汚染土壌は何が悪いのですか?
例えば、飲用水や大気が汚れている場合、飲用水基準を超過した水を飲んだり、大気環境基準を超えた大気の中で生活をしている場合には、人の健康に影響を及ぼす可能性があります。
一方、土壌・地下水汚染があった場合でも、表面がアスファルトやコンクリートで被覆されていたり、地下水の飲用がない場合には、健康被害は発生しません。そのため、土壌汚染対策法では、掘削除去(汚染土壌を掘削して、場外に搬出する対策)以外の対策が認められています。これは、土壌汚染が大気や水質に関わる汚染との違いを大きく反映しています。
以上から、汚染土壌・地下水があっても、きちんと管理されていれば安全と言えます。
以下に「土壌汚染による環境リスクを理解するために(環境省)」より、土壌汚染による環境リスクについての抜粋を記載します。
土壌汚染の環境リスクの大きさは、土が有害な物質で汚染された有害性の程度(土の有害性の程度)と、土壌汚染の原因となっている有害な物質を体内に取り込む量(暴露量)とで決まります。
露とは、汚染された土が手にくっついて、知らず知らずに土を口に入れてしまったり、汚染された土が飛び散って口に入ってしまったり、汚染された土から有害な物質が溶け出した地下水を飲んだりして体内にとりいれることを言います。
環境リスクの大きさは次のようになります。
土壌汚染による環境リスク = 土の有害性の程度 × 暴露量
そのため、汚染されている土に触れることがないとか、汚染された土から有害物質が地下水に溶け出さなかったり、溶け出しても、汚染された地下水を飲んでいない場合、すなわち、暴露がない(暴露量がゼロ)と考えられる場合には、土壌汚染による環境リスクは問題にならなくなります。
ただ、例えば建設工事などにより汚染土壌を敷地外へ持ち出す必要が出た場合には、汚染物質の拡散防止の観点から、残土として再利用や堆積するのではなく、汚染土壌として管理を行い、処理を行う必要があります。この汚染土壌の処理には、通常の残土としての取り扱いよりも費用がかかるため、土地の売買などを行う際には土壌汚染の調査を行い、汚染土壌を除去して、次の土地所有者にとっての汚染土壌処理費用の負担をなくしたり、軽減したりする対策が取られる事があります。