大気汚染防止法の一部を改正する法律が公布されました
水銀による地球規模での環境汚染を防止することを目的とする「水銀に関する水俣条約」の担保措置等を講ずる、「大気汚染防止法の一部を改正する法律」案が平成27年3月10日に閣議決定され、平成27年6月17日に可決成立し、平成27年6月19日に公布されました。
1. 背景
水銀による地球規模での環境汚染を防止するため、日本が議長国を務めて熊本市・水俣市で開催された外交会議において「水銀に関する水俣条約」が2013年に採択されました。水銀に関する水俣条約は50ヵ国の締結の日後90日目に発効することとされています。
2. 主な改正点
(1)目的に水銀の排出規制が明記されました
第1条(目的)
この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建築物等の解体等に伴うばい煙、揮発性有機化合物及び粉じんの排出等を規制し、水銀に関する水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保するため工場および事業場における事業活動に伴う水銀等の排出を規制し、有害大気汚染物質対策の実施を推進し、並びに自動車排出ガスに係る許容限度を定めること等により、大気の汚染に関し、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに大気の汚染に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。
(青字部分は改正部分)
(2)水銀排出施設に係る届出制度新設
一定の水銀排出施設の設置又は構造等変更をしようとする者は、都道府県知事に届け出なければならなくなります。
⇒水銀排出施設は、政令で定められます。
(3)水銀等に係る排出基準の遵守義務
届出対象の水銀排出施設の排出口の水銀濃度の排出基準が定められ、当該施設から水銀等を大気中に排出する場合は排出基準を遵守しなければいけません。
⇒排出基準は、環境省令で定められます。
(4)要排出抑制施設の設置者の自主的取組
届出対象外であっても水銀等の大気中への排出量が相当程度である施設(要排出抑制施設)は、排出抑制のための自主的取組を責務として求められます。
⇒要排出抑制施設は、政令で定められます。
3. 施行期日
日本について条約が効力を生ずる日から2年以内で、政令で定められます。
上述の水銀排出施設や排出基準に関する具体的な政省令とともに、今後の動向を確認していく必要があります。
【参考資料】
環境省ホームページ
水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案の閣議決定について(お知らせ)
【概要】大気汚染防止法の一部を改正する法律案
【参考ホームページ】
独立行政法人国立印刷局 インターネット版『官報』
大気汚染防止法の一部を改正する法律
外務省ホームページ
「水銀に関する水俣条約」への署名
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました