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台湾事情 −その1

台湾は日本より一足早く2000年2月に土壌汚染対策法(土壌及地下水汚染整治法)を制定・公布しました。その後、改正を繰り返し、厳しくなっていく傾向にあります。これまでも、法の対象となる業種が17業種定められ、適用範囲が明確化がされています。さらに、対象業種は17業種から25業種への拡大が予定されています。
た、行政(EPA/EPB)による工業区や公共エリアでの定期地下水モニタリングがなされる事となっています。

当社グループでは2004年から台湾で土壌汚染の対策業務を受注しており、2005年に関連会社のE&Eソリューションズ(株)が、2007年にDOWAエコシステム(株)が台北にオフィスを設立しました。現在、台湾系と日系両方の仕事を手掛けております。

今回のレポートは、“台湾事情”を、当社駐在員にいろいろ質問してみました。

■ 日本と台湾の違いをザックリと話してもらえますか?

対象物質数は日本の約2倍(54物質)あります。VOC(揮発性有機化合物)と油の対象物質が多いのが特徴です。基準は緩いもの(例えば鉛は日本150mg/kgに対して台湾2,000mg/kg)と、厳しいもの(砒素は日本150mg/kgに対して台湾60mg/kg)があります。 土壌は含有量基準のみであり、溶出基準はありません(地下水基準はあります)。そのため、地下水汚染との関係が不明確になりがちという傾向があります。

日本では敷地外への汚染拡散を防止すれば行政からさらに踏み込んだ浄化を要求されることはありませんが、台湾では場内に留まった汚染であっても速やかに浄化を命じられることがあり得ます。台湾では政府に立入調査の権限があったり、操業停止命令が出せるなど、行政が強い印象があります。特に、VOCによる地下水汚染が社会問題化したことがあるため、VOC汚染に注意を払っています。一方、地方政府の裁量に任せている感じがあり、運用には柔軟性が感じられることがあります。

■ 環境についての背景はどうですか?

アジア全体に言えることですが、短い期間で急速に工業化したため、汚染する側の意識が醸成されてない面があると思います。汚染される側の意識と行動は政治の民主化と密接な関係があると考えますが、これは特に1985年の戒厳令解除後、政治の民主化とともに短期間に拡がったのではないかと思います。

■ 一般生活で、土壌汚染についての問題意識はどうなのでしょう?

日常生活ではほとんど意識はありませんが、一旦汚染が発覚すると住民運動が発生する可能性があると思います。

■ 一般生活で、土壌汚染についての問題意識はどうなのでしょう?

日常生活ではほとんど意識はありませんが、一旦汚染が発覚すると住民運動が発生する可能性があると思います。

■ 一番驚いた常識の違いみたいなことは何でしょうか?

汚染土壌としての場外搬出処理費用が日本よりも高いことです。法的にもそうなんですが、経済的にも場内処理になりやすい傾向があります。

■ 何故そんなに高いのですか?

台湾では最終処分場が逼迫気味です。そのため需給問題、搬入可能な許可がある処分場が少ないこと、そして汚染土壌がスポット物であること等の理由が考えられます。

■ 場内処理がメインとなると、時間がかかりますよね。

そうですね、処理計画書の審査も含めて、日本より時間がかかる傾向があります。
また、台湾では高濃度に汚染された土地(整治サイト)は売買が禁止されています。

■ 汚染土壌や、処理後の土をセメントにすることはしないのですか?

セメント処理は極めてマイナーです。地方環境保護局が認めた特殊ケースのみ受入(過去1件)実績があります。背景として、汚染土壌を受入れたセメントのカテゴリ・基準が現状存在しないことが挙げられます。台湾では、例えば石炭灰を用いたセメントは、石炭灰使用セメントとして販売せねばならず、製品基準が存在します。

台湾の廃棄物管理は、日本より進んでいる面があります。マニフェストは電子化されてWeb上で管理されています。

ところで廃棄物と言えば、台湾には「環境督察総隊」と「環境保護警察隊」という環境専門の取締組織があります。

「環境督察総隊」は「環境保護署」の管轄で、地方政府の環境保護業務の執行をサポートしています。廃棄物処理事項等の監督・取締、および不法投棄の追跡調査などを行うのが仕事です。
「環境保護警察隊」は、内政部警政署(≒警視庁)の管轄で、警察の技術を活かして「環境督察総隊」の業務をサポートしています。

次回も引き続き、台湾事情をお伝えします。

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