「PCB特措法」解説(2) ~排出者がしなければいけない事と罰則1~
ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下「PCB特措法」)についてシリーズで解説をしています。
「PCB特措法」解説 第1回 ~制定の背景、目的、処理期限~
PCB特措法解説・第2回目は、排出者に関係する各項目と罰則について解説していきます。
「PCB特措法」では、PCB廃棄物保管事業者(排出者)が遵守すべき事項をそれぞれ定めています。
定義(第2条)
「事業者」とは、第十三条(ポリ塩化ビフェニル使用製品に係る措置)を除き、その事業活動に伴ってポリ塩化ビフェニル廃棄物を保管する事業者
事業者の責務(第3条)
PCB廃棄物を自らの責任において確実かつ適正に処理する責務を負うこととされています。
期間内の処分(第10条、規則第8条)
平成39年3月31日までの適正な処分について規定しています。なお、事業者が上記の処分等に違反した場合は、環境大臣または都道府県知事が、事業者に対し期限を定めて、PCB廃棄物の処分など必要な措置を命ずることができます。(法第16条)
保管状況等の届出(法第8条、規則第5条)
PCB廃棄物を保管する事業者は、前年度における保管・処分の状況について、都道府県・政令市に届出書を提出しなければなりません。また、PCB廃棄物の中間処分又は最終処分が終了した場合、その旨を記載した産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写しを複写したものを、届出書に添付しなければなりません。
保管事業場の変更届出(規則第6条)
PCB廃棄物を保管する事業場に変更があった場合は、変更後10日以内に、変更届出書を都道府県知事・政令市長へ提出しなければなりません。
PCB廃棄物の承継の届出(法第12条第2項、規則第9条)
相続、合併、または分割により、PCB廃棄物を承継した場合は、承継があった日から30日以内に、承継届出書を都道府県知事に提出しなければなりません。
譲渡及び譲り受けの制限(法第11条、規則第8条)
PCB廃棄物を譲り渡し、又は譲り受けることは、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理に支障を及ぼすおそれがないものとして環境省令で定める場合※を除き、禁止されています。
※ 地方公共団体又は日本環境安全事業株式会社(JESCO)以外の者に譲り渡すには、事前に所管の知事又は市長の承認が必要となります。承認の手続については、所管の都道府県又は政令市の担当課にお問い合わせください。
また、PCB特措法においては、以下の罰則規定が定められています。
規則 | 罰則 |
---|---|
平成39年3月31日までに適正処理を行わず、環境大臣または都道府県知事による改善命令に違反した場合 | 3年以下の懲役もしくは、1,000万円以下の罰金またはこれらの併科 |
PCB廃棄物を譲渡し、または譲り受けた場合 (環境省が定める場合を除く) |
3年以下の懲役もしくは、1,000万円以下の罰金またはこれらの併科 |
PCB廃棄物の保管および処分について届出を行わなかったり、虚偽の届出をした場合 | 6ヶ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金 |
PCB保管事業者の相続、合併または分離により事業を承継した法人が承継の届出を行わなかったり、虚偽の届出をした場合 | 30万円以下の罰金 |
Q.なぜ事業者が保管や処理の責任を負うのですか?
- A.
- 廃棄物処理法やPCB特措法では、事業者の責務として、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないこと、処理するまでの間、適正に保管することなどが定められています。従って、PCBを含む電気機器等を使用してきた事業者自身が、不用となったこれらの機器の保管や処理に責任を有することとなります。
次回は、それでは実際どのようにPCB汚染廃棄物を保管しなければならないのか、廃棄物処理法に基づいて確認していきましょう。
この記事は
エコシステムジャパン株式会社 営業企画部
堀岡 が担当しました