タイのホテルから海岸漂着ゴミについて考える
2012年9月に出張でタイを訪れる機会がありました。タイでは、衛生面から水道水を飲むことはできないので、ペットボトルのミネラルウォーターを飲むことになります。
そんな東南アジアでの滞在においては当たり前のことから、日本の海岸に漂着する海岸漂着ゴミに思いを巡らしたことについてご紹介します。
私はもともと胃腸が弱いため、出張で海外に滞在する際に水道水を飲まないことは当然ですが、歯磨きにもミネラルウォーターを使うようにしています。
今回の出張では、チョンブリーとバンコクに滞在しました。現地に入り、ホテルに着くと真っ先に冷蔵庫を開け、ミネラルウォーターがあるかどうか確認します。宿泊したホテルには、洗面所に無料で飲むことができる2本のボトルが置いてあり、さらに冷蔵庫には6本のミネラルウォーターが常備され、一部屋に合計8本ものミネラルウォーターが置かれていました。(写真左)
私は、一晩1本でこと足りるので、必要十分な量です。
また、現地のスーパーに行くと、売り場の一画がミネラルウォーターで占められており、またコンビニのドリンクコーナーにも様々なメーカーのものが売られていました。(写真右)現地の人々にとってもペットボトルのミネラルウォーターが必需品であることが窺い知れます。
私のような海外からの旅行者にとって、ミネラルウォーターが容易に手に入ることは大変助かります。しかし、ペットボトルが多く消費されているということは、それだけ多くのゴミが発生していることにもなるのではないでしょうか。
海外事情の記事「タイ王国とタイの環境問題-その1」に書かれているように、一般家庭から発生する都市ゴミは経済成長に伴い発生量が増加しており、それに対する回収・処理能力が追いついていないのが現状だそうです。
実際に路上にはポイ捨てされたペットボトルを容易に見つけることができました。
近年、日本では国内外から流れ着いた海岸漂着ゴミが大変な問題となっています。
東京海洋大学の兼廣春之教授の調査によると、2000年7月から2003年1月にかけて鹿児島県の奄美大島、島根県の隠岐の島など日本各地の13の島々で海岸漂着ゴミを回収および分析した結果、回収されたゴミの中で生活用品のプラスチック類が50%~80%を占めていたこと、また調査した全ての島で海外からのゴミが発見されており、総じて見れば日本国内で出たごみよりも海外由来のゴミの量のほうが多かったことが報告されています(「海ゴミ-拡大する地球環境汚染」小島あずさ・眞淳平著、中公新書、2007年、より引用)。
海岸漂着ゴミを減らすには日本国内での対策とともに、海外での取組も重要であると考えられます。
以上、ホテルの冷蔵庫から、タイでのゴミ問題、そして日本の海岸漂着ゴミについて思いをめぐらしました。
海外に行くと様々な発見や驚きがあり、少しの違和感から日本のことを相対的に見ることができます。今後も海外出張に行く機会があれば、色々な国でホテルの冷蔵庫を開けてみたいと思います。
この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ
菊池 が担当しました