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工場を閉鎖するときに気を付けることはなんですか?

事業主や土地所有者の多くは、工場を閉鎖する前に『今後の土地活用計画(土地の売却、新規開発など)』を考えていると思います。その場合、土地の資産価値を元に、次の活用計画を立てる場合がほとんどだと思いますが、その際に重要なことは、その土地の土壌汚染リスクを正確に把握することです。

■過去には以下の様な事例があります

  • 建設工事着工中に土壌汚染が確認され、工期の長期化または活用方法の変更を余儀なくされた
  • 土地売却直前に土壌汚染が発覚し売却価格が大幅に落下、運用計画を変えざるを得なくなった
  • 売却後に土壌汚染が発覚し土地の“隠れた瑕疵”として損害賠償が認められた
  • 土地の前所有者に対して、現所有者が土壌汚染浄化費用を請求し公害調停に至った

これらの事例は、土壌汚染があると分かっていながら隠していた場合よりも、土壌汚染はないと思っていたのが何らかのきっかけで土壌調査を実施し、汚染が確認される場合が多いと思います。

そのため、土地の土壌汚染リスクを把握するために土壌および地下水の調査を実施することが重要となります。土壌調査を実施する事はこれからの土地活用を検討される方にとっての自己防衛でもあると、考えます。

さらに2010年4月1日から施行される改正土壌汚染対策法(以後:改正土対法)で『土地改変面積が合計で3,000平方メートル以上の土地の形質の変更を行う場合、事前に都道府県知事への届出が義務付けられ、届けられた土地に汚染の恐れがあると都道府県知事が認めた場合には、土壌汚染状況調査を実施、結果を報告しなければならない』という要件が加わるため、開発を行う際には注意が必要です。

■以下に代表的な土地活用の例を2点あげます

①土壌汚染リスクを管理した状態での土地活用(工場、倉庫など)

改正土対法施行後、土壌・地下水汚染が存在しても、健康被害のおそれが無い土地については『形質変更時要届出区域』に指定されます。
この形質変更時要届出区域は、土壌汚染が確認された場合でも、汚染による人の健康被害の可能性がないものと都道府県知事が確認する事により指定されます。
現状、汚染がある=指定区域(クロ)/汚染なし=(シロ)と2段階評価で考えられる場合が多いですが、クロ/シロに加えてもう1段階設ける事により土壌汚染を残したままでの活用を促す意図があるようです。
土壌汚染を残したままの土地活用が進めば、現地不溶化処理や封じ込め等、土壌の場外搬出以外の対策が増加する可能性もあります。

②土壌汚染リスクを完全に除去をした状態での土地活用(住宅地など)

住宅地においては土壌汚染を除去する『場外搬出による完全浄化』が多く実施されていることも現実です。これは、「土壌汚染」という環境リスク、資産の減額要因となる資産リスクを排除した後に土地を購入し、安心して住みたいという購入者の要求によるものであると考えます。
今後は住宅地においても土壌汚染リスクを管理して土地活用がなされる可能性はありますが、一般消費者(生活者)の意識は根強く残るものと思われます。

■まとめ 工場閉鎖時に気をつけなければいけないこと

土壌の調査を実施し、土地の土壌汚染リスクを正確に把握することが大切ですので、土壌調査結果を参考に、土地活用の方法の検討と最適な土壌対策を選択していくことをお勧めします。


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