リユース読本・マニュアルが公開されました。
リユース(再使用)とは、形を変えずに繰り返し使うことです。
使わなくなったものを廃棄する前に、交換、寄付、買取りに回すことで、新たに掘削する天然資源や生産のにかかるエネルギーを減らすことができます。
循環型社会形成推進基本計画第7条では、循環資源の循環的な利用及び処分の基本原則として、リユース(再利用)、再生利用(リサイクル)、熱回収、処分の順であるとされています。第三次循環型社会形成推進基本計画でも、リユース、リデュースがより進む社会経済システムの構築が必要とされています。特に、リユースについては主要な循環産業の一つとして位置づけ、リユース品が広く活用されるとともに、リユースに係る健全なビジネス市場の形成につながるよう取組を進めることが求められています。
環境省は、平成22年度から「使用済製品等のリユース促進事業研究会」を開催し、自治体を対象にしたリユース取組促進のための手引きを平成27年7月に公開していました。
平成28年5月に、市民を対象にしたリユース読本、事業者を対象にしたリユースのための手引きが公開されました。
■市民向け
リユースによって、製品の使用年数が延び、ごみを減らせます。
新品の平均使用年数と、中古品を含めた平均使用年数を推計した平成22年度の調査では、中古品の使用により冷蔵庫は0.6年、デジカメ・パソコン・洗濯機では0.3~0.4年の延長効果があり、年間19万~100万台の長期的な廃棄物削減効果があると推計されました。家具については、いすが1.8年、タンスで2.3年の延長効果があると推計されました。
社会全体で中古品の保有率が高くなると、平均使用年数がさらに延長されることになります。
出所:環境省 「リユース読本」H28年5月
リユースによって、使わなくなったものを、交換、寄付、買取りに回すことで、再び販売・消費の段階に戻すことができます。つまり、ごみを減らすだけでなく、新たに採掘する天然資源を減らすことにも寄与します。
出所:環境省 「リユース読本」H28年5月
製品を1台リユースすることで、新品の製品1台を製造するためのエネルギー消費を抑制することにもなり、製造に伴うCO2を削減する事が出来ます。
一方で、使用時のエネルギー消費量が大きく、新製品の省エネ性能が向上しているエアコンなどは、リユースをすることでCO2排出量が増加する可能性があります。
出所:環境省 「リユース読本」H28年5月
リユースの市場規模は、国内最終需要ベースで約3兆1千億円に上りますが、過去1年間にリユース品を購入したという人は約3割であり、リユースの普及余地はまだまだ残されています。
品目別には、不要になった家具やベビー・子供用品は6割が退蔵されて(家で眠って)おり、大きなポテンシャルがあります。
出所:環境省 「リユース読本の概要」
出所:環境省 「リユース読本の概要」
市民向けの「リユース読本」は、イラストも多く読みやすく、リユースって実際にどうするの?という疑問が解決できると思います。
■事業者向け
事業者向けの「オフィス等から発生する使用済製品リユースのための手引き」は、リユースの方法や注意点、調達についてなど、具体的にまとめられています。
出所:環境省 オフィス等から発生する使用済製品リユースのための手引き
使用済製品を引き渡す際のポイントとして、
- 古物許可を保有している業者に引き渡す。違法な廃棄物回収業者でないかを確認する。
- リユースができず廃棄処分をする際は、廃棄物処理の許可を持った業者に引き渡す。
リユース品調達の際のポイントとして、
- 購入先はリユース業界団体に加盟する企業・店舗であるか確認する。
- 品質保証や交換制度を設けている店舗もある。
などが、挙げられています。
出所:環境省 オフィス等から発生する使用済製品リユースのための手引きの概要
■市町村向けの手引き(平成27年7月17日公開)
今回の市民向け、事業者向けの手引きに先立ち、平成27年7月に市町村向けの手引きが公開されました。こちらは、市町村におけるリユース取組方法や、実施手順と留意点、コストに関して整理されています。
出所:環境省 市町村による使用済製品等のリユース取組促進のための手引き
市町村におけるリユースの取組方式として、以下の6つの方式をそれぞれの、コスト/ベネフィットの具体事例が整理されています。
- リユース事業者リスト
- 交換掲示板
- イベント
- 常設交換
- リユース品回収
- 市町村回収後選別
出所:環境省 手引きの概要
【参考資料】
環境省ホームページ
「市町村による使用済製品等のリユース取組促進のための手引き」の策定について(お知らせ)
リユース普及促進のための市民向け「リユース読本」及び事業者向け「オフィス等から発生する使用済製品リユースのための手引き」の策定について
循環型社会形成推進基本計画
使用済製品等のリユースの促進について
e-GOV ホームページ
循環型社会形成推進基本法(平成十二年六月二日法律第百十号)
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました