廃棄物のサンプル採取時に注意することはありますか?
Q:廃棄物処理を依頼するために廃棄物のサンプルを採取する際に、注意することはありますか?
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廃棄物は組成のばらつきが大きい場合もありますので、偏ったサンプルにならないようご注意ください。また、ばらつきが生じている可能性がある廃棄物については、処分業者へ事前にその旨をお教えください。
■廃棄物の情報とサンプルについて
廃棄物は組成がばらつく場合も多いので、サンプル採取時にはできるだけ組成に偏りが無いようお願いします。
また、廃棄物処理に際しては事前の情報提供をお願いしていますが、廃棄物の組成にばらつきが考えられる場合には、ばらつきについての情報提供もお願いします。
以下、WDSガイドラインにも関連する記述がありますが、廃棄物の情報が基本的な判断材料であり、サンプルはその補助になります。
サンプルは、実際の廃棄物受入前に反応テスト等で処理方法を選択・検証できるため受入の最終判断材料として重要な情報提供方法である。ただし、処理の計画を立てる上では、廃棄物が何であり何を含むか等の成分情報が基本的な判断材料であり、サンプルは WDS の次の段階で必要なものの位置づけである。また、サンプルが委託する廃棄物の性状や成分を代表していることが重要であり、例えば沈殿分離している廃棄物の一部分を抽出したサンプルでは処理方法等を適切に評価できない場合があるので注意が必要である。
(出典)廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第2版)より
参考:廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その12)~排出事業者による廃棄物情報の提供~
■ばらつきが発生する事例
●ピット内に固形分が沈殿している
ピット内に保管されている廃棄物だと、上澄みが液状で、底に固形分が溜まるケースがあります。上澄みをすくってサンプルにしても、底の固形物に気が付かない可能性があります。
このような場合、もし液状の廃棄物として受けようとすると、例えば液状専用の車両で引き取りに来た場合に引き取れない可能性があります。また、処理施設で液用のタンクに入れる予定にしていたのに、入れられないなどのトラブルが生じる可能性もあります。
できるだけ代表的な性状でサンプル採取いただくとともに、ばらつきについての情報提供をお願いします。
●製造工程のバランスによって廃棄物の成分比率が変わる
例えば2種類の製造ラインの廃棄物を1つのピットに集める場合、各製造物の製造量が変わると廃棄物にばらつきが出てしまう可能性があります。この場合、もしばらつきを考慮しないと、特定の含有物質が想定外の濃度になった場合に排ガス処理が上手くいかず、環境事故につながる恐れもあります。
製造ラインの特性を踏まえ、どの程度のばらつきが発生するのかをお教えください。また、もし組成情報に変更が生じた場合には処理業者へお伝えください。
■組成のばらつき情報について
具体的には、廃棄物の特定の組成の濃度にどの程度のばらつきが考えられるのか等をお教えいただいています。各組成情報をお伝えいただく際には、代表的な濃度に加え、どの程度ばらつきがあるのかについての情報をお願いします。
含有成分 | 成分名 | 水 | アセトン | 酢酸 |
---|---|---|---|---|
成分量 | 40% (35〜45%) |
10% (5〜10%) |
50% (35〜60%) |
|
CAS-No | ー | 67-64-1 | 64-19-7 |
当社フォーマット(WSDS)における組成情報の例;()部分がバラツキ表示
ばらつきの情報が処分業者に渡されないまま搬出すると、排ガス規制の問題や受け入れ保管場所の問題で、処理できない可能性もありますので、事前に情報が必要です。
■おわりに
サンプル採取時には、ばらつきが発生する可能性を考慮いただければと思います。合わせて、サンプルではどうしても組成に偏りが出る場合がありますので、ばらつきについての情報も合わせてお伝えください。
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
後藤 が担当しました