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バンクーバーとその周辺地域における環境への取り組み

「しまった、買い物袋を忘れた……」
これは、バンクーバー市民にとっては、今や大事(おおごと)です。
なぜなら、お店ではレジ袋を利用できないどころか、売られてさえいないから。

これは、2040年までに廃棄物ゼロという目標を掲げた運動の一環で、2022年1月1日から施行された『使い捨てカップと買い物袋に関する条例』によるもの。
レジ袋が一斉に使用禁止となりました。

*使い捨てカップに関する条例は、2023年5月1日に無効となっています。
(編集者注:課金によるごみ削減に効果がないとされたため)

この条例により、マイバッグを忘れると、以下のような選択が迫られます。

写真:アジア系スーパーT&Tのエコバッグ
  1. 買い物を諦める
  2. 手で持ち帰る
  3. ダンボール箱をもらう(コストコ以外では稀)
  4. 店舗で売られているエコバッグを買う

*相場1袋1~2ドル、売られていない場合もあり

こういった条例に疎い筆者は、当初戸惑い、「袋切れかな」と思っていました。ただ、人間慣れればなんとかなるもので、今ではエコバッグを携帯する習慣がすっかり身についています。たまに忘れると、携帯を忘れた時と同レベルで「しまった、どうしよう」と痛手になるくらい欠かせないものになっています。

このようにカナダ全域を含め、バンクーバーでも様々な環境への取り組みが積極的に導入されつつあります。

■アースデイ

カナダで環境のことを考える時に思い浮かぶのが、『アースデイ』と言われるもの。
簡単に言えば、地球に関することをそれぞれが意識し、それぞれができることをする日。

この歴史は意外に古く1970年にまで遡り、アメリカの上院議員G・ネルソンが、4月22日を『Earth Day(アースデイ)』にすると宣言、学生の協力を得て地球への関心を表現するイベントを行ったのがきっかけとなり始まりました。

*ちなみに、4月22日という日には何のゆかりもなく、何でもない日をわざと選んだ、と言われています。

この運動は20年後に世界的規模にまでなり、バンクーバーのあるブリティッシュコロンビア州でもアースデイにちなんだ様々なイベントが行われています。

というわけで、ブリティッシュコロンビア州における市民参加型『アースデイイベント』の一部を以下に紹介します。

■非営利団体Evergreen主催:

植樹イベント『アース・デイ・バンクーバー・セレブレーション』
2009年4月18日バンクーバー市内ジェリコ・ビーチ・パークにて3,000本の苗木を植樹。

−Evergreenについて

トロントを拠点に、都市の緑化を図るなどの活動をしている非営利団体。
彼らの所有するコミュニティ環境センター『エバーグリーンブリックワークス』では、環境に対する最先端の実践的な技術を研究し、訪問者にデモンストレーションを行っています。

■非営利団体アースデイ・カナダ主催:

『植樹リレー』
アースデイ50周年となる2020年にスタート。カナダの各都市が参加し、毎月22日に最低50本の木を植えるという誓約を宣言。翌月22日は次の都市というように、毎月順番にバトンを渡していき、これが2025年まで続けられる予定です。

■ノースバンクーバー市主催:

『外来植物ヒマラヤバルサムの除去』
2023年7月15日自然環境を健全に保つため、生態系に影響のある外来植物を除去するイベントを行います。

■慈善団体City Farmer Society主催:

『ガイド付きツアー』
2023年3月1日~11月24日都市における食料の栽培、食品廃棄物の堆肥化などについてデモンストレーションを行います。

−City Farmer Societyについて

City(都市)とFarmer(農家)は、互いが結びつきそうにない言葉ですが、それを結びつけたのがこのCity Farmer Society。
その名の通り、『都市で農家(食料の栽培)をする』という意味です。
この活動が始まったのは1978年。バンクーバーが食料栽培に適した気候であることを鑑み、エネルギー消費の節約をするために食料自給を普及させる試みをしています。

■その他地域や施設におけるアースデイイベント:

植物に関することばかりでなく、アースデイにはミュージックイベントや、学校単位でアースデイをテーマにした授業を行ったりと、人々が積極的に『地球について考える』機会を設けています。

この写真は、バンクーバー市内の小学校でアースデイに作成された『地球』。
この他にも学生は、植物の育て方、環境の大切さなど地球や自然、環境の大切さを、毎年4月22日に授業で学ぶことになります。

カナダ国民はこのようにして、生活の中で必ず地球や自然環境について触れることになります。

■都市の緑化と周辺住民のコミュニティ活性化、および土地所有者を全てウィンウィンにする活動

上の写真は、バンクーバーのとある区画に設置されたコミュニティガーデンと言われるガーデンスペースで、『コミュニティガーデンビルダーズ』により運営されています。

空き地の所有者が期間限定で地元の人々に食物の栽培をさせるためのスペースを提供することで、街を緑化し、自給自足を促進させ、土地所有者は固定資産税などの負担が軽減され、且つ利用する者同士のコミュニティ活性化が叶うという、まさに誰もがウィンウィンとなる画期的な取り組みを行っています。

以上、ブリティッシュコロンビア州バンクーバーには、自然環境に向き合い、実際に行動に移す積極性があり、そしてそのアイデアを受け入れる寛容性もあることから、カナダで3番目に大きい都市でありながら、街の緑化を保つ美しい都市となっています。

【参考資料】

Community Garden Buildersホームページ
Services


この記事は
カナダBC州在住のフリーライター
MW が担当しました

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