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なるほど話

そうだったのか!地球温暖化とその対策(5)
~京都議定書−1~

今回は京都議定書に関して紹介します。

【1】京都議定書(KP:Kyoto Protocol)までの歩み

気候変動の脅威に各国が協力して取り組むための国際条約として、1992年に設立された国連気候変動枠組条約(UNFCCC:United Nations Framework Convention on Climate Change)は、加盟国の最高意思決定機関として条約締約国会議(COP)を、毎年開催することとなっています。

1995年の第1回のドイツ・ベルリンでの締約国会議(COP1)において、COP3までに新たな「議定書や法的文書」に合意することが決まりました。翌年のCOP2(スイス・ジュネーブ)においても排出量目標の設定やその拘束力等について議論がされ、議定書にむけての準備が進められました。

■こぼれ話 なぜ、「京都」議定書?

COP1において、COP3で効力のある「議定書や法的文書」を採択し、合意することが決められました。それと同時に日本政府はCOP3のホストをする意思を正式に表明しました。つまり、日本政府は、新たな議定書もしくは他の法的文書の採択がCOP3で行われることを承知の上で、そのCOP3を日本で開催する意思表明をしたわけです。よって、たまたま、京都で開催された締約国会議で議定書が採択されたのではなく、日本はなるべくして議定書に名前を残す事になった、という事になります。
歴史的議定書に「京都」の名前がついたことは偶然ではないのです。

【2】京都議定書の合意

そしてようやく、1997年12月に行われた京都での条約締約国会議(COP3)において、先進国・東欧諸国を中心とする附属書Ⅰ締約国に分類される41の締約国・地域(EU)に対して「2008年〜2012年(第一約束期間:CP1:Commitment Period 1という)の5年間の温室効果ガス排出量レベルを1990年比で5%削減する」という目標を設定し、その達成を約束させました。

この国際的な合意が京都議定書(Kyoto Protocol)です。
正式名は、「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)」です。

【3】京都議定書の発効

合意は、1997年12月ですが、これだけでは、まだ効力は発揮しません。実際の効力を発行するには、京都議定書25条で定められた以下の発行条件を満たす必要があります。

  1. 55ヵ国以上の国が締結
  2. 付属書Ⅰ締約国の合計の二酸化炭素の1990年の排出量が、全附属書Ⅰ国の合計の排出量の55%以上

しかし、この条件2を満たすことが大きな問題となりました。


■図-1 1990年の附属書Ⅰ締約国の二酸化炭素排出割合(アメリカとカナダは現在は離脱)
出典:環境省ホームページ

付属書Ⅰ締約国のうち、二酸化炭素排出量上位三カ国、アメリカ、ロシア、日本が全体の約62%を占めています。アメリカが批准を拒否したため、日本とロシアが批准することが、議定書が発効するためには必要となりました。
日本とアメリカ以外の国の排出量の合計は55.4%ですので、日本とアメリカ以外の国が全て批准すれば、条件2の達成は可能でしたが、それは非現実的でした。

  • 二酸化炭素排出抑制は経済発展を阻害すると考える多くの発展途上国(中国・インド等)が批准を見送り
  • 経済活動の妨げになるとアメリカは当初より批准を拒否
  • カナダは批准するも2012年に離脱
  • ロシア、オーストラリアも批准を見送り

2002年6月に日本、2004年にロシアが批准し、2005年2月にようやく発効することができました。その後、オーストラリアが2007年に批准しました。

またその間に、COP7(モロッコ・マラケシュ)にて、京都議定書の運用に向けての詳細が決められました(義務・約束の遵守に対する罰則など)。
そして京都議定書はUNFCCCにおける唯一の批准された議定書になります。

その後、国際的な機運の高まりや関係機関の努力により、2014年3月現在では、191ヵ国と1地域(EU)が京都議定書に批准しています。

【4】京都議定書の特色

対象
管理・削減対象とする温室効果ガスは以下の6つと定められました。
二酸化炭素(CO2 主に化石燃料由来が多い
メタン(CH4 牧畜や稲作等の由来が多く、最終処分場からの発生も多い
亜酸化窒素(N2O) 燃焼時発生、窒素系肥料等
ハイドロフルオロカーボン(HFCs) いわゆるフロンガス
パーフルオロカーボン(PFCs) いわゆる代替フロン
六フッ化硫黄(SF6 工業用原料
基準年
原則として基準年は1990年とすることが定められました。

【5】京都メカニズム

この京都議定書では、温暖化ガスの削減は、自国内での削減とともに、国外での削減活動や経済原理を用いての国家間での取引など、積極的な環境配慮投資が容易に行われ、その成果が最大限に発揮されること目指しています。
この仕組みを京都メカニズムといい、国際排出権取引、クリーン開発メカニズム、共同実施の3つが挙げられます。

1. 国際排出権取引

これは、排出削減の目標を達成するために附属書国Ⅰ間において、排出量削減達成に余裕がある国と余裕がない国の間で、温暖化ガス排出量枠を売買することです。つまり、排出枠のない国が排出枠が残っている国からその分を購入することを指します。

2. クリーン開発メカニズム

温室効果ガスの削減義務のない非附属書国において、温暖化ガス削減プロジェクトを実施し、その成果を自国の成果とできる仕組みです。例えば、省エネが進んでいる先進国(削減効果が薄い)は、十分な削減効果が見込める途上国に技術・資金を投資することで、途上国において温暖化ガスの削減が推進され、その成果を先進国が得ることができる仕組みです。

3. 共同実施

先進国間(附属書Ⅰ国間)において資金、技術面で協力して温室効果ガスを削減することです。排出量は附属書国Ⅰ全体としては変化しません。

また上の3つのメカニズムに加え、吸収源活動が行われており、基準年である1990年以降に植林によって増えた二酸化炭素吸収源と、都市化・農地化によって減った二酸化炭素吸収源の差を排出量として計算するなど、植林を促す取り組みも行われています。

【6】京都議定書(KP)の締約国

2014年3月現在での京都議定書批准国は191ヵ国と1地域(EU)となっております(UNFCCCの批准国は196ヵ国と1地域であり、京都議定書に批准していない国はアメリカ、カナダ、アンドラ、パレスチナ、南スーダンの5ヵ国です)。
その中で第一約束期間に実際に温室効果ガスの削減義務のある国は、締約付属書国Ⅰに属する国の中の36ヵ国と1地域になります。(図-2参照)

その後の2013年から2020年までを第二約束期間(CP2)と定め、2012年までに新たな国際的な枠組みや削減目標を定めることになっていましたが、中国・インドのように相当量の温室効果ガスを排出している国が依然として削減義務を負わないなどの不公平感から一部の国(日本、ロシア、ニュージーランド)が離脱し、残された国と新たに削減目標に参加する国の37か国と1地域によって、第二約束期間が始まりました。


■図-2 主要国の気候変動枠組条約と京都議定書の参加状況(第一約束期間、第二約束期間)
出典:環境省ホームページに筆者加筆
※CPはコミットメントピリオドの略(=約束期間)

【7】京都議定書のその後

2009年に行われたCOP15(コペンハーゲン会議)において、地球の気温上昇を産業革命以前に比べて、2℃以内に抑えることが指針とされ、そのために、先進国には削減目標の設定、途上国には削減行動を実施義務、途上国への支援等について議論が行われました。

多くの国はこの交渉に合意しましたが、一部の途上国等の反対があり、全体的な合意に至っていません。しかし、中国やアメリカを含む多くの国が自主的な目標を宣言しており、もしこれが合意されれば、京都議定書に続く議定書になる可能性があります。

コペンハーゲン会議での主な国の先進国の排出削減目標
国・地域 排出量削減量(2020年) 基準年
日本 25% 1990
アメリカ・カナダ 17%程度 2005
EU 20% or 30% 1990
ロシア 15%〜25% 1990
オーストラリア 5%〜25% 2000
ニュージーランド 10%〜15% 1990

各国は様々な前提条件(例えば、途上国もがんばるならなど)をつけており、削減目標に幅があります。
また、日本が掲げている「25%削減」はこの時に表明したものであり、現在も日本はこの25%削減を目標としています。

コペンハーゲン会議での主な国の途上国の排出削減行動や目標
削減行動や目標
中国 GDPあたりの二酸化炭素排出量を削減、森林増、エネルギー源の非化石燃料化
インド GDPあたりの二酸化炭素排出量を削減
ブラジル・韓国 対策を何もしない場合(BAU:Business As Usual)より改善する
南アフリカ、インドネシア 対策を何もしない場合(BAU:Business As Usual)より改善する
先進国の支援があれば更に削減

目標設定や行動については、統一的な基準や方針が望ましいですが、各国の経済的事情や、温暖化ガスの排出量やそれに対する意識等に大きな差異があることから公平な基準や目標の設定は困難です。しかし、長年の国際的な努力の結果、途上国も含め多くの国が削減に向けての行動を開始し始めたと考えることができます。

このように、地球温暖化に関するIPCCの長期かつ継続的な調査による科学的知見をまとめた報告書を元にUNFCCCによるCOPに代表される削減に向けての国際的な会議や交渉が行われます。
その削減に向けた具体的な活動方法への取り決めや具体的な削減目標の設定のために京都議定書が批准され、またコペンハーゲン会議のような新たな枠組みの準備も進んでいます。

2014年3月25日~29日に横浜において、日本では初となる国連IPCC総会が開催されました。内容については後日レポートします。

次号では、京都議定書の実績について具体的に解説していきます。

この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
三戸 が担当しました

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