なぜ秋田で環境事業をやっているのか? その2
今回も引き続き、なぜ秋田で環境事業をやっているのか?についてご紹介します。
DOWAの歴史が秋田で始まり、培った鉱山・製錬技術が現在の環境技術の基礎となっていることを、前回ご説明いたしました。
今回は、鉱山時代のインフラがどのように活用されているかについて、いくつか例をご紹介します。
■世界トップクラスの貴金属リサイクル製錬所
秋田県小坂町の小坂製錬(株)では、黒鉱(複雑硫化鉱)を製錬する上での技術の蓄積だけでなく、インフラの拡充も行ってきました。複雑に入り混じった様々な金属を回収するために、多種多様な製錬設備を発展させてきました。
現在、製錬原料は鉱山から採掘した鉱石から、パソコンの基板や携帯電話、工場から排出されるスクラップ、廃家電などのリサイクル原料へと変わりました。
鉱山時代のインフラを活用して、これら「都市鉱山」からの貴金属回収・リサイクルを行っています。また既存設備だけでなく、新型のリサイクル対応炉の建設など、時代と共に小坂製錬(株)は進化しています。
■選鉱場から土壌浄化工場へ
秋田県大館市のエコシステム花岡(株)では、選鉱設備を活用して汚染土壌浄化処理を行っています。
鉱石の洗浄設備、破砕設備、分級設備、浮遊沈降設備、脱水設備は、汚染土壌の洗浄処理に活用されています。多量の鉱石の選鉱を行ってきた工場は、月間5万トンの処理能力を持つ日本最大級の土壌浄化工場へと姿を変えています。
また広大なストックヤードは、鉱石の保管から土壌の保管に活用されており、1万5千トンもの量を保管可能です。
■露天掘跡地の活用
さらにエコシステム花岡(株)では、鉱石の露天掘跡地を管理型最終処分場として活用しています。露天掘とは鉱石を地表から直接掘り進んでいく採掘法です。
厚さ10センチ以上の粘土層(粘土質凝灰岩)が天然の遮水層として最終処分場を守っています。また谷間の地形などを利用した一般の処分場と異なり、地下水の流れる砂礫層より下部の地層を掘り込んだ構造となっているため、より高い安全性が評価されています。
このように、鉱山時代のインフラは姿を変えて環境事業に活用されています。秋田県北部で発展した屈指の鉱山インフラは、環境事業・リサイクルプラントへと生まれ変わりました。
技術とインフラの双方を兼ね備えた強みを活かして、社会の環境リスクの低減を目的とした総合環境事業をこれからも展開していきたいと考えています。
この記事は
エコシステム秋田株式会社
田向 が担当しました