「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」
~PCB廃棄物保有事業者が気をつけるポイント~
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、昭和29年に国内製造が開始され、絶縁性・不燃性などの特性を活かして、トランス・コンデンサの絶縁油などに使用されていた物質です。昭和43年のカネミ油症事件をきっかけに、その毒性が広く知られるようになり、製造が中止されました。その後、PCB廃棄物処理施設の整備が難航したことにより、保管業者による長期保管が30年以上に及び、紛失や漏洩が社会問題化しています。
PCB問題の詳しい経緯は、2010年7月の法規と条例のページをご確認ください。
平成13年に制定された「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法には、PCB廃棄物保管事業者が特に以下の4項目を遵守するよう定められています。
- 事業者の責務(第3条)
→ PCB廃棄物を自らの責任において確実かつ適正に処理すること - 期間内の処分(第10条)
→ 施行令において「施行後15年」(平成28年7月)までの処分を規定 - 譲り渡し・譲り受けの制限(第11条)
→ PCB廃棄物は、原則、譲り渡し、譲り受けてはならない - 保管の届出(第8条)
→ 保管事業者は、毎年、都道府県・政令市に保管・処分の状況を届け出なければならない
しかし・・・・
環境省の資料によると、都道府県・政令市からの報告で、平成20年度以降、PCB廃棄物に係わる漏洩、紛失、不適正処理、不法投棄が合計358件発生したことが分かっています。(平成23年9月時点)
そのため
適正な保管をするため保管事業者に対して、都道府県・政令市が立入検査等により指導を行なっています。
■それでは、廃棄物処理法上、どのようにPCB汚染廃棄物を保管しなければならないか確認していきましょう。
(1)PCB汚染廃棄物は、特別管理産業廃棄物の保管基準を守って保管することが義務づけられています。
(廃棄物処理法第2条第5項及び廃棄物処理法施行令第2条の4第5号)
【特別管理産業廃棄物保管基準】
- 保管場所には、周囲に囲いが設けられ、かつ見やすい箇所に、特別管理産業廃棄物の保管の場所であること及び保管しようとする特別管理産業廃棄物の種類の表示がされていること。また、保管場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先を表示すること。
(廃棄物処理法施行規則第8条の13第1号) - 保管の場所から、当確特別管理産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が飛散しないように措置を講ずること。
(廃棄物処理法施行規則第8条の13第2号) - 保管場所には、ネズミが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにすること。
(廃棄物処理法施行規則第8条の13第3号) - 特別管理産業廃棄物に他のものが混入するおそれのないように仕切りを設けること等必要な措置を講ずること。
(廃棄物処理法施行規則第8条の13第4号) - 特別管理産業廃棄物に種類に応じて、次に掲げる措置を講ずること。
- 廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物にあっては、容器に入れ密封すること等PCBの揮発防止のために必要な措置及び当確廃棄物が高温にさらされないための措置
- PCB汚染物又はPCB処理物にあっては、当確廃棄物の腐食の防止のために必要な措置(廃棄物処理法施行規則第8条の13第5号イ及びハ)
具体的な保管方法については、2011年11月のリスクのクスリもご確認ください。
【参考】
DOWAグループのエコシステム山陽(株)では、微量PCB汚染廃電気機器等の筐体処理が可能な連続式加熱炉を全国で初めて建設し、処理許可を取得しました。
DOWAエコシステム株式会社 ニュースリリース(2011年08月29日)
エコシステム山陽株式会社が微量PCB廃棄物処理業の許可取得
平成23年10月からは、処理物の受入を開始しています。
法律に定められた期限(平成28年7月)までに処理完了させるために、現在、微量PCB廃棄物の処理を検討されている方は、下記連絡先までご相談ください。
エコシステムジャパン株式会社
微量PCB営業推進部
(東京) 山口、川越 TEL:03-5611-6867
(岡山) 菅原、久山 TEL:0868-62-1341
この記事は
DOWAエコシステム リサイクル事業部
亀倉 が担当しました