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中国内全国土壌汚染状況調査結果が公表されました

【概要】

この、中国内全国土壌汚染状況調査は、中国の全体的な土壌汚染の状況を把握する目的で、中国国務院(日本の内閣に相当する機関)の指示により2005年4月から2013年12月にかけて香港・厦門を除く中国国内を対象に実施されたもので、中国環境保護部および国土資源部により2014年4月17日に公表されました。

【調査内容】

  • 統一された方法・基準を用いた。(方法・基準は公表されていない)
  • 農耕地全域および一部の森林、草地、未使用地を対象とした
  • 調査面積は約630万m2

【調査結果】

  • 調査全域の「16.1%」(軽微汚染11.2%、軽度汚染2.3%、中度汚染1.5%、重度汚染1.1%)において、土壌汚染が確認された。(詳細は添付表1の通り)
  • 重金属による汚染が多く、確認された汚染の82.8%を占める
  • 汚染の主要因は、汚染された土壌を利用した造成による2次汚染
調査地 汚染状況
農用地
汚染発覚:
19.4%/調査箇所
(軽微13.7%、経度2.8%、中度1.8%、重度1.1%)
主要汚染:
カドミウム、ニッケル、銅、砒素、水銀、鉛、DDT、PAHs
林地
汚染発覚:
10.0%/調査箇所
(軽微5.9%、経度1.6%、中度1.2%、重度1.3%)
主要汚染:
砒素、カドミウム、BHC、DDT
草地
汚染発覚:
10.4%/調査箇所
(軽微7.6%、経度1.2%、中度0.9%、重度0.7%)
主要汚染:
ニッケル、カドミウム、砒素
未利用地
汚染発覚:
11.4%/調査箇所
(軽微8.4%、経度1.1%、中度0.9%、重度1.0%)
主要汚染:
ニッケル、カドミウム
建設用地 重度汚染企業用地
汚染発覚:
36.3%(5,846地点でボーリング実施)
業種:
鉄鋼、非鉄、皮革、製紙、石油、石炭、医薬、化学繊維、鉱物製品、金属製品、電力
工場跡地
汚染発覚:
34.9%(775地点でボーリング実施)
業種:
化学工業、鉱業、冶金業等
主要汚染:
亜鉛、水銀、鉛、カドミウム、砒素、PAHs
工場団地
汚染発覚:
29.4%(2,523地点でボーリング実施)
業種:
金属製錬、化学工場
主要汚染:
カドミウム、鉛、銅、亜鉛、砒素、PAHs
固体廃棄物置場
汚染発覚:
21.3%(1,351地点でボーリング実施)
主要汚染:
無機物質
採油区
汚染発覚:
23.6%(494地点でボーリング実施)
主要汚染:
TPH、PAHs
鉱山採鉱区
汚染発覚:
33.4%(1,672地点でボーリング実施)
主要汚染:
カドミウム、鉛、砒素、PAHs
汚水灌漑区
汚染発覚:
26.4%(1,378地点でボーリング実施)
主要汚染:
カドミウム、砒素、PAHs
幹線道路両側
汚染発覚:
20.3%(1,578地点でボーリング実施)
主要汚染:
鉛、亜鉛、砒素、PAHs

※汚染レベルを以下5種類で分別

  • 汚染なし:汚染物質の含有量が評価基準以下
  • 軽微汚染:汚染物質の含有量が評価基準の1~2倍(含む)の間
  • 軽度汚染:汚染物質の含有量が評価基準の2~3倍(含む)の間
  • 中度汚染:汚染物質の含有量が評価基準の3~5倍(含む)の間
  • 重度汚染:汚染物質の含有量が評価基準の5倍以上

■DOWAコメント

現在中国では、工業用地の汚染も問題になっていますが、それ以上に、鉱山用地・跡地の汚染やそれに起因する農用地汚染の問題がクローズアップされています。昨年も市場に出まわったカドミ汚染米の問題が大きく取り上げられていました。

政府が当該調査を実施していることは広く知られており、多くの問題意識を持った市民から調査結果を早く開示して欲しいと言う要求が多数あったようです。
健康問題に直結する農用地の汚染状況は予想通り、深刻な結果(20%弱)でしたので、政府はより一層この問題に力を入れていくと考えられます。

上記政府の見解に、汚染拡大の主要因は、汚染土壌を利用した造成による2次汚染とあります。造成に使用されている土壌の品質について、決まりもありませんし、工事業者・開発会社も特に気にしていないというのが現状です。(土壌汚染サイトにおいて、工場解体時に汚染土壌を拡散してしまった例も多々あります)

「自分のリスクは自分で守る」と言う前提のもとに、工場建設前・操業中・撤退時の適切な土壌・地下水調査を実施されることをお勧め致します。

【この件に関するお問い合わせ先】

蘇州同和環保工程有限公司
TEL:+86-512-8518-7700
ホームページ:蘇州同和環保工程有限公司


この記事は
蘇州同和環保工程有限公司
江藤 が担当しました

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