法文読解 基礎力養成講座 その2
~又は・若しくは 例文解説~
前回は、選択される対象が全部並列できる場合には「又は」を用いること、選択の対象に段階がある場合には、小さい方の選択の段階に「若しくは」を用い、大きい方の選択の段階に「又は」を用いること見ましたが、今回は、廃棄物処理法の法文の具体例を見ていきます。一つのポイントは、「又は」を基準に、前の文と後の文を分断して構造を考えることです。
1. 二段階の関係
「(A・B)・C」という二段階の関係を表したい場合には、「A若しくはB又はC」という表記になります。
【例文】廃棄物処理法 第十四条 第12項
第一項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物収集運搬業者」という。)又は第六項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物処分業者」という。)は、産業廃棄物処理基準に従い、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならない。
→(収集・運搬)・(処分)
【例文】廃棄物処理法施行令 第3条第3号
ワ ばいじん若しくは燃え殻又はばいじん若しくは燃え殻を処分するために処理したものの埋立処分を行う場合には、イからホまでによるほか、次によること。
→(ばいじん・燃え殻)・{(ばいじん・燃え殻)を処分するために処理したもの}
「(A・B・C)・D」という二段階の関係を表す場合には、「A、B若しくはC又はD」という表記になります。
【例文】施行令 別表第四の三
別表第五の三の項の中欄に掲げる施設を有する工場若しくは事業場において生じた汚泥、廃酸若しくは廃アルカリ又は指定下水汚泥の焼却施設及び第七条第八号に掲げる施設
→(汚泥・廃酸・廃アルカリ)・(指定下水汚泥)
2. 三段階の接続
三段階以上の場合には、最上位の接続でのみ「又は」を用います。
「{(A・B)・C}・D」という三段階の関係を表したい場合には、「A若しくはB若しくはC又はD」という表記になります。
【例文】廃棄物処理法施行令 第6条の5 第3号
ソ イ(1)に規定する燃え殻若しくはばいじん若しくは当該燃え殻若しくはばいじんを処分するために処理したもの又はイ(3)に規定する汚泥若しくは当該汚泥を処分するために処理したものの埋立処分を行う場合には、あらかじめ、環境省令で定める基準に適合するものにし、又は環境大臣が定めるところにより固型化すること。
→〔{イ(1)に規定する(燃え殻・ばいじん)}・{当該(燃え殻・ばいじん)を処分するために処理したもの}〕・〔イ(3)に規定する{(汚泥)・(汚泥を処分するために処理したもの)}〕
【アドバンス】
「{(A・B)・C}・D」という三段階の関係を表したい場合には、「A若しくはB若しくはC又はD」となりますが、
「{A・(B・C)}・D」という三段階の関係を表す場合にも、「A若しくはB若しくはC又はD」との記載になります。
文の構造は、内容から判断することになりますが、基本的に「{A・(B・C)}・D」という構造にはしないように、予め表現する順序を工夫するのが通例のようです。
■最後に
例文解説は、いかがでしたか?概念として理解しても、実際の条文で考えると、「あれ?どうだったっけ?」と分からなくなる事があります。
「又は」を基準に、前の文と後の文を分断して構造を考える事を忘れずに見ていきましょう!
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました