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土壌汚染対策法における「健康被害が生じるおそれ」とは何か

要措置区域に指定される要件に「健康被害が生じるおそれの基準」(土壌汚染対策法第6条第1項第2号)があります。

この「健康被害が生じるおそれの基準」は、土壌汚染対策法施行令第5条において、

  1. 基準不適合土壌に対する人の暴露(ばくろ)の可能性があること
  2. 汚染の除去等の措置が講じられていないこと

と定められています。したがって、1と2の条件を満たす土地は要措置区域になります。1の「人の暴露の可能性」とは具体的に何を指すのかについて、まとめました。

人の暴露の可能性」は、以下の二種類あるとされていることは、ご存知の方も多いと思います。
 (ⅰ)直接摂取 (土壌が直接口に入り摂取すること)
 (ⅱ)地下水経由 (地下水を飲むことにより摂取すること)
(ⅰ)または(ⅱ)の可能性があれば、人の暴露の可能性があると判断されることになります。(土壌汚染対策法施行令第3条第1号、第5条第1号および第2号)

■具体的には

(ⅰ)直接摂取による暴露の可能性

関係者(当該工場あるいは事業所の従事者)以外の人が立ち入ることができる状態にある場合、直接摂取のリスクがあると判断されます。

(ⅱ)地下水経由による暴露の可能性

その土地の周囲一定範囲において地下水を飲用利用する施設あるいは地下水の湧出を受ける公共用水域がある場合、地下水経由による暴露の可能性があると判断されます。

つまり、その土地の地下水汚染の有無に関係なく、その土地の周囲一定範囲内に地下水の飲用利用等が確認されれば、地下水経由による暴露の可能性ありと判断されることになります。

その土地の“周囲一定範囲”とは、個々の事例ごとに地下水の流向・流速等や地下水濃度によって設定されることが望ましいとされています。ただ、それが困難な場合には、一般的な地下水の実流速の下での一般値が示されています。
(環水土大発第100305002号 第3の3(2)①ア(ロ) 参照)

距離(半径)
特定有害物質の種類 一般値(m)
第一種特定有害物質(VOCs) 概ね 1,000
六価クロム 概ね 500
ヒ素、ふっ素、ほう素 概ね 250
シアン、カドミウム、鉛、水銀、セレン、第三種特定有害物質 概ね 80

ただし、地域の水理地質条件によっては、地下水汚染の到達距離が極めて長くなるおそれがあるため、一定の範囲の設定には、その地域の水理地質条件を反映した個別の設定を行うことが望ましい旨も、併せて示されています。
(参考リンク: 土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン暫定版


永瀬 この記事は
DOWAエコシステム ジオテック事業部
永瀬 が担当しました

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