インドネシア ロンボク島のごみ事情 ~家庭ごみの処理~
日本だけでなく、世界中から観光客が訪れる人気リゾート地のひとつ、インドネシア。
空港や大型ショッピングモールなどには分別ごみ箱が設置してあり、また頻繁に清掃が行われているため、ひと昔前と比べるとまるで別の国のようにきれいになりました。
近年では一般家庭でもごみの分別を行ったり、学校の授業でごみ問題を取り上げるなど、ごみに対する意識が高まりつつあります。
しかしインドネシア全体でみると捨て方が統一されていない、処理施設が足りないなど、ごみに関する問題点が多いのが実状です。
ごみの捨て方や処理法はエリアによって異なりますが、ここではロンボク島でのごみ事情をご紹介します。
一般家庭のごみの捨て方
ロンボク島でもごみを減らしプラごみなどをリサイクルする活動が少しずつ広がっていますが、家庭のごみを分別せず「いらないものはまとめて捨てる」という昔ながらのやり方をしている住民も少なくありません。
生ごみ、乾電池、空き缶、空き瓶、プラごみ、使用済み紙おむつ、なんでもまとめて捨てます。レジ袋の使用廃止を始めているバリ島とは異なり、コンビニやスーパー、市場などでビニール袋を多用しているためか、ごみの山にはビニール袋が多いように見受けられます。
家庭での食べ残しは家畜に与えたり乾燥させて売ることもありますが、儀式などで大量に出た場合は敷地内に埋めたりします。
写真:中間集積場の、まだ分別されていないごみ
ゴミの捨て方についても特別な決まりはなく、
- 近所にごみ捨て場があればそこにすべて捨てる
- 空き地に捨てる、または道端や側溝、川に捨てる
- 各家庭でまとめて燃やす、埋める、売れるごみは分けておいて売る
- 一部はリサイクル、それ以外はごみ捨て場に捨てる
ほとんどがこういった方法です。
(ただし行政によるごみ回収システムがあるエリアでは、分別せずに不用品すべてを毎日回収してもらえます)
多くの住民が日常的に利用する市場には必ずごみ捨て場があるので、食材の買い物がてらごみ捨て、という住民も多いです。
持ちやすいようにビニール袋に入れたり、ひもで縛ったり、大きなかごに入れて中身(ごみ)を捨てたりと捨て方は人それぞれですが、分別されていないことがほとんど。
日本のように「ごみの日」などはなく、いつでも捨てられて便利ともいえますが、誰でも好きな時にごみを捨てるため、野良犬や野良猫、鶏などが生ごみをあさり、道路にまでごみが散乱することもしばしばで、ハエの数や腐敗臭がすごいです。
一方、側溝に捨てられたごみもまた悪臭を放ち、雨季になると排水を妨げるため、ボウフラの温床となるだけでなく洪水(冠水)の原因になってしまいます。
乾季のうちに側溝の掃除をすることもありますが、ごみを捨てる人は後を絶ちません。
空き地に捨てられたごみは時々近隣の住民が燃やしたりしていますが、完全にきれいになることはほとんどありません。
写真左:空き地に捨てられたごみ / 写真右:道端のごみ
ごみの処理法
ごみ捨て場のごみは地方政府に委託された民間業者により回収されますが、その前にごみの山の中からペットボトルや段ボールなどを持っていく住民がいます。
彼らは空き地や道端に捨てられたごみもチェックしていて、時間を問わず売れそうなごみを集めています。
写真:市場跡地にあるごみ捨て場(中央にある緑色っぽいもの)。ボックスタイプではなく、空きスペースをそのままごみ捨て場にすることもある
写真左:ごみ回収車 / 写真右:ごみ回収車の中でごみを探す住民
業者によりリヤカーやトラックで回収されたごみは、最終処分場へ行く前に中間集積場へと集められ、ここで初めておおまかに「リサイクルできる(売れる)ごみ」「粗大ごみ」「その他のごみ」などに分けられます。
中間集積場はだいたいコンビニ2~3店舗分の広さのところが多く、回収業者がごみを運びこむだけでなく、住民が直接持ち込むこともあります。
写真左:中間集積所でごみを運ぶ住民。分けているのか持ち込んだのかは不明
写真中:中間集積場の一角に置かれた冷蔵庫の残骸。大きなものはリヤカーや軽トラなどで持ち込むか、チップを渡して運んでもらう
写真右:集積所に集まりつつあるごみ。独特の臭いが道路にまで漂うことも
大まかに分けられたごみは最終処分場へと運ばれますが、ここでも使えそうなものや売れそうなごみを探しに来る住民がいて、彼らはそれを売ることで収入を得ています。
現時点でロンボク島に大規模なごみ処理施設はないので、回収されたごみは最終処分場で野積み(オープンダンプ)、一部は圧縮してスラバヤへ送りリサイクル工場などで処分しています。
まとめ
インドネシアではリサイクルに取り組み始めたエリアもあればそうではないエリアもあり、全体としてまだまだ課題が多いというのが現状ですが、レジ袋の廃止に踏み切るなどこれまでになかった新しい動きもあります。
またインドネシア独自のごみ処理・リサイクル方法があって、若者を中心とした活動もさかんになってきています。
最終処分場である埋立地が満杯にならないように、美しいビーチや豊かな自然が自慢のはずのインドネシアがごみだらけにならないように、そう願って日々活動している人たちがいることは大きな希望といえるでしょう。
この記事は
インドネシア在中
マデ アーシー が担当しました