるでしょう。洪水一つとっても、個人的には防災で対応する限度を超えると思います。

より懸念されるのは、気温上昇が2℃を超えてしまい、いわゆるティンピング・ポイントを超えてしまうと、不可逆的な変化が起こり、それこそ経済や社会の安定自体が崩壊するということです。ですので、例えば気温上昇は2度や1.5度に抑えるのを目指しながら、どうしても避けられない被害については防災も考えるというように、両方考えないといけません。

2017年7月は、福岡県と大分県を中心とした九州北部で集中豪雨が発生しましたし、2018年は6月末から7月にかけて、台風7号と梅雨前線等の影響で広島県と岡山県などで土砂災害や浸水害が広い範囲で発生し、広島県では100人以上の方が亡くなりました。2018年9月は、台風21号では、関西空港の連絡橋にタンカーが衝突するなど関西地方に大きな被害をもたらしました。

2019年に9月の台風15号では、暴風と大雨によって電信柱が倒壊して長期的な停電と断水が続きました、10月の台風第19号では北陸新幹線車両基地が水没するなど交通への影響や、ラグビーワールドカップに関するスポーツへの影響が出ましたし、10月の台風21号では千葉県や福島県で記録的な大雨を記録し、河川が氾濫しました。

防災に加えて、気候変動対策にまで手が回らない、という事ではなく、このまま気温が上がると、まずい状態になってしまうと、だんだん肌で感じるようになってきました。

どこかの段階で状況ががらっと変わって、一気に脱炭素化の方向に進まざるを得ないと思っています。企業は、その変化の衝撃に備えないといけないと思っています。前回出てきた保険に関しても、災害リスクを評価すると保険が出ないとか、土地や施設といった不動産の再評価にも影響してくると思います。
これらは既に海外では起こっていることで。日本でその変化がどれぐらいの時間軸で起こるかはまだわかりませんが、個人的には5年以内には転換点が訪れ、変化が始まると思います。

転換点を迎えても、日付が変わればすべてが変わっていて、明日から工場が稼働できなくなるというようなものではないと思いますが、転換がスタートしたのち、10年、15年かけて脱炭素に移行していく際に、ちゃんと移行プランを練れている、準備ができている会社は安定的な経営ができると思いますが、移行にうまく乗らないと痛い目に遭うと思います。
転換に際して、非常に短期間にそれまでの大企業が一気に衰退するなどは、気候変動に限らず、過去のビジネスの歴史で普通に繰り返されていることであり、今回は気候変動でそれが起こると思っています。

以前、OECD元事務次長の玉木さんの話を伺った時に、1970年代に公害が問題になった時に、公害対策をまともにしたら会社は潰れると言われた時期もあるけれど、結局、公害対策をしなかった会社が潰れて、どの会社も今は当たり前のように公害対策をしている。温暖化もそれと同じだとお話されていました。まさにそのとおりだと思います。

気候変動対策

もう1つ気になるのが、日本で「気候変動対策に力を入れよう」となったとしても、国民それぞれの個人の環境意識をもっと向上させよう、という事になりそうな気がしませんか。

そうですね。エコバッグを使うとか、電気をこまめに消すとか、大事ではありますが、それだけでは根本的な解決になりません。大雑把なたとえで言うと、気温が4度上昇するところが3.9度上昇で抑えられるとかで、個人の意識でできる範囲のアクションでは残念ながら解決には残念ながら程遠いと思っています。

そのあたりをグレタさんはよく理解されていて、だから気候変動対策には政策が必要で、政策を変えるように主張していますね。

気温上昇を2度に抑えるためには、あと20年や30年でCO2排出量をゼロにする必要があります。つまり脱炭素、二酸化炭素を出さない暮らしが必要です。

CO2の排出量を10%削減して90%にする、20%削減して80%にするといったことではなく、CO2の排出量を0%まで下げていくということですね。

そうです。そのために、例えば電源については再エネルギー使用100%を目指すのです。それが、RE100ですね。

RE100

JCLPが日本の窓口を担われているRE100について、ご紹介頂けますか。

RE100は、世界で影響力のある企業が、事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする国際イニシアチブです。
RE100には、情報技術から自動車製造までフォーチュン・グローバル500企業を含む多様な分野から企業が参加し、世界の時価総額トップ企業の多くが参加しています。需要家企業が結集することで、供給側、つまりエネルギー企業にマーケットシグナルを送る、ひいては政策立案者に対してエネルギー移行を加速させるためのシグナルを送ることを意図しています。

日本ではJCLPが日本の窓口として、日本企業の参加を支援しています。日本では2020年5月現在、33社が参加しています。

よくあるご質問(RE100)(JCLPホームぺージ)

事業で使用する電力100%再生可能エネルギーにする、というのはハードルが高そうな気がしますが、世界では230社以上が参加しているんですね。

RE100に参加する際に、遅くとも2050年までに再生可能エネルギー100%を達成する目標にコミットすることが必要です。
中間目標の最低ラインは「2020年30%、2030年60%、2040年90%」ですが、日本企業の中間目標設定は必須から推奨に緩和されています。

分かりやすく言うと、一定期間のうちに再生可能エネルギーを使いますと宣言するという事なんです。そうすることによって、再生可能エネルギーの需要が将来的にこれぐらいあるとマーケットに示し、再エネ事業者さんに工夫してもらったり、いいサービスを作ってもらったりして、昔だったらKWh単価20円でしか買えなかったものが、10円で買えるようになって、そしたら買いましょうという好循環を生むためのものです。

なお、時々RE100を認証制度のようにとらえて「うちはまだ100%再エネ化は無理だから参加できない」という声を頂きますが、RE100は、「まだ100%再エネは無理」だからこそやるべきものです。マーケットにシグナルを送るのが目的で、そのことで、現在は「無理」なことを可能にしていく、そういうメカニズムです。

日本の温暖化対策の流れをけん引してくのはRE100だと思っています。

RE100に参加している企業の電力需要は、日本の電力需要の2.5%ぐらいに相当します。
家庭部門の電力消費はだいたい2割ぐらいで、その中でも一定割合は再エネに切り替えると考える人たちがいることを勘案すると、再生可能エネルギーを使いたいという需要家が、日本の電力需要の5%、6%ぐらいまで来てると思います。

RE100は大企業しかできないと言う人がいるのですが、どうなんですか?

RE100の参加条件として、日本企業は電力消費量が10GWh以上というのがありますが、RE100の兄弟分の「RE Action」というものもあります。こちらは、中小企業、学校、自治体、病院などが参加しています。65団体、従業員8万人、消費電力量906GWhになっています(2020年5月現在)。
中小規模の事業者さんは、大企業と違い、元々の電力購入価格がそれほど割引されていないので、再エネに切り替えるコストが低いので、より宣言しやすいと思います。

参考:再エネ100宣言 RE Action

2019年6月17日に「再生可能エネルギー需要の増加によるマーケットへの影響-急増する再エネ100%への企業ニーズ-」を開催しました。

RE100は、金持ちの道楽だという風に思われている方もいるようなのですが、決してそうではありません。むしろRE100が目指しているのは、コストアップにならずに再エネが買える社会です。

これで、インタビューは終わりです。様々なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。


今回の連載を終えて

人類の経済活動によって、地球環境に確実に温暖化の影響が表れています。その温暖化の影響が今度は、経済活動のみならず日常生活にも暗い影を落とし始めています。しかし、多くの人(私も)が温暖化対策の重要性を理解しながら、何をしたらいいのかわからない状態です。その中で立ち上がったRE100やRE Actionの活動は、今後も注目していきたいです。


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