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法規と条例

地方条例について

【1】地方条例とは?

土壌汚染対策法改正の大きな改正点の一つとして、法に係わる調査契機の拡大があります。統計によると、全国で実施された土壌調査のうち、法の義務によるものが全体の数%、地方条例の義務による調査が約1割、残りは、自主的に実施された調査となっています。

この地方条例ですが、環境省の実施した『平成20年度 土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果(http://www.env.go.jp/water/dojo/chosa.html)』によると、地方条例の中身は以下のように分類されています。

平成20年度に施行されている地方条例の内容分類 自治体の数
① 有害物質使用特定施設以外の有害物質を取り扱う施設等の廃止時に土壌汚染の調査を行わせるもの 10
② 土地改変時、用途転換・再開発等の際に土壌汚染の有無の確認を行わせるもの 26
③ 上記調査の結果、土壌汚染が判明した場合に汚染原因者に所要の対策を行わせる、又は対策のための費用を汚染原因者に負担させるもの 23
④ 土地所有者等が行う自発的な土壌汚染の調査の結果を自治体に報告させるもの 17
⑤ 土壌汚染の存在する場所の情報の登録、管理等を行うもの 8
⑥ 土壌汚染の調査・対策に関する技術的な事項を示したもの 17
⑦ 土壌汚染の有無の判断基準として、法の指定基準以外の独自の基準を設けているもの 7
⑧ 土壌汚染の防止、有害物質の地下浸透規制に関する訓示的条項を含むもの 86
⑨ その他土壌汚染に係る調査・対策を円滑に行うための行政内の関係部局の取り決め等 18
⑩ 外部から搬入される土砂の分析を土地所有者等に行わせ、土壌汚染の未然防止を図るもの 207
⑪ 土壌汚染への調査・対策を行う者に関する基準を設けている、又は指導・監督等の仕組みを設けているもの 10
⑫ 汚染土壌浄化施設に関する基準を設けている、又は指導・監督等の仕組みを設けているもの 9
条例、要綱、指導指針を制定している都道府県・政令市 304

このうち、調査の契機については、①と②が該当します。
つまり、土壌汚染対策法とは別に、10の自治体では有害物質を使用する事業の廃止時に、20の自治体では土地の改変をする際に、地方条例で土壌汚染の有無を確認するように求めているということになります。

【2】東京都の地方条例

今回は、東京都の事例について、ご紹介いたします。東京都では環境確保条例(正式名称:都民の健康と安全を確保する環境に関する条例)があり、平成13年10月1日に土壌汚染に係わる条文が施行されました。土壌汚染対策法が平成15年2月15日に施行であるため、先進的な条例だったと言えます。なお、今回の土壌汚染対策法の改正にあたり、環境確保条例第113条で定められる土壌汚染の調査及び対策に係る方法等を示した指針(土壌汚染対策指針)が法と同様に平成22年4月1日に施行されました。

【3】東京都環境確保条例

環境確保条例では条例114条から117条の中で、以下の4ケースの場合、調査を行うことを義務づけています。このうち、114条と115条のついては、ほとんど実例がないため、実質的には、有害物質を取り扱う事業所等の廃止時(116条)と、3,000m2以上の土地の改変を行うとき(117条)に調査を実施する場合がほとんどです。


(東京都ホームページより)

【4】土壌汚染対策法との違い

東京都環境確保条例と土壌汚染対策法は、おおよその枠組みは似ているものの、一部の事項については異なりますので、重要な部分について定義や考え方を整理しました。

  土壌汚染対策法 東京都環境確保条例
目的 国民の健康の保護 現在及び将来の都民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要な環境を確保
対象物質 特定有害物質25項目 有害物質25項目(法と同様)
主な土壌調査の契機 有害物質の取り扱い事業所における調査義務 水質汚濁防止法または下水道法の特定施設で有害物質を使用されていた場合のみ、特定施設廃止から120日以内に土壌調査を実施し、報告を行う義務が課せられる。 特定施設設置の有無に係わらず、有害物質を使用していた工場または指定作業所には、廃止または除却の30日前までに土壌調査の報告義務が課せられる。(ガソリンスタンドも該当する)(116条)
土地の形質変更時の義務 3,000m2以上の改変面積(掘削および盛土に係わる面積)の場合、30日前までに届出が必要であり、この際に、原則、自治体が自らのもつ情報(有害物質使用の届け資料等)に基づきおそれを判断する※。この結果、土壌汚染のおそれがあると判断された場合は調査命令がかけられる。 3,000m2以上の敷地で、改変を行う場合、改変の着手前(規定なし)に地歴調査の実施が必要であり、工場等の履歴があり、有害物質使用の履歴が否定できない場合に、おそれありと判断され、土壌調査の実施義務が生じる。(117条)
記録の保管及び承継 規定なし 土地の譲渡の際に、既に実施された調査及び処理について記録を作成し、保管し、さらに転売する場合には、記録を継承する義務がある。
区域の指定(台帳) 基準不適合であった場合、人の健康被害のおそれの有無に応じて、要措置区域または形質変更時要届出区域が指定さて、その内容が台帳に記載され、閲覧に供される。 規定なし

※ 一方、東京都においては、土壌汚染対策法4条がかかる場合、東京都環境確保条例第117条における地歴調査の義務も生じることから、知事の汚染のおそれの判断には、その地歴調査の結果も加味されることになります。


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