土壌汚染対策法の一部が改正されます
平成29年5月12日の第193回国会において、「土壌汚染対策法の一部を改正する法律案」が可決されました。平成29年5月19日に公布され、一部の規定を除き、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。
1. 閣議決定~可決までの日程
- 平成29年 3月3日
- 閣議決定
- 平成29年 4月14日
- 衆議院可決
- 平成29年 5月12日
- 参議院可決
- 平成29年 5月19日
- 公布
※今後、施行令・施行規則等が順次定められていきます。その中で施行日も定められます。
参議院ホームページ:参議院 第193回国会(常会) 提出番号43
2. 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案の概要
改正のポイントを説明します。
調査契機の拡大(第3条関係:特定有害物質使用特定施設のある土地への新規制)
- 第3条に新たに第7項が加えられ、「第一項ただし書の確認に係る土地」において土地の形質の変更を行う場合、その場所や着手予定日を事前に届出なければなりません。ただし、「軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの」は届出の対象から除かれます。
- 届出後、「環境省令で定めるところ」により、調査命令を都道府県知事が出します。
- 「第一項ただし書の確認に係る土地」「軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの」「環境省令で定めるところ」について、具体的な内容は示されていません(施行令、施行規則等で示されることになります)。
対策計画の提出命令の創設(第7条関係:指示措置の新規制)
- 土壌汚染が確認され要措置区域に指定された土地について、措置内容(対策内容)の計画書の提出が義務付けられます。計画内容によっては変更命令が提出後30日以内において出されることがあります。
- 計画書の記載要綱は示されていません。
規制緩和について①(第12条関係:指定区域の改変時)
- 形質変更時要届出区域における土地の形質の変更をしようとする時には、14日前にその計画内容を届出る必要がありますが、下記に該当する土地はその限りではありません。
- 土地の土壌の特定有害物質による汚染が専ら自然又は専ら土地の造成に係る水面埋立てに用いられた土砂に由来するものとして「環境省令で定める要件」に該当する土地。
- 人の健康に係る被害が生ずるおそれがないものとして「環境省令で定める要件」に該当する土地。
- これらの土地に該当する場合、「環境省令で定める期間ごと」に、当該期間中において行った当該土地の形質の変更の種類、場所「その他環境省令で定める事項」を都道府県知事に届け出なければならないとされています。
- 現在は、「環境省令で定める要件」「環境省令で定める期間ごと」「その他環境省令で定める事項」について具体的な内容は示されていません(施行令、施行規則等で示されることになります)。
規制緩和について②(第16条・第18条関係:汚染土壌の搬出時)
- 自然由来等形質変更時要届出区域内の自然由来等土壌を、「一定条件」に該当する他の自然由来等形質変更時要届出区域に移動して利用することができます。
- 「一定条件」について具体的な内容は示されていません(施行令、施行規則等で示されることになります)。
- その他、同一の調査によって指定された複数の要措置区域等において、その間で汚染土壌を移動して利用することができます。
規制緩和について③(新設:国・地方公共団体による汚染土壌の処理)
- 国や地方公共団体が行う汚染土壌の処理の事業について、当該国等が都道府県知事と協議し、その協議が成立することをもって、汚染土壌の処理業の許可があったものとみなされます。この場合において、この法律の規定の適用に当たっての技術的読替えその他この法律の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定めるとされています。
その他
- 第4条「一定規模以上の形質変更の届出」時に、同時に土壌汚染状況調査の結果を添付することができます。
※必ず土壌調査報告書の提出を求める内容ではありません。 - 汚染土壌処理業の失格事由に「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」を明記し、暴力団排除が盛り込まれました。
- 汚染土壌処理業に関する細かな規定が追加されました(業の相続・継承について)。
- 特定有害物質使用特定施設の設置者への土壌調査時における情報提供の努力義務が追加されました。
【参考資料】
衆議院ホームページ
土壌汚染対策法の一部を改正する法律案
環境省ホームページ
土壌汚染対策法の一部を改正する法律案の閣議決定について
この記事は
DOWAエコシステム ジオテック事業部
永瀬 が担当しました