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タイ王国とタイの環境問題(2) ~タイの産業廃棄物処理~

「タイ」からのレポートをお届けしています。
タイの文化や、環境問題、廃棄物処理の現状などをレポートしています。

■タイの経済

タイは、東南アジアにおいて政治的に比較的安定した国家であったこともあり、古くから外資の進出による工業化が進んできました。
特に、1980年代後半からは年率10%近い経済成長が続き、1997年の通貨危機を乗り越え今後とも成長が続いていくことが予想されています。
また、自動車製造業関連の工場の集積が進んでおり、ASEAN地域における自動車や家電の生産拠点としての存在感は未だ健在です。

日系企業の進出の歴史も古く、盤谷日本人商工会議所登録社数だけでも1950年代からこれまでに1,300社以上を数えており、実際には数千社が進出していると考えられています。
また、日本大使館への在留邦人届も約4万5千件の登録がなされており、バンコクには駐在員などが多く住んでいる日本人街のようなエリアもあります。
このような経緯から、タイは親日国であると考えられ、日本の文化や料理への関心も高く、地元テレビで日本のドラマやアニメが放送されていることも多いです。

タイのGDPは約2,600億ドル、一人当たりでは4,000ドルと日本の10分の1程度ですが、物価が安いこともあり購買力平価ベースでは8,000ドル程度に相当します。
しかしながら、消費者の購買意欲はなかなか旺盛です。
特に、自動車は税金の関係でタイでは日本よりも高い価格で販売されているのですが、今年に入り販売台数は昨年までの景気の冷えこみからV字回復。街中でも納車したてと思われるピカピカの新車を見かけることもしばしばあります(今にも壊れて止まりそうなボロボロの車も見受けられますが……)。

携帯電話の普及も進んでおり、先日iPhoneも正式に発売になりました。しかし、こちらでは同じスマートフォンでもBlackBerryの方が人気が高いようです(いずれも新品は1~3万バーツ=3~9万円程度で売られており、タイの物価水準から考えればかなりの高級品です)。

首都バンコクなどには大型のデパートやショッピングセンターが数多く存在し、冷房の効いた涼しい館内にはマクドナルドやモスバーガー、スターバックスコーヒー、GAP、無印良品、紀伊国屋書店など日本でもお馴染みのショップも入っていますので、歩いていると一瞬日本にいるかのような錯覚を覚えることもあります。
スーパーでも、日系メーカ現地法人の製品など日本と比べて遜色ないレベルの品質の日用品が入手可能です。

一方、路上の屋台では100円前後(30~40バーツ)で食事をとることも可能であり、コンビニでコーラの500mlペットボトルを買っても50円(17バーツ)。このような物価や人件費の安さもタイの魅力の一つとなっています。
反面、工業化の進んでいない地方部や都市内部の低所得者層との格差問題も生じつつあり、先日のバンコクにおけるデモ騒動の一因になっているとも指摘されています。

Photoまた、タイは東南アジア一エキサイティングな大都市バンコクや美しいビーチリゾート、タイ式マッサージ、温厚な国民性などから「微笑みの国」としても知られ、観光地としても人気があります。
昨今のデモ騒動で日本からの渡航者は一時的に伸び悩みつつありますが、欧米系の旅行者を含めて年間に1,500万人以上の外国人観光客が訪問していると言われており、観光も重要な産業の一つとなっています。

■タイの産業廃棄物処理について

タイにおける工場から発生する産業廃棄物の処理は主にMinistry of Industry(工業省)傘下の Department of Industrial Works(工業省工業局;以下DIW)によって管理されており、廃棄物処理関連法令の土台となる法律には“工場法(仏暦2535年/西暦1992年)が存在します。

タイにおいて工場から発生する廃棄物は、まず製造工程から発生した廃棄物かどうかによりIndustrial Waste(産業廃棄物)とCommercial Waste(それ以外の廃棄物)に分類されます。工場において発生した不良品や処分在庫も産業廃棄物と見なされます。
次にそれぞれの廃棄物に関して、発生工程や有害物質が含まれているかどうかによりHazardous Waste(有害廃棄物)とNon-hazardous Waste(非有害廃棄物)に分類されます。
また、金属スクラップや各種プラスチックなど、リサイクル可能な廃棄物の場合は業者に回収してもらうことももちろん可能です。

タイにおける有害物質の定義は“危険物法(仏暦2535年/西暦1992年)”に示されており、具体的には爆発物や毒物など10種類の分類が定義されています。
しかしながら、産業廃棄物に関してはDIWから“汚物もしくは不用品の処理に関する工業省告示(仏暦2548年/西暦2005年)”という工場法に伴なう告示が制定されており、この告示の付録2において各業種から発生する代表的な廃棄物(19業種約800種類)についてそれぞれ有害廃棄物/非有害廃棄物/有害廃棄物に相当するか化学分析による判定が必要な廃棄物(Hazardous Minor廃棄物)という3つのカテゴリのどれに相当するかが指定されています。

廃棄物の有害性の判定時には、この告示の付録(廃棄物コード表)をまず参照することになりますが、最終的には処理の開始前に廃棄物の処理計画案をDIWに申請して許可を得る必要があり、有害性の判定や処理方法に問題が無いか確認を取ることになります。
また、実際の処理時には日本と同様に廃棄物管理票(マニフェスト)を運用して、処理の進行と完了をDIWに報告する必要があります。

廃棄物判定フロー図

有害廃棄物に関しては、原則として焼却処理が推奨されていますが、現在タイ国内に大型の有害廃棄物用の焼却炉は1ヶ所しか無いために、薬剤で安定化した後に有害廃棄物専用の処分場に埋め立てる処理方法が主流です。
また、セメント製造時に石灰石などと混合して原料化してしまう方法もあります。

一方、非有害廃棄物に関しては、都市ゴミと同様に最終処分場への埋立て処理または焼却処理が主流です。
埋立て処理の場合、有害物質をあまり含まない廃棄物であっても処分場の内部では雨水が廃棄物と接触して汚れた水(浸出水)が発生しますので、これらの管理・回収・処理をきちんと行っている業者を選ぶことが大切です。

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