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実務者のための土壌汚染対策法基礎 その3
平成21年の改正について

3. 平成21年の法改正について

3-1. 背景

平成15年の土壌汚染対策法施行以降、「土壌汚染状況調査」と「土壌汚染対策措置」の実施状況は以下の通りでした。

①自主調査が91%

土壌汚染状況調査のうち、環境省調べでは87%(平成18年度)が、(社)土壌環境センター調べでは91%(平成19年度)が、土壌汚染対策法や自治体の条例に基づいたものではない「自主調査」でした。(図1、図2参照)


図1:土壌汚染の調査契機(環境省調べ)

(出典)環境省「今後の土壌汚染対策の在り方について(答申)参考資料2-2」(平成20年)


図2:土壌汚染の調査・対策契機((社)土壌環境センター調べ)

(出典)環境省「今後の土壌汚染対策の在り方について(答申)参考資料2-2」(平成20年)

②掘削除去が87%

土壌汚染対策方法は、土壌汚染事例499件のうち437件が「掘削除去」でした。(図3参照)


図3:土壌汚染対策の実施内容

(出典)環境省「今後の土壌汚染対策の在り方について(答申)参考資料2-2」(平成20年)

③汚染土壌のトレーサビリティが取れていない

土壌汚染対策工事で搬出される汚染土壌約300万トンのうち、40%強の約129万トンは土壌汚染対策法や自治体の条例に基づいた対策ではないため、搬出後の追跡管理が明確ではありませんでした。(図4参照)また、汚染土壌の不適切な処理が行われた事例がいくつも発覚しました。


図4:土壌汚染対策により搬出される汚染土壌の全体的な流れ

(出典)環境省「今後の土壌汚染対策の在り方について(答申)参考資料2-2」(平成20年)

3-2. 平成21年法改正のポイント

~土壌汚染状況調査に関する改正~

改正前 改正後
  • 有害物質使用特定施設の使用の廃止時
  • 土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認めるとき
左記にプラスして、
  • 一定規模(3,000m2)以上の土地の形質の変更の届出の際に、 土壌汚染のおそれがあると都道府県知事等が認めるとき
自主的な調査について規定なし
  • 自主調査において土壌汚染が判明した場合、土地所有者等が都道府県知事等に区域の指定を申請できる(法第14条)

<ポイント>

  • 3,000m2以上の土地を改変する場合には、30日前までに都道府県知事等に届け出が必要
  • 自主調査で土壌汚染が判明した場合、区域の指定を申請できる

土地所有者等にとっては、自主調査であっても区域の指定を受けることで、法に基づいた管理を受けている土地であることを示せるようになりました。
社会全体にとっては、自主調査結果も自治体が把握することで、より広く土壌汚染に関する情報の収集が可能となりました。

~区域の指定に関する改正~

改正前 改正後
「指定区域」のみ
  • 「要措置区域」・・・土壌汚染の摂取経路があるため、健康被害のおそれがある土地。都道府県知事より土壌汚染の除去等の措置の実施が命令される。土地の形質変更は原則禁止。
  • 「形質変更時要届出区域」・・・土壌汚染の摂取経路がないため、健康被害のおそれがない土地
    土壌汚染の除去等の措置は不要。土地の形質変更は時には都道府県知事へ届け出が必要

<ポイント>

改正前に1種類だった「指定区域」が、汚染の摂取経路を考慮して要措置区域と形質変更時要届出区域に分けられました。

~汚染土壌の搬出に関する改正~

改正前 改正後
規定なし
  • 汚染土壌の搬出前に、都道府県知事等へ運搬計画の届出が義務付け
  • 「汚染土壌管理票」の交付と保存の義務付け
  • 汚染土壌の処理業が許可制に

<ポイント>

  • 汚染土壌を搬出する場合は、搬出する14日前までに、届け出が必要
  • 汚染土壌管理票が義務付け
  • 汚染土壌処理業が許可制に
  • 汚染土壌運搬基準が示される

掘削除去による汚染土壌の搬出は「汚染の移動」であるため、適正に処理されるかどうか管理する必要があります。改正法では、汚染土壌の搬出届出制、運搬の際の管理票の交付義務、処理業の許可制が規定され、汚染土壌のトレーサビリティ確保ができるようになりました。

次回は、平成29年の法改正について説明します。

【参考資料】

環境省ホームページ
土壌環境施策に関するあり方懇談会 平成19年度
中央環境審議会「今後の土壌汚染対策の在り方について(答申)」平成20年12月19日
改正土壌汚染対策法の概要と留意点 平成22年5月18日
土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告示、通知)


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 B&Gコンサルティング
藤巻 が担当しました

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