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スペイン・バレンシアのゴミへの取り組み

スペインの第三の都市、火祭りやトマト祭りで有名なバレンシア地方よりゴミ処理の方法などについてご紹介します。

スペインでは年間1億3,210万トンの廃棄物が出され、全廃棄物の半分以上を埋め立て、焼却処分が約10%、残りがリサイクルされています。リサイクル率は2015年の29.7%から2017年には36.1%へ向上しているものの、投棄されるごみは依然として半分以上が埋め立て地へ運ばれています。 (国立統計研究所の環境報告

欧州連合は、2030年のリサイクル率の目標を60%に設定しており、スペインではこれから捨てられていくゴミの分別と再生が、リサイクル率を上げるための非常に重要なポイントとなっています。

写真:バレンシア市内のゴミ置き場(コンテナ背面)

コンテナ左から:茶色『食品廃棄物』/ 灰色2個『リサイクルできない一般廃棄物』/ 黄色『プラスチック・缶類』/ 青『紙製品』/ 緑『ガラス容器』

写真:バレンシア市内『プラスチックと缶類』ゴミ用コンテナ(正面)

バレンシア地方では、5分類でゴミを捨てています。ゴミのコンテナは、街中の至る所にあり、24時間いつでもゴミを捨てることができます。狭い道路だと、5種類バラして近い距離に置いてあるパターンもありますが、逆に写真の6個セットが2組の12個、道路にずらーと並んでるところもあります。
たくさんないと多分スペイン人は道に放置していくのではないかと思われます。

ゴミをコンテナに入れない人もいますが、コンテナにきちんと入っていても、ジプシーと呼ばれる人たちやホームレスがゴミをあさり、道路にグチャグチャにまき散らしてしまうこともあります。

私が住んでいるのアパートの前のコンテナもしょっちゅう荒らされ、本来ならば役所に連絡し管理番号の付いたステッカーを貼って出すことが義務付けられている粗大ごみも、かってに投棄されています。

粗大ごみは、家具だけでなくトイレやバスタブなど色々なものがコンテナ周辺に捨てられており、日本では見かけない光景に驚くことも多いです。すぐにジプシーの人たちが持っていくか行政の回収車、清掃がまわってきて綺麗にしてくれるので、なかなか改善しないのが現状です。

写真:コンテナの外に捨てられていたバスタブ・トイレ(ビデ)・テレビ

道端に放置されるゴミがある一方で、激減したゴミもあります。ペットとして飼われてる犬のウンチです。スペインでは室内用の犬のトイレは一般的ではなく、そのかわり、しょっちゅうお散歩に出て外で排泄をさせるのが普通です。コロナで厳戒な外出禁止令が出た際も、人は散歩に出られませんでしたが、ペットの排泄のために外出することは認められていました。

スーパーなどでもペット用のおむつは売っていますが、トイレ用のペットシーツは見かけません。『市内は子供よりも犬の方が多い』と揶揄されるほど多いバレンシアで飼われてる犬たちが外で排泄するのですが、しかし、飼い主がウンチを拾う習慣がないので、人々はそれを踏まないように常に気を付けながら道を歩かなければなりませんでした。

道路は常に汚れており苦情もたくさんよせられていたことから、バレンシア議会は今年から犬の排泄物の放置には罰金最低150€の条例を作り、公園などに大量の看板を設置しました。また犬の排泄物で困っていた住民たちも、罰金を知らせるポスターを自作して貼るなど街全体で飼い主のマナー向上運動を起こしたので、放置されるウンチが激減しました。

ちなみに飼い主が拾った排泄物は、家に持ち帰るのではなく近くにあるコンテナやゴミ箱に捨てていくので、道路わき、公園にもたくさん小さなゴミ箱が設置されています。

『リサイクルできない一般廃棄物』用の灰色コンテナには、他4つのリサイクルコンテナに入れることが禁止されているゴミを入れます。日本の“燃えるゴミ”と少し分別方法が異なっており具体的には、おむつや生理用品、赤ちゃんのおしゃぶりや哺乳瓶、割れた陶器、ハンガー、壊れたおもちゃ、使用済みのティッシュなどです。

食品の油で汚れた段ボールは食品廃棄物用コンテナに廃棄するなど、ルールが少々複雑なため、それぞれのコンテナの正面にわかりやすいようステッカーが貼られています。

写真:回収作業とガラス容器用コンテナ

バレンシア地方で特に回収率が高いのがガラス容器です。ガラス容器用のコンテナは、形や色が目立つようにデザインされており、街中では300メートル範囲に1つ以上設置されています。バレンシアでは、ガラス容器のデポジット制度はなく、コンテナ回収のみが行われています。

ガラスの割れる音が響くため、騒音対策で朝8時から夜11時の間に捨てることが推奨されています。

茶色のコンテナを利用しよう


写真:@AciertaOrganica
公式Twitterページより

スペインの一般家庭から出ているゴミの半分は、食ベ物などの有機廃棄物と言われています。有機廃棄物は、適切に処理されるとバイオガスが発生し、これらは優れた燃料となるため、電気エネルギーの生成に役立ちます。

政府は、有機廃棄物である食べ残しや野菜カスなどの食品廃棄物が回収できるよう、新たに茶色のコンテナを2018年より導入しました。2020年にはスペイン全土への設置が完了、これらのコンテナの利用を促す@AciertaOrganica運動を開始しました。

コロナの影響で大掛かりなイベントは中止されていますが、Twitter・YouTube・Facebook等のSNSを通じてゴミの分別の重要さ、ゴミの捨て方のレクチャー動画などの情報発信を行っています。
食品廃棄物用のコンテナは毎日回収され(クリスマスイブ・大晦日を除く)、清潔に保つためコンテナ洗浄も毎月実施されています。

食品ロスをアプリで減らす取り組み

バレンシアでは、毎週約5,600トンの食べ物が捨てられています。
(Too Good To Go調べ・18年)
市場・レストラン・カフェやスーパーマーケットで売れ残った商品を格安(平均2~5€)で購入できる、デンマーク発の大人気のアプリToo Good To Goが2018年にバレンシアでもサービスを開始しました。

利用方法は簡単で、アプリをダウンロードし現在地を登録すると、そのエリアの登録店舗が表示されます。その中から食べたい種類の食品や食事を提供している店を選び、ネット上で決済、指定された時間帯にその店舗へ行けば持ち帰りで受け取れます。

食品ロスや飢餓問題に携わるNGO団体(スペイン食品銀行連盟AcciónContraElHambreなど)へアプリから直接寄付ができるようになっている他、大学の研究機関や役所などと協力しデータ収集を行っています。

若い世代だけでなく高齢者の登録も増えており、食品ロスを減らす運動が広がっています。

今後の課題

環境問題意識が高い人たちが増える一方で、ゴミの分別に無頓着な人が多いのも現状です。コンテナが満杯だとゴミを路上に放置していく人も少なくないので、自治体はコンテナの量や設置場所、回収頻度を増やして対応しています。

写真:バレンシア市内の路上に捨てられたゴミ

国際環境団体グリーンピースは、スペインにある埋め立て地の大部分は満杯か近いうちに処理能力を超えると警告しています。さらに、環境基準を順守していない違法な埋め立て地が国内に多数存在していることから、土壌汚染による農作物や飲み水への影響が懸念されています。

2020年2月には、バスク地方の埋め立て地で大規模な崩落が起き、作業員2名が犠牲になりました。アスベストや有害物質が検出されたため捜索作業が難航、崩落が原因の火災が起きたことで有毒ガスが発生し、近隣住民の5万人以上が影響を受けました。半年以上が経過した現在も、埋め立て地の管理会社や自治体への抗議活動が続いており、連日報道されています。

首都のあるマドリード州では、2040年までにバルデミンゴメス地方を除く地域のすべての埋め立て地を排除することを目的としたプロジェクトを開始しました。これには3億3600万ユーロの予算が組まれ、全てをリサイクルプラントに置き換えることを目標にしています。

バレンシアやアンダルシアなど国内の地方自治体もこれにならい、埋め立て地の縮小・撤廃やリサイクルプラントの建設計画を発表、国全体で環境整備に力を入れています。


この記事は
サスティナブル生活を心がけているフリーライター
ウスマン祐子 が担当しました

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