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なるほど話

そうだったのか!地球温暖化とその対策(2)
~地球温暖化が与えるであろう影響~

前回は、第1回として「地球温暖化とは?」と題して、その仕組みについて説明しました。
今回は、「地球温暖化が与えるであろう影響」について、説明していきます。

【1】日本の気温変化

まずは、地球規模ではなく、我々の住む日本について地球温暖化の影響について見ていきます。


図表1 日本の平均気温の測定地点(17地点)

日本の温暖化はどのように観測され、判断されているのでしょうか?日本の気象庁では、全国800か所以上で毎日の気象観測(降水量・気温・風向等)が行われています。
その中で図表1に示す17か所が日本の平均気温を表す地点に選定されています。

17か所とは、網走、寿都(すっつ)、根室、石巻、山形、水戸、銚子、伏木、長野、飯田、彦根、境、浜田、宮崎、多度津、名瀬、石垣島の17地点であり、これらが選定された主な理由は、

  1. 過去から測定が行われており、そのデータが蓄積されていること。
    (建物の場合はデータの整合性が取れなくなる場合もある)
  2. 大都市やその近郊ではなく、ヒートアイランド現象等の外乱要因を排除できる地域であること。
    であり、この17地点の平均気温が日本の平均気温とされています。

※ヒートアイランド現象
都市部の気温が郊外に比べて、島状に高くなる現象。その原因は、大きくは3つあり、人工排熱の増加(建物、工場、自動車・エアコン等からの排熱)、地表面被覆の人口化(緑地減とアスファルト、コンクリートの増加)、都市形態の高密度化(人口や建物密集と風通しの悪化、天空率の低下)である。

次に図表2は、1901年から近年までの平均気温の変化を示したものです。
東京(赤線)、地方の大都市(札幌、名古屋、大阪、福岡:ピンク線)、日本の平均気温(17地点:黒線)、日本近海の海面水温(水色線)を示しています。
またグラフの縦軸は、1901-1930年の平均を基準にその変位を表したものです。
例えば、2010年の東京の気温は1901-1930年の平均気温より3℃高かったことを表しています。


図表2 1901-1930年の平均と比較した場合の日本の各所の気温と海面水温
出典:気象庁「気候変動監視レポート2012」に加筆

これよりわかる主なこととして

  • 最近10年の日本の平均気温(黒線)は、1901-1930年の比べて多少の変動はあるが、約1℃高い状態で推移している。
    ⇒これが日本の温暖化を示しているとされ、様々な研究や報告書で使用されています。
  • 同様に東京(赤線)や地方大都市(ピンク線)においても1~3.5℃ほど高い状態で推移している。
    ⇒日本の平均気温と東京や地方大都市との差がヒートアイランド現象による気温上昇と考えられています。
  • 海水温(水色線)についても概ね、日本の平均気温の推移に追随している。

これらより、何らかの原因で日本全体の気温は上昇しているのは確からしいと考えることができます。

【2】気温変化の与える影響

図表2では、20世紀初頭と比べて近年、日本の平均気温が上昇しており、特に都市部ではさらに気温の上昇がみられました。
それでは実際、気温が上昇するというのは、どういったことなのでしょうか?身近なところの例を示します。

■一日の最低気温の変化

図表3には、年間の冬日(日最低気温0℃未満)の日数の変化、年間の熱帯夜(日最低気温25℃以上)の日数の変化を表しています。
そして赤い線は、その移動平均を示しています。
1930年ごろには、

75日/年ほどあった冬日は、現在では55日/年程度に、
8日/年程度であった熱帯夜は現在では、20日/年程度になっています。
これは寒い日が減り、暑い日が増えていることを示しています。

私たちの生活において、冬が暖かくなり、夏が暑くなったということがデータからも見てとれます。


図表3 日最低気温0℃未満(冬日)の日数(左)と日最低気温25℃以上(熱帯夜)の日数(右)
出典:気象庁「気候変動監視レポート2012」に加筆

■植物の成長の変化


図表4 ソメイヨシノの4月1日の開花ラインの変化
出典:気象庁ホームページ

図表4は、1960年代と2000年前後の平均的なソメイヨシノの開花ラインを示しており、近年では、4月1日の時点でかなり北方までソメイヨシノが開花しています。
(厳密には複雑な計算式がありますが)開花は、一般的に、気温の積算によって決まると言われております。また同様に、気象庁によれば、かえでの紅葉日についてもこの50年で2週間ほど遅くなったというデータもあります。これは、植物にとっての「寒い冬」が短くなっていることを示していると考えることができます。

■雨の降り方の変化

図表5は、1mm以上の雨を観測した日数(1900年以降)と400mm以上の雨を観測した日数(1975年以降)を示しています。また赤線は、その移動平均を示しています。


図表5 1mm/日以上の降水を観測した日数の推移(左)と400㎜/日以上の日数の推移(右)
出典:気象庁「気候変動監視レポート2012」に加筆

これより、20世紀初頭と比べると、1mm/日以上の雨を観測した日は、おおよそ125日/年から115日/年と減少しています。
逆に400㎜/日以上の豪雨の日数が1975年では、3日/年程度であったものが、現在では、10日/年を超える状態になっています。

要するに、晴れの日が増えて、雨が降るときはまとめて降る。といった傾向が見てとれます。特に豪雨日数は、1975年以降だけでも、劇的に増えているように見えます。
しかし、この降水パターンの変化と温暖化を明確に結びつける理論については、実はまだまだ研究されている段階(気温が上昇することで、水蒸気量が増え、雨や台風が強くなり、また大気循環が変化し、気候の乾燥や湿潤のパターンが変化するとされている。)であり、各報告書では、断定はできないものの「確からしい」、「高い確度で」、「確度〇〇%」と表現されています。

【3】気温変化が与える影響(世界) ~IPCC第5期評価報告書より~

次に、地球規模での影響について、2013年9月に発表されたIPCCの第5次評価報告書(draft版)より、抜粋して紹介いたします。(この報告書は、まだ最終版ではないので、今後変更される可能性があります)

IPCCとは、「気候変動に関する政府間パネル(International Panel on Climate Change)」を示しており、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設置された国際機関です。

気候システムや気候変動に対する様々な研究評価や抑制策に検討を行っている最大の国際機関であり、最新の気候変動に関する知見や評価を定期的に公表しています。
その最新の報告書である第5次評価報告書によると、世界の様々な気候変動は以下のようになります。

気候

世界では、前回で述べたとおり、この100年で0.85℃の気温上昇があったと推測されています。さらに、海面表層部分の海水温も世界平均で0.11℃上昇したと言われています。その結果、地域差はありますが、北アメリカやヨーロッパでは、降雨量が増し、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアでは、熱波の頻度が増加しています。

海氷面積

北極域での海氷面積は、この10年の減少率は13.6%と推計されており、また北半球での積雪面積は減少しています。これより、北半球での温暖化は顕著であるとされていますが、南極域の海氷面積は、逆に1.2~1.8%の割合で増加しています。

海面水位

世界の海面水位は、1993~2010年の間に3.2mmの上昇がみられます。これは温暖化に気温上昇に伴う、水の膨張と北極域、グリーンランドの海氷面積の減少が大きな原因とされています。また今世紀末には、海面水位は82cm上昇するとも推計されています。

海洋の酸性化

増え続けている二酸化炭素は、その約30%は海洋が吸収しているため、海水の酸性化が起きています。

このようなIPCCの定期的な報告書は、世界中の気候変動や温暖化対策に関する政策に大きく影響を与えており、この最新の報告書も、各国(当然、日本も含む)ですでに解析や検討が進められています。このような功績からIPCCは、2007年にノーベル平和賞を受賞しています。

気候変動や温暖化対策には、過去のデータの解析や、将来の予測などすべての分野において、まだまだ調査・研究段階である内容も多くあり、科学的に解明できないこと、科学者間で意見が異なることなど多くあります。このようにまだ地球温暖化には、大きな不確実性が残っていますが、その不確実性を少しでも解明するために多くの研究が今も行われています。

温暖化防止に否定的な国や研究者はこの不確実性を最大の問題点としていますが、温暖化が進行しそれによる気候変動が回復困難なレベルになる前に、科学的に不確実性が解決されていなくても「予防アプローチ」として、地球規模で様々な対策が国際的に進められています。

この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
三戸 が担当しました

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