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キコリに聞く!
~木は「人にも環境にも優しい」再生可能エネルギー(1)~


(ナラの母樹と新芽。まるで、親子のよう。)

炎のゆらゆらした動き、燃える時のパチパチという音。あの絶妙で不規則なリズムは「1/fゆらぎ」(※1)と呼ばれ、高い癒し効果があるのだそうです。
そんな焚き火に、不可欠なのが「薪」。「木材は環境に優しい再生可能エネルギーと言われるけれど、何がどう優しいのか」について考えるべく、林業従事者として働く私の夫に話を聞きました。今回のテーマは、「薪作りから紐解く再生可能エネルギー」です。

1. 夫の紹介 ~脱サラして林業へ~

夫は、大学卒業後サラリーマンでしたが、不規則勤務が負担となり4年目に退職。働き方を見直すべく、大学時代から気になっていた環境保全の専門学校に通い直しました。
28歳の時、卒業と同時に結婚。「自然の中で体を動かす仕事がしたい」と林業の会社に就職し、10年以上に渡り山から木材を伐り出す作業を担当していましたが、今は山の育成を主に担当しています。
この仕事の他に、薪販売の事業主さんの元で、間伐と薪作りの手伝いもしています。小学生2人の父でもあります。

ここでは「切る」を「伐る」と書いています。
「伐る」は「地面に生えている木を切る時」に使う漢字です。

2. 薪はこうして作られる

■伐る木を選ぶ ~ 伐採

まず、薪にする木はどこで伐ってくるのですか?

「薪炭林(しんたんりん)」と呼ばれる、里山にある雑木林から伐り出します。


(実際の薪炭林)

どの木を伐るかは、どうやって選んでいるのですか?

薪にする樹種は、「密度が高い=堅い=火持ちがいい」とされる広葉樹(ナラ・クヌギ・サクラなど)が一般的ですが、ここではナラを選んで伐っています。ナラの木はドングリの実がなる木で、街中や公園でも見かけることがあると思います。


(写真左:ナラの木、写真右:ナラの葉の形)

どの木を伐るかは、林齢、太さ、伐ろうとしている木の周囲の樹種、木が生えている密度(間隔)、その場の傾斜が急かどうか、北向きか南向きかなどの日当たり、景観などを考えて選びます。例えば、傾斜があるところに生えている木を全部伐ってしまうと土砂崩れなどの災害に繋がるので、地形は重要なポイントです。

それは、「間伐」ということですか?

そうです。伐ることで空間ができ、日当たりが良くなれば周囲の木も元気になるわけです。
しかし、伐ってばかりでは木が無くなってしまうので、同時に新しい木を育てていかないといけません。
また、切り株から新芽が出ることを萌芽と呼びますが、大きくなりすぎた木は萌芽しにくいので、ある程度の林齢(ナラであれば早くて20年程度)で伐採をして、若い木が育つようにします。


(写真左:ナラの切り株からの萌芽、写真右:サクラの切り株からの萌芽)

あとは、太くて真っすぐで、見るからに健康そうなナラを「母樹」として残し、ドングリが落ちて自然に芽が出るようにもしています。
こうして落ちたドングリは、クマやリスなどの野生動物、カケスやアオバトなどの鳥類の餌にもなります。そして、落ち葉は土をふかふかにしてくれ、人間が間伐することで日光も入り、より豊かな土壌を持つ森へと変化していきます。

母樹の話を聞いていて「トトロの樹」が思い浮かびました。実際もそうですか?


(写真:母樹として残しているナラ。地面にはドングリがたくさん落ちている。)

里山はまさに「トトロ」に出てくる景色ですが、木はある程度の林齢で伐ってしまうので、トトロが住んでいそうな立派な木は見たことがありません。仮にあるとすれば、神様として大切に祀られている木か、人の手が入っていない奥山かと思います。

伐った後に植樹をすることもありますか?

広葉樹の植樹はしていません。ただ、他所の地域などでは植樹されている方がおられるかもしれません。

伐採した木は、丸ごと薪になるのですか?

伐った木の枝は切り落とし、太さがあり薪にできる枝と、細くて使えない枝に分けます。使えない枝は山に置いておくのですが、その枝や切り株からキノコが生えてくることがあります。キノコは菌が回れば、山に残した枝からでも生えてきますが、食べられるキノコかどうかは別の話です。運よく食べられるキノコに出会えれば、美味しく頂くこともありますよ。これは余談ですが!


(図:枝の太さで使い分ける様子、写真右:枝払いの様子)


(写真左:山に残す細い枝(細断前)、写真右:薪に出来る枝の太さ目安)

そして、山に置いておく枝は、早く土に還るように細かくしておきます。また、伐りっぱなしは見た目に荒れた感じがするのと、後で山へ入る人が歩きづらく作業効率も下がるので、そこも配慮して片付けています。

「木を伐る」と言葉にすれば一瞬ですが、次世代を見据えて作業されているのですね。

【参考・引用リンク】

※1 at home 教授対談シリーズ こだわりアカデミー1998年11月号掲載 武者利光氏
「1/fゆらぎは謎だらけですが非常に大きな可能性を持っています。F分の1ゆらぎの謎にせまる」

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この記事は
キコリの嫁で果樹農家
こさかいあゆ が担当しました

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