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細かいことは気にしない?東欧・ジョージアのごみ事情

所変われば生活も変わるもの。海外を飛び回っていると、特にごみの捨て方や収集方法でそれを強く感じることがあります。

南コーカサス地域に位置するジョージア(旧グルジア)は、ヨーロッパとアジアの間に位置する小さな国です。私が在住していた首都トビリシの街並みは近代的で美しく、街中は清潔なのですが、ごみの扱いには驚かされることがあります。

国名は、元々英語読みの「ジョージア」とロシア語読みの「グルジア」、どちらかの発音に即して各国政府が呼び方を決定していたのですが、2015年にジョージア政府より、世界的に英語読みの「ジョージア」に即した発音を正式とするように要望があったそうです。

ごみ集積所はなく、家庭ごみは道端の大きなごみ箱へ

ジョージアには、日本のように家庭ごみを袋にまとめて集める集積所的な場所は存在しません。その代わり、大きな道に出ると、歩道や車道の端に大きな箱がたくさん置かれていることに気づきます。箱はプラスチックでできたコンテナのようなものであったり、金属製であったりします。

中にはこの写真のように、かわいいイラストが描かれていることも。

これらの箱が、ごみを集めるための容器なのです。日本のようにごみを袋にまとめる必要はなく、この箱にどんどん捨てていきます。家からごみ箱をそのまま持ってきて中身だけ捨てていく人もいますし、道ゆく人が今食べ終わったスナックの袋を投げ込んだりもします。

ごみ箱の多くには両脇に取手がついていて、専用のごみ収集車が自動で持ち上げ・ごみの回収ができるようになっています。そうでないタイプの場合、収集担当の方が何人かで協力してごみ箱を持ち上げ、収集車の中へごみだけを投げ入れています。

これらのごみ箱はたくさんあるため、知らない街でもしばらく歩いていればすぐに見つかりますし、24時間いつでも好きな時にごみを捨てることができるため大変便利です。

基本的に分別はしない

写真のごみ箱がひとつだったことから、「分別はどうするの?」と不思議に思われた方もいるかもしれません。実は、ジョージアでは基本的にごみの分別はしません。紙でも瓶でも、不要になったものはそのままごみ箱に投げ込むだけです。時には自動車の部品らしきものが入っているのを目にしたこともあります。

駅やファーストフード店にも小さなごみ箱が設置されていることもありますが、このように基本的にはひとつあるだけで、分別する習慣はありません。

ごく稀に紙や瓶、ペットボトルなどの専用ごみ箱が設置されているオフィスを目にすることもあります。しかし、これらの資源ごみはお金を払って民間の収集業者を利用する必要があるのです。そのため、一般家庭などでは分別しないのがほとんどという現状です。

ごみ箱付近には掘り出し物があることも…?

時々、ごみ箱に入っていないごみを見かけることがあります。ごみ箱には入っていないのですが、箱に寄り添うように、使い古した子どもの玩具や生活雑貨などが隣にちょこんと置かれているのです。これは、「私にとってはごみ(不用品)ですが、欲しい人がいたらどうぞ」という気持ちでおかれているケースがほとんどです。ごみ収集車が来たら一緒に回収されますので、それまでに見つけられたらラッキーです。

ジョージア人はお互いに親切で、助け合いの心に溢れています。知らない人でも困っていたら手を貸しますし、モノの貸し借りや共有も当たり前に行われています。ごみ箱脇の不用品も、そんなジョージア人の気質が感じられる習慣といえるかもしれません。

良くも悪くも大雑把なジョージアのごみ事情

ご紹介したように、ジョージアのごみ事情は、日本に比べるととてもおおらかです。大雑把と感じる人もいるかもしれません。道ばたにごみ箱があるため、タバコの吸殻が投げ込まれることもあります。消しが甘かったのか、街中のごみ箱から煙がもくもく…などという光景は、何度目にしたことかわかりません。

そんなときはどうするのか?ジョージア人は、何事も他人事などとは思いません。通りかかった人が自分の飲み水をかけたり、近所の人が洗面器に水を汲んで持ってきたり。知らない人でも協力してトラブルを収めます。

いつか、資源が適切にリサイクルされ、環境負荷の少ないごみシステムが確立されることと思います。けれど、その時にもこの大雑把さをおおらかさでカバーする国民性と、24時間いつでもごみを捨てられる利便性は残るといいな、と思わずにいられないのです。

【参考】

SOLID WASTE MANAGEMENT COMPANY OF GEORGIA


この記事は
最近まで東欧(グルジア)に在住 フリーライター
Mayu が担当しました

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