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スペイン・バルセロナの多様なゴミ収集事情

バルセロナは、人口165万人(2023年現在)、穏やかな地中海気候とピカソやダリ、建築家アントニオ・ガウディを目当てに、ヨーロッパをはじめ各国からの観光客が絶えないスペインの地方都市です。
市中心部のショッピングエリアは、100年ほど前から整備された碁盤の目状の街区ですが、旧市街は迷路のような路地が入りくみ、新開発が進む高層オフィス街区や山間部など、多様な街並みを形成しています。

■街区に合わせた多様な収集システム

そんなバルセロナでは、2022年から2030年までの計画で、持続可能な未来に向けた新しいゴミ収集システムが始動しました。街路には新しいデザインの大型分別コンテナ(上の写真)が設置され、日中・夜間を問わずゴミを回収する廃棄物収集車両は66%が電動化され、周囲の人への安全機能も搭載されていて騒音も少なくなりました。

また、新しい大型コンテナだけではなく、道が狭く車両のアクセスが難しい街区、商店街で人通りが多い街区など、街区の事情に合わせて空気圧式収集ポストや、移動式プラットフォームなどを設置しています。一部では戸別収集の試みも始まり、商業地区では手動収集も毎日行われています。

上の写真は、2種のコンテナからのゴミ収集の様子です。右側は埋め込み型の小型ゴミコンテナを引き上げてゴミを車に積載しています。

空気圧式収集ポスト(下の写真)は、景観に配慮する場所に設置されている悪臭が発生しないコンテナです。コンテナは地下パイプのネットワークに接続されていて、投函したゴミ(一般ゴミと生ごみ)は中央の吸引ポイントに吸引収集されます。

街路の狭いエリアではこれまでの固定式コンテナが排除され、毎日定時(6時~11時、18時~23時)に新しく移動式プラットフォーム(下の写真)が広場などに設置されることになりました。一般ゴミや生ゴミは毎日、プラスチックや瓶、段ボールなどは週5日のみ、捨てることができます。

(参照)Plataformas móviles | Limpieza y Residuos | Ajuntament de Barcelona

また一部のエリアでは、新しくゴミの戸別訪問回収の試みが始まりました。収集カレンダーに従って該当する日に廃棄物を分別(有機物、包装、紙とボール紙、廃棄物とガラス)して戸外に置いておくと、定時に収集車が回収します。共同責任に基づいた消費と廃棄を推進するため、分別に責任を持たせることが狙いです。
昔に戻る施策のようにみえますが、調査結果では戸別訪問回収が最もきちんと分別してもらえる回収方法とのことです。

■ゴミの5大分別

(参照)Buscador de residuos | Ayuntamiento de Barcelona

バルセロナのゴミの分別は分かりやすく色分けされています。

  • 茶色-オーガニック(生ゴミ、コルク栓、汚れたキッチンペーパー、庭の廃棄物など)
  • 青色-包装材・紙・ボール紙・段ボール
  • 緑色-ガラス
  • 黄色-プラスティック・アルミ(ペットボトル、ビニール袋、飲料缶、シート、アルミホイル、発泡スチロール、小型スチールケーブルなど)
  • 灰色-その他一般廃棄物(タバコの吸い殻、掃除の残骸、使用済みの鉛筆、髪の毛など。おむつや動物の糞も捨てられますが、「衛生廃棄物」と書かれた黒い袋に入れること)

灰色のコンテナには、適切に分別されていない廃棄物が大量に混在するため、エコパークに運ばれてさまざまなプロセスを経てリサイクル可能な材料を分別し、リサイクルできない廃棄物は埋め立て地に送られるか、焼却されるそうです。

■壊れた電化製品や廃油などの収集施設グリーンポイント(punto verde)

コンテナに捨てることができない廃棄物(バッテリー・廃油・電球・電化製品・スプレー・インクカートリッジなど)は、地区ごとに設置されたグリーンポイント(上の右の写真)や移動式グリーンポイントへ持っていきます。

グリーンポイントは月曜から土曜日まで開いていて、管理者が施設内のゴミの分別を指示してくれます。移動式グリーンポイントは廃棄物収集車のことで、学校や広場に定期的に一定時間停車してゴミの回収を受け付けます。

このグリーンポイントへ廃棄物を年に15回以上持っていくと、水道料金と一緒に支払っているゴミ処理のための市税と環境税に対する最大14%の割引が受けられるグリーンポイントカードのサービスも始まりました。
2020年から、バルセロナ市民は家庭廃棄物の適正収集・処理のための市税と都市廃棄物処理処分料としての環境税を支払っています。このポイントカードも、分別収集を推進するための施策の一つです。

また、壊れた家具などの粗大ゴミは、週に1度に20時から22時までの間に自宅前の路上に出しておくと回収してくれます。

■協同組合と連携した衣類のリサイクル

衣類のリサイクルにも積極的です。
衣料回収用のオレンジ色のコンテナが、地区のグリーンポイントや公園脇などに設置されています。洗った不要な衣類を、汚れないように紙袋などにまとめて投入します。

コンテナの管理と古着の回収は、ロバ・アミーガ(衣類の友達)協同組合が行っています。収集された衣類は繊維処理工場に運ばれ、選別・分類後に再利用と繊維のリサイクルが行われます。再利用として、社会福祉の人々への寄付のほか、ロバ・アミーガの中古衣料品店で手頃な価格で販売されています。

協同組合の発表によると、2022年は、カタルーニャ州で 3,030個のオレンジ色のコンテナと、568の自治体と協力企業に配置された回収ポイントを通じて、1,390万4,774キログラムの衣類を回収したということです。

バルセロナでは、持続可能な地球環境を守る取り組みを様々な施策を通して行っていますが、その達成は、私たちひとりひとりの日々の行動、責任あるごみの分別と廃棄にかかっていますね。


この記事は
バルセロナ在住フリーライター
MikWak が担当しました

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