DOWAエコジャーナル

本サイトは、DOWAエコシステム株式会社が運営・管理する、環境対策に関する情報提供サイトです。毎月1回、メールマガジンの発行と情報を更新しています。

文字サイズ

法規と条例記事一覧 ▶︎

「再生可能エネルギー特別措置法」が施行されました その1

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が(再生可能エネルギー特別措置法)施行されました。

昨年、第177通常国会で成立した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(再生可能エネルギー特別措置法)、いわゆる固定価格買取制度:FIT(Feed-in Tariff)が平成24年7月1日よりスタートしました。
ここでは、その概要をできるだけわかりやすくお伝えいたします。

■法制度の概要

「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(以下、再生エネ特措法とします)の第一条には、本制度の目的が以下のように掲げられています。
「この法律は、再生可能エネルギー源を利用することが、エネルギーの安定的かつ適切な供給の確保、エネルギーの供給に係る環境への負荷の低減を図る上で重要となっていることより、電気のエネルギー源としての利用を促進し、国際競争力の強化及び我が国産業の振興、地域の活性化を目的とする。」(要約:同法第一条)
つまり、地球温暖化対策をはじめ、日本のエネルギー戦略や、各産業の国際競争力強化などに狙いを置いた法制度であることがよくわかります。

この制度をまとめると以下のようになります。すなわち、

  1. 電力会社に対して、再生可能エネルギー発電事業者から政府が定めた調達価格及びその期間による電気の供給契約の申し込みがあった場合には応じるよう義務化。
  2. 制度運用に伴い電気事業者が電力の買い取りに要した費用は、原則「賦課金」(サーチャージ)として国民が広く負担する。

というものです。
現在、制度の若干の違いはありますが、FITは、世界50か国以上で導入され、多くの運用実績があります。

(資源エネルギー庁 ホームページより)

■電力の買い取り価格について

電気事業者に義務化される発電事業者からの調達価格を以下の表にまとめました。これらの価格は毎年見直しが行われ、基本的には減額されていきます。ただし、「施行後3年間は、調達価格を定めるに当たり、再生可能エネルギー電気供給者の利潤に特に配慮する」こととしているため、いわゆるプレミアム価格が設定されることになります。これは、本制度の施行を契機に再生可能エネルギーの大幅導入拡大の道筋をつけることが意図されているからです。

また、本制度の施行時から時間が経過してから参入するほど調達価格が安くなっていくことは、太陽光パネル等の各種発電設備機器の値下がりを待って参入を図ることに対する抑制効果も期待されています。
さらに事業計画が不十分なまま、調達価格が高額な時点で発電事業の設置申請のみが先行しないように、調達価格、調達期間は、発電事業者が電気事業者への接続契約申込時又は、国の設備認定時のいずれか遅い時点を基準時として決められるなどの工夫がされています。

なお、現在、一般家庭の屋根置き型太陽光発電に代表される10kWh未満の発電については、いままでどおり、「余剰電力買取制度」で継続実施されていきます。

表 再生可能エネルギーの買い取り価格とその期間
種別 発電規模 買取価格 期間
太陽光発電 10kW以上 42.00円 20年
10kW未満(余剰買取制度) 42.00円 10年
風力発電 20kW以上 23.10円 20年
20kW未満(余剰買取制度) 57.75円 20年
水力発電 1,000kW以上 30,000kW未満 25.20円 20年
200kW以上 1,000kW未満 30.45円 20年
200kW未満 35.70円 20年
地熱発電 15,000kW以上 27.30円 15年
15,000kW未満 42.00円 15年
バイオマス発電 メタン発酵・ガス化 40.95円 20年
未利用木材 33.60円 20年
端材・稲わら・もみ殻など 25.20円 20年
下水汚泥・食品廃棄物など 17.85円 20年
リサイクル木材 13.65円 20年

※買取価格:1kW/hの単価

■指摘されている問題点

発電事業者の参入規模の拡大は、反面、電力の調達費用の増大にもつながるため、それらを勘案して慎重に調達価格を見直す(下げていく)ことになります。しかし、電力関連の市場に直接影響するため、その減額幅の調整は非常にむずかしく、近年では、スペインで調達価格の下落をきっかけに参入事業者が激減する事態が発生しています。

また、本制度は、基本的に電気事業者が行う電力の買い取り費用を「賦課金」として国民に広く負担を求める仕組みをとっているため、「発電事業者が消費者におんぶにだっこの形になる」(経団連 米倉会長)といった指摘もでており、制度の在り方に対しての検討が引き続き求められていくことになります。

現在、環境コンサルタントのイー・アンド・イー ソリューションズでは、太陽光発電事業に伴う技術的コンサルティングの各種サービスを提供しております。
そこで、次回は、事業化をご検討される皆様への各種サービスを通じてえた知見などを基に、太陽光発電事業のリスクについてお話してまいります。

【参考資料】

経済産業省資源エネルギー庁 ホームページ
なっとく!再生可能エネルギー
制度解説資料
再生可能エネルギーコンテンツ集


鈴木 この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ
鈴木 が担当しました

※ご意見・ご感想・ご質問はこちらのリンク先からお送りください。
ご氏名やメールアドレスを公表する事はありません。

▲このページの先頭へ

ページの先頭に戻ります