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海外事情

台湾における土壌及地下水汚染整治法の対象業種拡大について

台湾では2000年に「土壌及地下水汚染整治法」(以下「台湾土汚法」)が施行されました。2002年に行政命令で第8条・9条法令の業種指定の公告があり、2004年の施行日の公告を経て、2005年より施行されました。これは、指定対象業種の工場用地の売買(台湾土汚法第8条法令)と新設・休業・閉鎖(台湾土汚法第9条法令)に際して、調査義務を課すものです。

2009年12月現在、対象業種は17業種ですが、既に7月に行政命令で13業種の追加が公告されており、2010年1月1日より30業種として施行されます。これに伴い、既に約6,400社が対象となっていますが、約5,600社追加され合計約12,000社が対象となります。

■台湾土汚法第8条および第9条について

第八条 中央管理機関で指定し公告された事業は土地の所有権を移転する時、その譲渡人は土壌汚染測定資料を提供するべきである(違反罰則はないが、義務がある)。土地譲渡人が前項の規定に従い情報を提供せず、その土地が管制サイト(日本の指定区域に相当)として公告された場合に、譲渡人は土地所有人と同じ責任をとることになる。(違反罰金はないが、遡及責任・連帯責任がある)

第九条 中央管理機関に指定し公告された事業は、設立時、停業或は休業する前に土地の土壌汚染測定資料を用意し、所在地の管理機関(地方政府環境保護局)に提出し承認されてから、事業管理機関(地方政府産業発展局等)で関係手続きをすること。(違反罰金20萬元~100萬元・日本円で約60万円~300万円<新台湾元=3円で換算>)

  既存の対象業種 追加の業種
製造業
  1. 皮革、毛皮整製業
  2. 基本化学工業
  3. 石油化工原料製造業
  4. 人造繊維製造業
  5. 合成樹脂、プラスチック製造業
  6. 合成ゴム製造業
  7. 農薬、環境衛生用薬製造業
  8. 石油精製業
  9. プラスチック(合成)皮革・ボード・パイプ製造業、プラスチック皮製品製造業
  10. 鋼鉄精錬業
  11. 金属表面処理業
  12. 半導体製造業
  13. プリント電子基板(PCB)製造業
  14. 電池製造業
  1. 製材業
  2. 肥料製造業
  3. 塗料・染料及び顔料製造業
  4. 鋼鉄鋳造業
  5. アルミ精錬業
  6. アルミ鋳造業
  7. 銅精錬業
  8. 銅鋳造業
  9. 金属熱処理業
  10. 受動電子部品製造業
  11. 光電材料及び部品製造業
非製造業
  1. 電力供給業
  2. ガソリン・スタンド業
  3. 廃棄物処理業
  1. 廃棄物運搬業
  2. 石油業の貯蔵及び運搬場所

なお、登録業種が異なっていても対象業種の製造工程が含まれる場合は、台湾土汚法第8条・第9条の対象となります。対象業種に該当するかどうかは、最終的には地方政府環境保護局の判断となりますので、その点は注意が必要です。

さて、実際の運用面ですが、環境保護署の第9条調査に関する統計によると、2009年11月11日現在午前9時44分18秒現在(細かいですね)、工場設立に伴う調査は1037件、休業は378件、閉鎖は65件となっています。
この数値を見て、設立と停止・休業の数のバランスが悪いと思いませんか?
別の開示資料では、第9条調査をしていない会社が追跡され、約450件がリストアップされており、多くは閉鎖・休業に関わるものだと推定されます。そのうち数十件で、行政側による強制的な土壌調査が実施され、調査報告書が開示されています。
これは、台湾土汚法に対する民間の対応と、行政側の管理姿勢を端的に表しています。
つまり、民間企業は工場新設の際には調査を実施し前所有者の汚染リスクを避けるが、閉鎖・休業時には自身の汚染リスクについて報告を避ける傾向にある。一方、それに対する行政側の対応も、相当厳しいものであるということです(台湾では、行政側が強制的に立入調査を行える権限があります)。
土壌汚染の法律に対する運用を比較すると、日本は「自主型」、台湾は「告発型」といえるでしょう。

ところで、台湾土汚法には、次のような国会審議待ちの改正草案もあり、いずれは成立するものと推定されます。

  • 工業区への定期的な観測及び汚染報告義務
  • 調査契機の拡大(第8条・9条、調査契機として営業用地変更や会社所有者の変更等を加える)
  • 管制サイトの処分禁止(不動産売買等)

ここまで台湾の例について述べましたが、どの国でも土壌汚染の法律には、無過失責任、連帯責任、遡及責任の要素があり、かつ法は厳しくなる傾向にあります。現地の土壌汚染に関わる法令の対象業種はもちろんですが、対象業種に当てはまらない場合、もしくはまだ法律が制定されていない場合であっても、海外における工場の新規設立・用地変更・移動・休止・閉鎖・売買などのイベント時には土壌調査を行い、土壌汚染に関する状況把握やリスク回避をされることをお勧めいたします。


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