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法規と条例

輸送の安全を確保するための省令等の改正について

■はじめに

2012年4月に発生した関越道高速ツアーバス居眠り事故を発端とし、国土交通省では、バス・タクシーに続き、貨物自動車運送事業の安全の確保も極めて重要な課題と位置付けています。

貨物自動車運送事業者に対しては、2013年10月より「安全管理体制の強化」を図り、監査を効率的・効果的にし、罰則を強化しました。

荷主・元請事業者等に対しては、2014年1月に、運送条件など書面化の推進に関する省令・告示の公布、ガイドラインの公表等がなされ、2014年4月1日から施行されます。また、荷主勧告の運用強化についても、2014年1月に通達が発出され、2014年4月1日から施行されます。

1. 運送条件等に係る重要事項の書面化推進に関する主な改正点

【1】貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正

(公布:平成26年1月22日 施行:平成26年4月1日)

以下の条文が追加されました。

(適正な取引の確保)
第9条の4
一般貨物自動車運送事業者等は、運送条件が明確でない運送の引受け、運送の直前若しくは開始以降の運送条件の変更又は運送契約によらない附帯業務の実施に起因する運転者の過労運転又は過積載による運送その他の輸送の安全を阻害する行為を防止するため、荷主と密接に連絡し、及び協力して、適正な取引の確保に努めなければならない。

【2】標準貨物自動車運送約款の一部改正

(告示の公布:平成26年1月22日)

標準貨物自動車運送約款第8条第1項に規定される「運送状」を、荷主、元請事業者等が発出することが原則化されました。
その記載事項として、燃料サーチャージ、有料道路利用等の額、附帯業務の内容及び額等、車両留置料の収受の明文化が義務化されました。

【3】トラック運送業における書面化推進ガイドラインの制定

(公表:平成26年1月22日)

標準貨物自動車運送約款の一部改正を受け、書面化する「運送状」の最小限の記載事項が以下の通り示されました。

  1. 運送委託者/受託者名、連絡先等
  2. 委託日、受託日
  3. 運送日時(積込み開始日時・場所、取卸し終了日時・場所)
  4. 運送品の概要、車種・台数
  5. 運賃、燃料サーチャージ
  6. 附帯業務内容
  7. 有料道路利用料、附帯業務料その他
  8. 支払方法、支払期日

※基本契約、覚書、作業指示書、発注書等に必要記載事項が記載されている場合には改めて書面化する必要はありません。
※3.運送日時に関して:貨物自動車運送事業者の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準が法令で決まっていますのでご注意ください。

【参考】

<貨物自動車運送事業者の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準>
拘束時間
1か月の拘束時間は原則として293時間以内
1日の拘束時間は原則13時間以内
休息時間
1日の休息期間は継続8時間以上
運転時間
2日を平均し1日当たり9時間を超えない、2週間を平均し1週間当たり44時間を超えない
連続運転時間
運転開始後4時間以内または4時間経過直後に30分以上の休憩等を確保することにより運転を中断しなければいけない

2. 荷主勧告制度の運用通達に関する改正点

(発出:平成26年1月22日 施行:平成26年4月1日)

■荷主勧告制度とは

貨物自動車運送事業法第64条により、実運送事業者が行政処分を受ける場合、その違反行為が主に荷主の行為に起因するものであると認められる場合に、貨物自動車運送事業法第22条の2(輸送の安全の確保を阻害する行為の禁止)に基づき、荷主に対して再発防止のために勧告されるものです。

改正前は、荷主勧告発動の前提として「警告的内容の協力要請書」の発出実績が必要でしたが、改正後は、荷主勧告の要件に該当する場合に荷主勧告を発動されることとなりました。

  1. 荷主勧告
    実運送事業者の違反行為が主として荷主の行為に起因するものであり、かつ、実運送事業者への処分のみでは再発防止が困難であると認められる場合に発動するものです。荷主勧告が発動された場合、荷主名及び事業の概要が公表されます。
  2. 警告書
    荷主勧告に至らないものの、実運送事業者の違反に関し荷主の関与が認められる場合に発出されるものです。
  3. 協力要請書
    実運送事業者の違反に関し、荷主の明確な関与が認められないものの、当該違反の再発防止のため、荷主の協力を要請する必要がある場合に発出するものです。

<荷主勧告の対象となる荷主の行為の重点的類型>

  • 非合理的な到着時間の設定
    例:積荷の準備が遅れたため、出発時間が遅延したが、到着指定時間は変更されず、指示書の変更もされなかった。
    そのため、運転者の勤務時間等に係る基準に違反(休息時間を削る、連続運転時間を延長するなど)した運行を余儀なくされた。
  • やむを得ない遅延に対するペナルティの設定あるいは無理な運行の強要
    例:道路の混雑による指定時間の遅延につき、荷主の理解を得る場合に、契約当事者である元請けが有効な調整を行うべきであるのに対応しなかった。そのため、基準に違反した運行を余儀なくされた。
  • 積込み前に貨物量を増やすような急な依頼
  • 荷主管理に係る荷捌き場において、手持ち時間を恒常的に発生させているにもかかわらず、実運送事業者の要請に対し通常行われるべき改善措置を行わないこと

着時間が指定され変更が不可能な運送は、荷主勧告制度の対象となりやすく注意が必要です。

【参考資料】

国土交通省ホームページ
標準貨物自動車運送約款(新旧)
トラック運送業における書面化推進ガイドライン
事業者の行政処分情報
適正な取引の確保及び輸送の安全を阻害する行為の防止等のための省令等の改正について
貨物自動車運送事業法における荷主勧告の運用通達を改正します!

厚生労働省ホームページ
トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント


この記事は
DOWAエコシステム ロジスティクス事業部
廣田 が担当しました

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