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水質環境基準の追加、変更について

現在の水質環境基準は、平成11年中央環境審議会答申「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の追加項目等について」において、水質環境基準健康項目および要監視項目全般について、新たな科学的知見に基づいて必要な見直しを行うこととされました。

WHOの飲料水水質ガイドラインの全面改定を受け、平成16年2月に「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて」がとりまとめられました。この中で5項目を要監視項目として追加し、公共用水域等における検出状況や知見の集積を行ってきました。
この検出状況等を踏まえた整理や平成20年の水道水水質基準改定も踏まえて、今回下記に示す項目の追加が成されました。

水質汚濁にかかる環境基準についての一部を改正する件(平成21年11月環境省告示第78号)により、人の健康の保護に関する環境基準(水質汚濁にかかる環境基準(公共水域)、通称 水質環境基準)に1,4-ジオキサン(0.05mg/l)が追加されました。

地下水の水質汚濁にかかる環境基準についての一部を改正する件(平成21年11月環境省告示第79号)により、水質汚濁に係る環境基準(地下水)(通称 地下水環境基準)に、1,2-ジクロロエチレン※) (0.04mg/l)、塩化ビニルモノマー(0.002mg/l)、1,4-ジオキサン(0.05mg/l)が追加されました。

※)1,2-ジクロロエチレンは、シス-1,2-ジクロロエチレンに代わり、シス体、トランス体合わせて1つの地下水基準項目とされました。
また、1,1-ジクロロエチレンの基準値は、0.02mg/lから0.1mg/lへ基準値が変更となりました。

表1 水質汚濁にかかる環境基準(公共水域) に追加される基準項目
項目名 基準値
追加 1,4-ジオキサン 0.05 mg/L 以下

備考:基準値は年間平均値とする。

表2 水質汚濁にかかる環境基準(地下水)に追加される基準項目
項目名 基準値
追加 1,2-ジクロロエチレン 0.04 mg/L 以下
追加 塩化ビニルモノマー 0.002 mg/L 以下
追加 1,4-ジオキサン 0.05 mg/L 以下
変更 1,1-ジクロロエチレン 0.1 mg/L 以下
(現行0.02 mg/L 以下)

備考:基準値は年間平均値とする。

■追加された理由は以下の通りです。

1,4-ジオキサン

公共用水域への排出量も多く、当該物質の特性として、水へ混合しやすいが大気への揮発性は低い。また、水環境中での分解性も低い。このため、健康保護に係る水質環境基準項目および地下水環境基準項目とされた。

主な用途

合成皮革用・反応用の溶剤、塩素系溶剤の安定剤、洗浄溶剤、医薬品合成原料

1,2-ジクロロエチレン

土壌・地下水汚染で取り上げられるトリクロロエチレン等の汚染事例から、嫌気性条件下でのトリクロロエチレン等の分解により1,2-ジクロロエチレン(シス体およびトランス体)は生成された可能性が高く、トランス体が存在する場合は、多くの場合シス体も存在する。このため、現行のシス-1,2-ジクロロエチレンにかわり、1,2-ジクロロエチレン(シス体およびトランス体の和)を地下水環境基準項目とされた。

主な用途

(シス) 化学合成の中間体、溶剤、染料抽出剤、香料、熱可塑性樹脂の製造等
(トランス) カフェイン・香料など熱に敏感な物質の抽出溶剤、ワックス、アセチルセルロースなどの溶剤

塩化ビニルモノマー

土壌・地下水汚染で取り上げられるトリクロロエチレン等の汚染事例から、嫌気性条件下でのトリクロロエチレン等の分解により塩ビモノマーが生成され、地下水汚染が発生する恐れが懸念されるため、地下水環境基準項目とされた。

主な用途

ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン- 塩化ビニル共重合体の合成原料

1,1-ジクロロエチレン

WHO飲料水水質ガイドライン及び水道水質基準の改定を踏まえ、健康保護にかかる水質環境基準及び地下水環境基準における基準値が変更された。

主な用途

塩化ビニリデン系繊維、フィルム等の合成原料

■より詳細な情報は

中央環境審議会水環境部会 排水規制等専門委員会(第1回) 参考資料
検討対象物質に関する情報をご覧ください。
https://www.env.go.jp/council/09water/y0912-01/mat05.pdf

参考)水質汚濁にかかる環境基準の新旧対照表
http://www.env.go.jp/hourei/add/e012.pdf

参考)水質汚濁防止法に基づく対策の概要
中央環境審議会水環境部会 排水等専門委員会(第1回)議事次第 参考資料3
http://www.env.go.jp/council/09water/y0912-01/ref03.pdf


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