エコシステム岡山は、西日本最大級※の自動車シュレッダーダスト処理施設です※:ASR焼却処理の受入量
DOWAグループのエコシステム岡山(本社:岡山市南区、代表:川邉誠)は、使用済み自動車のシュレッダーダスト(以下、ASR)をはじめとする様々な廃棄物の焼却処理を行っています。また、焼却後の残さから有価金属を回収し、製錬材料として再資源化するマテリアルリサイクルや、焼却処理の過程で発生する蒸気を回収し、熱エネルギーとして有効活用するサーマルリサイクルを行っています。
■自動車リサイクル制度のはじまり
現在、年間で約270万台程度のクルマが廃車されています。クルマは鉄などの有用金属から製造されているため、総重量の約80%がリサイクルされ、残りの約20%が自動車シュレッダーダスト(クルマの解体・破砕後に残るプラスチックくずなど)として、主に埋め立て処分されていました。
しかし、埋め立て処分場の不足により処理費用が高騰し、使用済み自動車の不法投棄や不適正処理の懸念が生じていました。また、カーエアコン冷媒に使用されているフロン類は、適切に処理しないと地球温暖化などに影響を与えることや、エアバッグ類は自動車解体時に専門的な技術が必要とされることなどから、これらの適正な処理に向けた、新しいクルマのリサイクルの仕組みとして2005年に自動車リサイクル法が作られました。
こうしたルールの導入により、現在では、クルマはさまざまな方法を用いて、ほぼ100%リサイクルされており、最終的に埋め立て処分される重量は、クルマ1台に対してわずか1%程度にまで減少しています。
■自動車シュレッダーダストについて
- シュレッダーダスト(SD)
使用済み自動車や家電から有価金属などを取り除いた後、工業用シュレッダーで粉砕された破砕くずのことです。プラスチック、ゴム、残った金属など様々なものが含まれているため、マテリアルリサイクルが難しいものです。 - 自動車シュレッダーダスト(ASR)
使用済自動車から発生するシュレッダーダストはASR(Automobile Shredder Residue)と呼ばれます。使用済み自動車からフロン類やエアバック類、エンジン、ドア、トランスミッションなどの部品を取り外し、残ったボディなどを破砕し、有価金属(鉄やアルミなど)を回収した後に残ったものがASRです。公益財団法人自動車リサイクル促進センターの公表資料によると、2022年度の国内ASR発生量は45万トンを超えていました。
■エコシステム岡山について
エコシステム岡山は、自動車リサイクル法が施行された2005年1月に、同和鉱業 岡山工場(現DOWAグループ岡山事業所)において操業を開始しました。現在では1日あたりASR約150t、廃液約100tを処理する能力を有し、年間稼働率90%(約330日)を維持するリサイクルを主目的とした、西日本最大級のASR処理施設です。
エコシステム岡山の焼却炉は、流動化させた高温の砂を利用して廃棄物を焼却する、「流動床式焼却炉」です。この焼却炉は、燃え残りが少なく、廃棄物がもつ熱量を有効に活用できるため、補助燃料がほとんど必要ないという特長があります。ASRを高温の砂を用いて600℃で熱分解することでプラスチックなどの可燃物を除去し、鉄・アルミニウム・ステンレス・銅の4つの有価金属を回収・リサイクルしています。
また、焼却炉を900℃程度に管理するために、化学工場などから排出される廃液を冷却液として用いることにより、無害化処理と温度コントロールの両立を実現しています。昨今では資源循環型社会構築に向けた次の一歩として、ASRに含まれる金やプラスチックを回収する研究も進めています。
■エコシステム岡山のサーマルリサイクル
焼却時に発生した排ガスは、ボイラーで熱回収をした後、急冷減温塔やバグフィルターなどによって無害化処理された後に、煙突より排出しています。また、サーマルリサイクルとして熱回収した蒸気を使って、隣接するグループ会社にて発電を行っています。この電力はDOWAグループ岡山事業所内各社に供給され、事業所全体の電力使用量の85%程度をまかなっています。
DOWAグループの目指す姿
〜資源がめぐる真ん中に。〜
DOWAグループは各種金属の生産から高付加価値材料の製造、さらには廃棄物処理・リサイクルに至る、世界でも類を見ない独自の「循環型ビジネスモデル」を展開しています。
タグライン「資源がめぐる真ん中に。」は、「循環型ビジネスモデル」の根幹である「資源循環」を「資源をめぐらせる事業」とし、資源循環型社会の構築に向けて当社グループが中心的な役割を果たしていく意思を表しています。