「愛知県条例」について
【1】愛知県条例について
ここでは愛知県の事例について、ご紹介いたします。
愛知県は、土壌及び地下水汚染による人の健康や生活環境への影響を防止するため、土壌汚染対策法(以下、法)に加えて、土壌及び地下水汚染に関する規制等の規定を追加した愛知県条例(正式名称:県民の生活環境の保全等に関する条例、以下、県条例)を平成15年10月1日に施行しています。
今回、法の改正に対応するために、愛知県条例が改正されました(改正条例:平成22年3月26日公布、平成22年10月1日施行[一部施行平成22年4月1日])。
なお、今後、愛知県は施行規則の改正及び愛知県土壌汚染等対策指針の改定を予定しています。
【2】愛知県条例とは?
改正された県条例では、第三節「土壌及び地下水の汚染の防止に関する規制等(第36条−第45条の2)」に土壌及び地下水汚染に関する規定を定めています。
図1に県条例の土壌及び地下水汚染に係るフローを示します。
【図-1】県条例の土壌及び地下水汚染に係るフロー
【3】愛知県条例の内容等について
県条例では、「生活環境の保全」の目的があるため、法と比べ未然防止、調査契機、措置等で上乗せに相当する規定が定められています。
法と県条例の主な比較を表1に示します。
主な規定は以下のとおりです。
(1)特定有害物質等取扱事業者の義務(第39条)
- 特定有害物質等取扱事業所の全部又は一部廃止時の汚染の調査義務(改正による追加事項)。
- 対象は、水質汚濁防止法の特定施設(法対象を除く)を設置する事業所、ガソリンスタンド等(消防法に定める地下タンクでガソリンを貯蔵又は取り扱う者)。
- 特定有害物質取扱事業者が調査できない場合は、土地の所有者等に調査報告要求(改正による追加事項)。
(2)土地の形質の変更をしようとする者の義務等(第39条の2:改正による変更事項)
- 旧条例第42の規定の見直し。
- 3,000m2以上の土地の形質の変更をする場合の履歴調査義務。
- 面積の取り方及び調査を要しない土地の形質の変更行為は法と合わせる。
- 法との相違点は、土地の形質変更の着手前に、履歴調査が必要。
(3)汚染の拡散防止のための措置等(第40条:改正による変更事項)
- 法、条例に規定される土壌汚染等の調査の結果、基準不適合の場合、愛知県土壌汚染等対策指針に従い、応急措置を実施し報告が必要。
- 法、条例に規定される土壌汚染等の調査の結果、基準不適合の場合、愛知県土壌汚染等対策指針に従い、汚染の拡散を確実に防止するために必要な措置が必要、又措置が完了した場合は報告が必要。
- 拡散防止のための措置は、法及び県条例の対象となるすべての汚染事案で必要。つまり、法で措置が規定されていない「形質変更時要届出区域」であっても、拡散防止措置が必要。
(4)汚染の原因者に対する措置命令等(第41条)
- 土壌又は地下水が基準不適合の場合で、人の健康被害が生ずるおそれがあると認められる場合、特定有害物質等取扱事業者に対し、汚染の除去、拡散防止等の措置を命令。
- 措置命令を受けた特定有害物質等取扱事業者は、措置の計画及び措置完了の報告が必要。
(5)自主調査に係る報告等(第45条:改正による追加事項)
- 自主調査を行った結果、基準不適合の場合の行政への報告は努力義務。
- 行政は措置等について、必要な助言を行う。
(6)汚染土壌処理業に係る生活環境影響調査の実施等(第45条の2:改正による追加事項)
- 汚染土壌処理業の許可申請に、生活環境影響調査を義務付け。
- 本規定のみ、平成22年4月1日より施行。