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リスクのクスリ

廃棄物情報提供の必要性

Q.廃棄物の中間処理業者から廃棄物に関する情報の提供を求められました。情報提供は、どうして必要なのですか?

A.

廃棄物の情報提供に関する、経緯から説明します。

■製品中の有害物質に起因する環境負荷の低減方策に関する調査検討

2006年7月から、欧州連合(EU)では特定有害物質使用制限(RoHS)指令が公布、発効し、電気・電子機器における有害物質(鉛や水銀等6物質)の使用が規制されるのに伴い、日本では2005年(平成17年)7月、環境省によって「製品中の有害物質に起因する環境負荷の低減方策に関する検討会」が設置され、報告書が取りまとめられました。

参考ホームページ:製品中の有害物質に起因する環境負荷の低減方策に関する調査検討報告書

報告書において当面講ずべき対策として、廃棄物については以下の2点が挙げられました。

  • 廃棄された製品中の有害物質情報(RoHS対象物質の情報)の確実な提供
  • ガイドラインの作成による廃棄物MSDS(廃棄物処理法に基づき排出者が処理業者に提供することになっている廃棄物情報)の明確化

■廃棄物処理法 委託基準

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)に定められる産業廃棄物の委託基準では、産業廃棄物の排出事業者は、適正処理のために必要な廃棄物情報を処理業者に提供することとされています。

廃棄物処理法施行規則第8条の4の2(委託契約に含まれるべき事項)

委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報
当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項
委託契約の有効期間中に当該産業廃棄物に係る前号の情報に変更があつた場合の当該情報の伝達方法に関する事項

注)第7号は平成18年3月10日公布、同年7月1日施行。

しかし、廃棄物処理過程において、有害特性等の廃棄物情報が排出事業者から処理業者に十分に提供されないことに起因する自然発火や化学反応等による事故や有害物質の混入等の課題があり、廃棄物情報の適切な伝達が求められていました。

このため、環境省によって、廃棄物の処理過程における事故を未然に防止し、環境上適正な処理を確保することを目的として、排出事業者が提供すべき廃棄物の性状等の情報について具体的に解説し、排出事業者が処理業者へ産業廃棄物の処理を委託する際の廃棄物情報の提供の望ましいあり方を示すガイドラインが策定されました。

参考ホームページ:廃棄物情報の提供に関するガイドライン

ガイドラインでは、情報提供の必要性について、以下のようにまとめています。

労働災害動向調査によれば、廃棄物処理業は他産業と比べて事故が多発している。
(社)全国産業廃棄物連合会が産業廃棄物処理業者1,999社を対象に実施したアンケート調査結果(回収率48%)をとりまとめた「処理受委託時における廃棄物情報の把握のための調査報告書」(平成17年3月)によれば、事故の種類は、挟まれ・巻き込まれ・転倒などの労働災害が多いものの、火災、発熱、爆発、ガス発生、漏洩・流出なども多く発生している。
事故原因としては、廃棄物の分別・排出の不徹底が一番の原因に挙げられているが、「廃棄物の性状などの情報不足」及び「情報と廃棄物の不一致」も大きな要因を占めている。
(廃棄物情報の提供に関するガイドラインp.7)

ガイドラインでは施行規則第8条の4の2の6に掲げる情報の提供方法として、廃棄物データーシート(Waste Data Sheet、以下 WDS)を具体的に示しています。

廃棄物情報の提供に関するガイドライン添付資料1:廃棄物データシート(WDS)

情報項目の必要性

項目 状提供の必要性 廃棄物処理法の該当箇所
①提供年月日 情報提供日を明確にするため  
②廃棄物の名称 廃棄物を特定し、廃棄物の取り違いや誤認を防ぐため  
③排出事業者名称 問い合わせ及び緊急時の連絡先を明確にするため  
④廃棄物種類 受入確認などのため 受入確認などのため(令第6条の2第3号イ)
委託する産業廃棄物の種類及び数量
⑤産業廃棄物の荷姿 廃棄物を特定し、廃棄物の取違いや誤認を防ぐため (規則8条の4の2第6号イ)
当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
⑥産業廃棄物の数量 処理計画の策定や、処理能力を超過する廃棄物の受け入れを防ぐため (令第6条の2第3号イ)
委託する産業廃棄物の種類及び数量
⑦産業廃棄物の安定性・有害性 適正な処理方法を決定し、事故を防止するうえで重要な情報のため (規則8条の4の2第6号イ)
当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
(規則8条の4の2第6号ロ)
通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
(規則8条の4の2第6号ハ)
他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
⑧産業廃棄物の物理性・化学的性状 適正な処理方法を決定し、事故を防止するうえで重要な情報のため (規則8条の4の2第6号イ)
当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
⑨産業廃棄物の組成・成分情報 適正な処理方法を決定し、事故を防止するうえで重要な情報のため (規則8条の4の2第6号イ)
当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
⑩取り扱う際の注意事項 安全対策、異常処置などの情報は、事故防止、安全管理などに重要な情報のため (規則8条の4の2第6号ニ)
その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項
⑪特別注意事項 避けるべき処理方法などの情報は、安全な処理方法の決定や事故防止のため重要な情報なため (規則8条の4の2第6号ニ)
その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項
⑫その他の情報 No1~11に記入するべき情報を補ったり、事故防止有効なほかの情報を活用するため (規則8条の4の2第6号ニ)
その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

(廃棄物情報の提供に関するガイドラインp.13)

廃棄物の安全な処理、適正処理のために重要なのは、排出事業者からの情報提供だけではありません。
中間処理業者にとっては、排出事業者から提供された情報に基づき、受入に関する判断を行い、実際に排出された廃棄物が事前情報と一致しているかを引取・受入時に確認し、一致していない場合は排出事業者にその理由を確認し、その後受入れるかどうかも含めて処理方法等を再検討することが非常に重要です。

■WDSを発展させたWSDS

DOWAエコシステムグループではお客様(排出事業者)からの廃棄物情報(WDS)に加えて、必要に応じて廃棄物のサンプルを事前にご提供いただき、以下の項目を分析しています。

  1. 形状
  2. 性状
  3. 発生ガス
  4. 混合反応性
  5. 有害物質(Pb、Zn、T-Cr、Cr6+、Cu、As、Cd、Ni、B、Sb、Se、T-Hg、CN)の溶出量、含有量
  6. 水分率、残渣発生率、発熱量、引火点など焼却に関する値
  7. その他

これらの事前分析の結果を元に、WDS(廃棄物データシート)にSafety(安全)に関するを加え、独自の「WSDS(廃棄物安全データシート)」を作成し、運用することにより、作業上の安全も考慮した適正処理体制を整えています。このWSDSの情報を活用して、お客様には、廃棄物の性質や性状に応じた排出、運搬、処理の方法を提案させて頂いています。

実際に契約を締結し、廃棄物処理を委託された場合にも、事前のWSDS(廃棄物安全データシート)と入荷した廃棄物の性状等が一致しているかを確認し、多種多様な廃棄物の安全な処理に邁進しています。


この記事は
エコシステム秋田
亀倉 が担当しました

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