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なるほど話

金のマテリアルフロー

金は地球上にどれだけあり、世界中でどれくらいの量がどのようなかたちで生産され、流通しているのか、また日本国内ではどうなのかの概略を解説します。

【1】地球上の金の総量と可採年数

「表1:金資源埋蔵量」によると、2013年時点で地球上の金の埋蔵量は54,000tです。
それに対して、「表2:金の国別生産量」の中の世界の生産量を見ると、金鉱石の採掘量は毎年右肩上がりに増え続けています。2008年には採掘量が約2,429tだったのに対し、2013年には3,022tにまで増えています。
仮に、世界に埋蔵されている54,000tの金鉱石を、毎年3,000t採掘し続けると、約18年で金は採掘され尽くされます。こうした計算によって、金の可採年数は18年と算出されます。

※可採年数=1年間の採掘量/埋蔵量


(U.S.Geological Survey,Mineral Commodity Summaries, 2014)


(GFMS World Gold Survey 2014)

【2】国別の金の生産量

主要な金の生産国について見てみます。

「表2:金の国別生産量」統計によると、直近2013年時点で金の生産量が首位なのは中国で、一年で400t以上生産しています。また、毎年数十t単位で増産し続けているから驚きです。
ただ、2013年時点での中国の埋蔵量は1,900tなので、このまま中国が生産し続けると、あと5年もしないうちに中国に埋蔵されている金が掘りつくされてしまう計算になります。

一方で、南アフリカは2008年には約233t(世界第2位)も生産していたのに対し、2013年には174t(世界第6位)まで生産量を落としています。これは金の利権を争うボーア戦争とケープタウンでの腺ペストの大流行が影響しているようです。

生産量世界第2位はオーストラリアで、250t前後を毎年安定して生産しています。

【3】世界の金の需要と供給の内訳

「表3:世界の金需給」統計をみてみますと、年間約4,500tの金が流通しています。

2013年の供給は、鉱山から生産される量が3,022t/年、
スクラップからリサイクルされる中古金の量は1,280t/年で、
総供給量4,302tに占める、リサイクル金量1,280tの比率は29%です。

鉱山から生産される金の数量は年々増加していますが、中古金スクラップは2013年に減少しました。これは、金の価格が下落したことにより、スクラップの供給が減少したためと考えられます。(金の価格が下落すると、金が含まれているスクラップの価格も下がるので、スクラップを集めるインセンティブが減少するためです。)

2013年の需要は、
宝飾用として2,361t消費され、その他加工用として409tが消費されています。
使用せずに保管される退蔵用や、地金投資などで898t需要があり、公的機関が409t購入しています。
金は宝飾用だけでなく、工業用にも使われていますが、全体の需給でみると、宝飾用は工業用の約5倍の需要がある事が分かります。その視点から見ると、投資用は工業用の2〜5倍で推移しており、金は投資目的での需要が大きい事が見て取れます。


(Gold Survey 2014)

【4】日本の金の需要と供給の内訳

次に日本国内の日本について見ていきます。「表4:日本の金需給」統計をみてみますと、世界で年間約4,500t弱の金が流通しているのに対し、日本国内では約5%の約250t前後の金が流通していることがわかります。


(田中貴金属工業)

供給の表にある「新産金」は、製錬所から生産される金の数量と思われますが、年間約93~133tです。
ちなみに国内最大にして唯一の金鉱山である菱刈鉱山からは、年間約7tの金が採掘され製錬されています。(住友金属鉱山株式会社のホームページより)
「回収」は、製錬所を経由せずにスクラップなどから回収される金の数量と思われますが、年間約35~55tです。この他に約2~58tが輸入されています。

製錬所はスクラップも二次原料として製錬していますから、新産金の中にもスクラップ由来の金が含まれます。この新産金に占めるスクラップ由来の金の数量は不明ではあるものの、日本に流通している金の少なくとも20%前後はリサイクル原料由来の金であると言えそうです。

需要側から見ると、工業用として年間約109~145t消費され、宝飾用として12~17t消費されています。この他に84~155tが輸出されています。
世界的には宝飾用は工業用の5倍の需要がありますが、日本では宝飾用が工業用の約1/10である事から、日本は工業国である事や、金の保有志向が低い事が見て取れます。

【5】金の流通を追うことの難しさ

国内の金の動向をとりまとめた資料は少なく、また集計機関が異なれば、集計基準も異なり、資料によって数値が異なっています。一桁違う事はないものの、個々の項目の規模感やトレンドが資料によって異なるケースもありました。

金は、宝飾品にもなり、投資目的で扱われる事もあり、様々な電子機器にも使用されており、金の実態をマテリアルフローとして把握することはなかなか難しいですが、金という物質がどれくらい流通しているかを通して、「金」への理解を深める一助となればと思います。

【引用文献】

独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
・レアメタルハンドブック2014 金(Au)P.68−P.75


この記事は
蘇州同和資源綜合利用有限公司
蔵石 が担当しました

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