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~解説~ 2019年G20とG20環境大臣会合
その2 ブルーオーシャンビジョン

2019年6月28日~29日に、大阪にて安倍総理の議長の下で、G20大阪サミットが開催されました。G20大阪サミット特設ページが充実しているので、ご確認ください。

G20サミットとは(外務省ホームページ)
G20大阪サミット(結果概要)(外務省ホームページ)

G20大阪サミットのダイジェスト動画も公開されています。
G20大阪サミットダイジェスト動画(YouTube)(外務省ホームページ)

G20はどんな会場で開催されたのか、どんな雰囲気だったのか、などが分かって、面白いです。


今回は、G20首脳宣言に盛り込まれた、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」について説明します。

「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」は、何かを説明する前に、G20について確認をしましょう。

1. G20サミットとは

G20サミットとは、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、韓国、南アフリカ共和国、ロシア、サウジアラビア、トルコ、英国、米国の19ヶ国に加え、欧州連合(EU)の首脳が参加して毎年開催される国際会議です。例年、G20の首脳以外にも、招待国の首脳や国際機関の代表などもサミットに参加しています。
G20大阪サミットの参加国・国際機関はこちら。

G20の正式名称は「金融・世界経済に関する首脳会合」です。世界のGDPの8割以上を占める「国際経済協調の第一のフォーラム」として、G20は世界経済を力強く成長させていくことを目的としてきました。
グローバル化が深化し、様々な問題が複雑に絡み合う中、近年G20ではマクロ経済や貿易のみならず、世界経済に大きな影響を与える開発、気候変動・エネルギー、保健、テロ対策、移民・難民問題等の地球規模課題についても、活発に議論が行われてきました。こういった地球規模課題への貢献を通じて、包摂性のある持続可能な世界を実現することを目指してきました。

引用元:G20サミットホームページ「G20サミットとは

リーマン・ショックを契機に発生した経済・金融危機に対処するため、2008年11月、主要先進国・新興国の首脳が参画するフォーラムとして、従来のG20財務大臣・中央銀行総裁会議を首脳級に格上げし、ワシントンDCで第1回サミットが開催されました。

引用元:G20サミットホームページ「サミットQ&A」より

ポイント

  • リーマン・ショックによる経済・金融危機に対処するため、2008年に第1回が開催
  • 20のメンバー国首脳と招待国・国際機関による国際会議
  • メンバー国のGDPが世界の約8割以上を占める

2008年11月14日~15日に開催された、金融・世界経済に関する首脳会合では、議論を踏まえ、「金融・世界経済に関する首脳会合宣言」が発出されました。
この宣言では、タイトル通り、金融と世界経済に関してのみが言及されています。G20が回を重ねる中で、世界経済に大きな影響を与える事柄として、「開発、気候変動・エネルギー、保健、テロ対策、移民・難民問題」等の地球規模の課題についても、議論が行われるようになってきました。

2. G20大阪首脳宣言の内容

それでは、「G20大阪首脳宣言」について見ていきます。
G20大阪首脳宣言は、以下の内容で構成されています。
(かっこ内の数字は、パラグラフ番号)

  • ■前文(1~3:3パラグラフ)
  • ■世界経済(4~7:4パラグラフ)
  • ■強固な世界経済の成長の醸成(8~13:6パラグラフ)
    • 貿易と投資
    • 過剰生産能力
    • イノベーション:デジタル化、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト(信頼性のある自由なデータ流通)
    • 質の高いインフラ投資
  • ■グローバル金融(14~20:7パラグラフ)
    • 腐敗対策
  • ■不平等に対処することによる成長の好循環の創出(21~25:5パラグラフ)
    • 労働及び雇用
    • 女性のエンパワーメント
    • 観光
    • 農業
  • ■包摂的かつ持続可能な世界の実現 (26~43:18パラグラフ)
    • 開発
    • 国際保健
    • 地球環境問題と課題
    • 気候変動
    • エネルギー
    • 環境
    • 避難と移住

G20の正式名称は、「金融・世界経済に関する首脳会合」というだけあり、経済と金融に関する記述で始まりますが、パラグラフ数でみると、包摂的かつ持続可能な世界の実現に関する記述が多いことが分かります。

3. 「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」について

「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」は、「包摂的かつ持続可能な世界の実現」の中の「環境」に記述があります。

39. 我々は、海洋ごみ、特に海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに対処する措置は、全ての国によって、関係者との協力の下に、国内的及び国際的に取られる必要があることを再確認する。この点に関し、我々は、海洋へのプラスチックごみ及びマイクロプラスチックの流出の抑制及び大幅な削減のために適切な国内的行動を速やかに取る決意である。さらに、これらのイニシアティブ及び各国の既存の行動の先を見越して、我々は、共通の世界のビジョンとして、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有し、国際社会の他のメンバーにも共有するよう呼びかける。これは、社会にとってのプラスチックの重要な役割を認識しつつ、改善された廃棄物管理及び革新的な解決策によって、管理を誤ったプラスチックごみの流出を減らすことを含む、包括的なライフサイクルアプローチを通じて、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指すものである。我々はまた、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」を支持する。

引用元:G20サミットホームページ「G20大阪首脳宣言(仮訳)」

ポイント

  • 共通の世界のビジョンとして、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有する
    これは、社会にとってのプラスチックの重要な役割を認識しつつ、改善された廃棄物管理及び革新的な解決策によって、管理を誤ったプラスチックごみの流出を減らすことを含む、包括的なライフサイクルアプローチを通じて、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指すものである。
  • 「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」を支持する

4. 今後の進め方

経済産業省は、G20大阪サミットに際して大阪ブルー・オーシャン・ビジョン実現のための日本の「マリーン(MARINE)・イニシアティブ」を発表しました。

令和元年10月8日(火曜日)~11日(金曜日)には、G20資源効率性対話・G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組フォローアップ会合が開催されます。
ここで、G20各国の海洋プラスチックごみ対策の共有、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」の今後の展開、「G20資源効率性対話ロードマップ」の議論などがなされます。公開イベントもありますので、ホームページをぜひご確認ください。

【参考ホームページ】

外務省ホームページ
海洋プラスチックごみ
海外の海洋プラスチックごみ対策に関するリンクや、日本での政策や官民イノベーション協力体制の取り組みのリンクなど

上田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました

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