使用済小型電子機器等の再資源化に関する認定事業者について
環境省・経済産業省は平成25年8月9日、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律に則して使用済小型電子機器等の再資源化を行うことのできる事業者(認定事業者)を公表し、DOWAグループの(株)エコリサイクルは、青森県、秋田県、岩手県を収集エリアとする再資源化事業者として認定されました。
本稿では、認定事業者とは何か、またその認定基準や果たす役割について、実際に認定を受けた立場からご紹介します。
認定事業者とは?
国が認める、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(以下、「法律」と記載。)で定められた使用済電子機器等を再資源化することのできる事業者です。
法律では、市町村が使用済小型電子機器等を回収する責務を負っており、認定事業者はこれらの市町村と協議し、使用済小型電子機器等の引き渡しを受け、適正に再資源化を行うこととなります。
これまで、一般消費者が排出する使用済小型電子機器等は一般廃棄物に分類され、その処理は廃棄物処理法に則して市町村が責任を負うことから、廃棄物としての収集運搬や処理を行う業者は各市町村から個別に業の許可を得る必要があったり、仮に市町村を越境して処理する場合は関係する市町村間で事前の通知を行うなど様々な実務的な準備が必要で、実質的に広域的に使用済小型電子機器等を収集し処理することは困難でした。
これに対し、今回の法律に基づく認定事業者(またはその委託先)は、その再資源化処理が廃棄物の適正な管理と資源確保に資すると国に認められることに伴い、使用済小型電子機器等の再資源化を行う場合に市町村長等による廃棄物処理業の許可が不要となります(ただし使用済小型電子機器等の引渡しに関する市町村との契約が必要となります)。
認定事業者になるためには?
認定事業者になるためには、「使用済小型電子機器等の再資源化事業計画」を作成し、その内容について国の審査を受ける必要があります。
認定の基準について、法律施行規則第四条には次のように記載されています。
【再資源化事業の内容の基準】
- 引取りから処分が終了するまでの一連の行程が明らかであること。
- 使用済小型電子機器等から密閉形蓄電池、蛍光灯、フロン類等を技術的かつ経済的に可能な範囲で回収し処理すること。
- 使用済小型電子機器等に含まれる鉄、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム及びプラスチックを、破砕、選別その他の方法により高度に分別して回収し、当該回収物に含まれる資源の再資源化、熱回収又は安定化を行うこと。
- 個人情報の漏えいの防止のために必要な措置を講じていること。
- 再資源化事業を他人に委託する場合にあっては、適切に行うこと。
- 使用済小型電子機器等の再使用を行う場合にあっては、適正に動作することを確認すること等を行うことにより、再使用を適正に行うこと。
- 再資源化事業の実施の状況を把握する措置を講じていること。
実際の審査では、提出書類の不備のチェックはもちろんのこと、その内容についても厳正な審査が行われました。なかでも、使用済小型電子機器等の処理内容がどのようなものか(適正な処理が行われるか)、また、処理委託・売却先から製錬に至る一連の工程においても同様に適正な管理・処理がなされ、それを当社が把握できる体制が整っているか、などについて、厳しいチェックがなされました。
この他にも、使用済小型電子機器等を収集する区域が法律の要件※を満足するか、あるいは、申請者の技術的・知識的能力、経理的基礎などもしっかりと審査されます。
※ 区域の基準(施行規則第五条)の概要
北海道、沖縄県、または相互に隣接する三以上の都道府県の区域の全部を含み、かつ、区域内の人口密度が一平方キロメートルあたり千人未満であること。互いに隣接しない複数の区域で構成される場合は、それぞれの区域についてこの基準を満たすこと。
認定事業者が果たす役割
今回の法律は、いわゆる都市鉱山としてその資源性やリサイクルの必要性が叫ばれながらも、社会システムやインフラ基盤等が整備されていないために、例えば自治体などで埋立処分されたり、あるいは違法に回収され海外にスクラップと共に輸出されたりしていた使用済電子機器等を回収・適正処理し、廃棄物の適正な管理と資源の確保を促進するものとして整備されました。
こうした背景から、その一翼を担う認定事業者には、回収された使用済小型電子機器等を適正かつ継続的に処理し、鉄やアルミ、非鉄金属、貴金属など有用資源の確保に努めることが求められます。
家庭から排出される使用済小型電子機器等はこれまで、社会情勢や消費者のニーズなど、時代の変遷とともにその種類や内容が大きく様変わりしてきました。その傾向は今後も続くとみられます。貴金属やレアメタルなど機器に含まれる有用物の種類や量も絶えず変化を続けることから、認定事業者はこれらの状況を常に把握し、社会の要求に応え続けていくことが重要といえます。
エコリサイクルはDOWAグループの一員として、これまでの取り組みで培った技術やノウハウをもとに、認定事業者として使用済小型電子機器等の再資源化に積極的に取り組んでいきます。
【これまでの取り組み】
この記事は
株式会社エコリサイクル
狩野 が担当しました