乾式磁力選別処理工法について
■はじめに
DOWAエコシステム(株)では、洗浄分級処理や汚染土壌スラリーに添加した鉄粉に汚染物質を吸着させたのち、磁力を用いて回収することで浄化土を得る方法(以下、湿式磁選法)について、これまでその有用性を確認してきました。
このほど処理プロセスにおいて水を使用しない乾式磁力選別処理工法(Dry Magnetic Extraction Method、以下DME工法)を開発しましたので、DME工法の概要および実処理フローについてご紹介します。
■DME工法の原理
鉄粉には砒素や鉛などの重金属類を吸着させる性質があります。自然由来重金属含有土壌に特殊鉄粉を混合し、鉄粉に重金属等を吸着させた後、磁力を用いて特殊鉄粉および土壌中の磁性粒子を回収すると、鉄粉とともに水溶性の重金属等を除去することができます。DME工法の特徴は、処理プロセスにおいて水を使用しないため、有姿土壌に対して直接特殊鉄粉を混合し、磁力により回収することで、浄化土が回収できることにあります。
■DME工法の基本設備フロー・配置(例)
DME工法は、処理プロセスにおいて水を使用しておらず、反応槽や脱水・排水設備が不要なため、処理フローがシンプルで従来技術の洗浄処理よりも処理スペースをコンパクトにできます。また、汎用性のある土木機械の組み合わせで構成可能なため、運転管理が容易です。
■DME工法の特長まとめ
- 対応可能物質(以下の項目について効果を確認しています)
As、Pb、Cr6+、F、Se、CN - 対応可能濃度 各物質、溶出量で概ね10倍程度
- ※対応可能濃度は目安です。適用時は事前に評価試験を実施します。
- ※本工法は、自然由来重金属含有土壌のような低濃度汚染土壌をターゲットとしています。水溶性の重金属の除去を原理としているため、含有量の大幅な低減は期待できません。
- 処理フローが単純で、運転管理が容易。
土質が砂礫であれば、汎用性のある土木機械の組合せで構成可能。 - 用水・排水がほとんど必要ない(メンテ、清掃の洗浄水程度)。
- 粘性土に対しても、処理能力をほとんど低下させずに対応可能。
- 場外の処理施設(off-site)、現地(on-site)でも、適用可能。
- 洗浄処理に比較して、濃縮土壌の発生量が少ない。
DOWA エコシステム(株)では、これからも汚染土壌処理に関する幅広いニーズに対応していくために、現地処理、場外処理の特性の把握や処理技術の向上に取り組み、低コストで合理的な土壌処理方法を提供していきたいと考えています。
この記事は
DOWAエコシステム ジオテック事業部
日野 が担当しました