「名古屋市条例」について
【1】名古屋市条例について
ここでは名古屋市の事例について、ご紹介いたします。
名古屋市は、土壌及び地下水汚染による人の健康や生活環境に係る被害を防止するため、土壌汚染対策法(以下、法)に加えて、土壌及び地下水汚染に関する規制等の規定を追加した名古屋市条例(正式名称:市民の健康と安全を確保する環境の保全に関する条例、以下、市条例)を平成15年10月1日に施行しています。
今回、法の改正に対応するために、市条例で定められている名古屋市土壌汚染等対策指針(以下、市指針)が改正されました[平成22年4月1日施行])。なお、市条例及び同施行規則の改正についても、その必要性を含め、今後検討するとしています。
【2】名古屋市条例とは?
市条例では、第8節「土壌及び地下水の汚染に関する規制(第52条-第61条)」に土壌及び地下水汚染に関する規定を定めています。
また、愛知県条例の改正に伴い、県条例45条(自主調査に係る報告等)及び県条例45条の2(汚染土壌処理業に係る生活環境影響調査の実施等)の規定は、愛知県条例の適用を受けることになっています。
図1に市条例の土壌及び地下水汚染に係るフローを示します。
【図1】 市条例の土壌及び地下水汚染に係るフロー
【3】名古屋市条例の内容等について
目的を「生活環境の保全」としているため、土壌汚染対策法に加え比べ未然防止、調査契機等で上乗せに相当する規定が定められています。
法と市条例の主な比較を表1に示します。
主な規定は以下のとおりです。
(1)特定有害物質等取扱事業者の土地改変時の調査(第55条)
- 特定有害物質等取扱事業者は500m2以上の土地改変を行う場合、指針に基づき、汚染の状況の調査が必要。
- 500m2以上の面積の取り方は、一連の事業計画にかかる範囲とする。法の面積の取り方と異なる。
- 平成22年4月1日以降、ガソリンスタンドも特定有害物質等取扱事業者として取り扱う。以前は、ガソリンスタンドは特定有害物質等取扱事業者ではなかった。愛知県条例の改正で、ガソリンスタンド等が特定有害物質等取扱事業者として取り扱われることから、名古屋市は運用で合わせる。
(2)大規模な土地改変時の調査(第57条)
- 3,000m2以上の土地の形質の変更、改変を行う場合の地歴調査義務。
- 土地の形質変更の面積の取り方は法に合わせる(指針を改正)。
- 法による届け出と同時に地歴調査結果が必要(指針を改正)。
(3)汚染拡散防止計画、汚染拡散防止措置(第58条、第59条)
- 条例に規定される土壌汚染等の調査の結果、基準不適合の場合、指針に基づき、汚染拡散防止計画書を届け出る必要あり。
- 特定有害物質等取扱事業者又は大規模土地改変者は、汚染拡散防止計画書に基づき措置を実施し、完了したときに報告が必要。
- 汚染拡散防止措置の内容は、指針改正により、法と同等の内容に変更。措置に地下水汚染の拡大の防止等が追加。
- 指針改正により、法規制対象外の基準不適合土壌の取り扱いについて、法に準じ適正に取り扱うように規定。
(4)自主調査に係る報告等(改正愛知県条例第45条)
- 自主調査を行った結果、基準不適合の場合の行政への報告は努力義務。
- 行政は措置等について、必要な助言を行う。
- 施行は平成22年10月1日予定。
(5)汚染土壌処理業に係る生活環境影響調査の実施等(改正愛知県条例第45条の2)
- 汚染土壌処理業の許可申請に、生活環境影響調査を義務付け。
- 本規定は、平成22年4月1日より施行。